著者
太田 絵梨子
出版者
日本教育実践学会
雑誌
教育実践学研究 (ISSN:1344946X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.27-39, 2019 (Released:2021-05-08)
参考文献数
44
被引用文献数
1

Homework can have both positive and negative effects on student learning. To overcome the negative effects and facilitate the positive ones, it is important for teachers to understand the underlying mechanisms of homework and how it relates to learning so that they can use the most effective methods of instruction and guidance. To provide a useful guide, this paper reviewed previous research studies and considered the roles of homework and effective instructional strategies from three psychological perspectives: behavioral, information-processing, and social constructivism. From a behavioral perspective, homework can be viewed as increasing opportunities for the repeated practice of knowledge and skills, whereas the information processing perspective places greater importance on the capacity of homework to promote deeper understanding and metacognition. Viewed from a social constructivist perspective, homework can promote the establishment of connections in the learning that occurs in school, at home, and in the wider community. Studies have shown that each of these roles of homework can contribute to the facilitation of meaningful learning and the support of students toward becoming self-initiated learners. However, there are some crucial challenges that remain in applying this knowledge to the actual school setting. This paper’s conclusion discusses possible directions for much-needed future research and suggests potential solutions.
著者
福田 麻莉
出版者
日本教育実践学会
雑誌
教育実践学研究 (ISSN:1344946X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-14, 2019 (Released:2021-05-08)
参考文献数
28

本研究は,認知カウンセリングの事例分析を通じて,授業および家庭学習における中学生の教科書・ノートの活用を促す方法についての示唆を得ることを目的とした.本事例では,カウンセラーはカウンセリング中,数学の教科書を活用し,また,クライエントに学習内容についての説明を求めることで,教科書の内容や構成についての理解を促し,家庭学習中に分からないことがあった際に自発的に教科書を見返すようになることを狙った.カウンセリングを通じて,クライアントは家庭でも教科書を自発的に使用するようになり,また,数学の用語や概念の意味を重視する学習観を抱くようになった.さらに,授業中のノートテイキングにも変化が見られ,用語や概念の意味についてのメモを取ることができるようになった.分析を通じて,教科書やノートを活用できる,自立的な学習者を育成する上での効果的な介入方法についての示唆が得られた.
著者
河野辺 貴則
出版者
日本教育実践学会
雑誌
教育実践学研究 (ISSN:1344946X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-16, 2020-09-30 (Released:2021-01-12)
参考文献数
20

本研究の目的は,道徳教科書における人権課題に関わる教材の掲載傾向を検討することを通して,人権教育と道徳教育の関連性を考察していくことにある.調査対象とする資料は,小学校と中学校の道徳教科書(72 冊)としている.調査結果として,道徳教科書には人権課題に関連している教材が数多く掲載されていることを確認した.人権教育と道徳教育は,それぞれが別の世界に位置づいているかのような認識を乗り越えて,児童生徒に人権課題について向き合う機会を提供し,人権課題の解消を前に進めていることに寄与している.本稿による分析結果から,道徳教科書には人権課題に対する理解や問題の解消に向けた取組として寄与しており,人権教育と道徳教育は統合的な関係へ向かっている傾向にあることが考察できる.一方で,相補的な関連性といえる部分もあることから,人権教育と道徳教育の関連性を意識しながら,計画的に教育活動を推進していくことが肝要であり,両者の関連性は益々密になっていくことだろう.
著者
西之園 晴夫
出版者
日本教育実践学会
雑誌
教育実践学研究 (ISSN:1344946X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.47-53, 2020-09-30 (Released:2021-01-12)
参考文献数
8

世界的なコロナウイルス感染によって経済的社会的活動が停滞しました. 教育もまたその例外ではなく全国的に休校となり,その後,多くの大学は Zoom などを採用して在宅授業を実施することで危機に対応しました. 他方,国によっては冷静に対応したところもありました. そこでフランス語圏のフランスとスイスの高等教育の最近の状況を紹介し,今回のような緊急事態で異なる背景をもつ教育制度と方法がどのような影響を及ぼしているかを考察して,事態が終息したのちの高等教育の在り方を検討するための資料を提供しています.