著者
今栄 国晴 平田 賢一 清水 秀美 北岡 武 中津 楢男 西之園 晴夫
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.107-115, 1984-01-20

教育工学専門家に要求される能力(コンピテンス)を調べるために,日本科学教育学会など4学会の会員に,能力に関する質問90項目を主体とする調査票を郵送し,563名の有効回答を得た.因子分析の結果,5因子が抽出されたが,小・中・高の学校や教育センターに勤務する教育工学教師には,授業設計・授業研究能力因子とメディア制作・機器操作能力因子が重視され,大学・研究所勤務の専門家には,それらとともに,とくに研究能力が重視され,さらに,教育システム開発運営能力因子や教育に関する基礎知識因子も比較的重視されていることがわかった.このことは,教育工学専門家を養成する場合,その将来の勤務先によって養成すべき能力に大きな差があることを示唆している.なお,米国AECTのスペシャリストに要求される能力表との比較検討も行われた.
著者
西之園 晴夫
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.183-190, 1998-03-20
被引用文献数
1
著者
西之園 晴夫 望月 紫帆
出版者
佛教大学
雑誌
教育学部論集 (ISSN:09163875)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.59-67, 2006-03-01

生涯学習社会においては,従来の個人的な教養や資格取得に対応するだけでなく,変動と多様化を迎えて専門職能の育成など高度職業教育を必要としている。この場合,従来の講義方式では多様化に対応できず,ゼミ方式の少人数方式では教育コストの面で多人数教育には望めない。そこで多人数でありながら,協調と自律を目指した自主学習システムを開発しているが,その方法論ならびに佛教大学で276名の多人数授業を実施したときの成果を報告している。
著者
西之園 晴夫
出版者
日本教育実践学会
雑誌
教育実践学研究 (ISSN:1344946X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.47-53, 2020-09-30 (Released:2021-01-12)
参考文献数
8

世界的なコロナウイルス感染によって経済的社会的活動が停滞しました. 教育もまたその例外ではなく全国的に休校となり,その後,多くの大学は Zoom などを採用して在宅授業を実施することで危機に対応しました. 他方,国によっては冷静に対応したところもありました. そこでフランス語圏のフランスとスイスの高等教育の最近の状況を紹介し,今回のような緊急事態で異なる背景をもつ教育制度と方法がどのような影響を及ぼしているかを考察して,事態が終息したのちの高等教育の在り方を検討するための資料を提供しています.
著者
西之園 晴夫
出版者
佛教大学総合研究所
雑誌
仏教大学総合研究所紀要 (ISSN:13405942)
巻号頁・発行日
no.16, pp.19-34, 2009-03

わが国では大学の授業料高騰が教育格差と社会的格差とを相互に助長する懸念があることが指摘されている。世界的にみるならば,変動社会の出現と職能の高度化にともなって,すべての国民に高等教育までを提供することが求められており,1970 年代に国連で高等教育まで無償化することが決議された。しかし日本政府は無償化問題については奨学金などで対応するのでこの決議に拘束されないことを表明している。その後の学習に関する科学技術の進歩,ならびにユビキタス情報通信環境が整ってきたので,各国において新しい教育方法の開発が進んでいる。このような状況から協調自律学習による授業開発の方法論としてシンボリック設計法を紹介している。従来の授業開発が教育目標や教育内容が重視されていたのに対して,最近では学ぶ意味,学習活動,学習成果などのように学習者に視点をおいた方法にシフトしており,そのときの設計法を提案している。
著者
西之園 晴夫
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.67-77, 1999
参考文献数
29
被引用文献数
4

わが国が当面している課題として,多数の現職教員に高度の職能専門教育を目指した大学院修士レベルの教育を提供する問題がある.この場合,旧来の研究後継者養成で採用されてきた研究方法論では対応できず,教育実践に通した研究方法を開発する必要がある.教育方法の研究方法として経験的アプローチ,規範的アプローチおよびシステムズ・アプローチに区分したとき,ここでは経験的アプローチについて論じている.修士課程に在籍する現職教員を指導するにあたって,経験的な実践知を一定の手順によって形式化するために,カテゴリー,概念,モデルならびに命題によって表現した形式知とする方法を採用した.経験的知識をこのように形式化することは,情報ネットワークによって実践知を流通するために不可欠である.
著者
岡本 敏雄 西之園 晴夫 対馬 勝英 大岩 元 君島 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.96, no.78, pp.41-46, 1996-05-25
被引用文献数
1

現在, 世界的規模で情報教育の必要性が叫ばれ, 様々な国においてその努力がなされている. 情報リテラシーは, 未来社会における新しい学力として認知され始め, 慎重かつ着実な履行が求められつつある. 本稿では, 情報処理教育から情報教育への概念的変化を取り上げ, 児童・生徒の問題解決や自己表現, 知識や意思伝達のための道具的利活用の視点から情報教育の在り方を議論する. また, 今後への対応として, 我が国の学校教育の中での情報教育の選択的独立もしくは総合科目としての制度化の可能性を, 小・中・高一貫したカリキュラムとして考慮しながら考察し, 情報教育の実現に向けての要望と課題を述べる.