著者
髙橋 あすみ 土田 毅 末木 新 伊藤 次郎 TAKAHASHI Asumi TSUCHIDA Takeshi SUEKI Hajime ITO Jiro
出版者
日本自殺予防学会
雑誌
自殺予防と危機介入 (ISSN:18836046)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.67-74, 2020-09

本研究では自殺関連語を検索する者の援助要請行動を促しやすいインターネット広告の内容を検討した。広告は基本的内容に加えて、見出しに直接的メッセージ(相談してください)か共感的メッセージ(つらかったですね)のどちらかを含め、説明文に相談手段と支援者情報を組み合わせて8種類を作成した。6種類の自殺関連語を検索した結果として広告一つがランダムに表示されるようにGoogle広告を設定した。広告のリンク先ページからボタンをクリックすると電話相談窓口へ発信することができた。ボタンクリックの有無を従属変数、広告の要素を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った結果、見出しは共感的メッセージよりも直接的メッセージの方が約1.6 倍、見出しが共感的メッセージの場合には相談手段を説明に含んだ方が約1.2 倍、ボタンクリックの割合が高くなった。すなわち、自殺の相談を促す広告には直接的メッセージと相談手段を含むことが望ましい。
著者
末木 新
出版者
日本自殺予防学会
雑誌
自殺予防と危機介入 (ISSN:18836046)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.35-41, 2017-11

自殺対策の実施は公的資金に頼るところが大きいが、対策に対する税金の投入については、否定的な意識を持つ者が少なくない。そこで本研究では、自殺対策を不必要だと考えている者の特徴について探索的な検討を行った。調査はインターネット調査会社を介して、20歳以上の調査会社の登録モニターに対して実施された。2530名のデータを分析したところ、自殺対策への支払意思額の決定に関わる動機として「自殺対策は必要ないから」と回答した者(自殺対策を必要ないと考える者)は214名(8.5%)であった。ロジスティック回帰分析の結果、男性、未婚、低学歴、無職であることは自殺対策を必要ないと考える者であることと、親しい者の自殺の経験があることは自殺対策を必要ないと考える者でないことと統計的に有意に関連していた。本研究の結果、自殺対策に関する啓発活動のターゲットは自殺のリスク・ファクターとなるデモグラフィック属性を有している可能性が高いことが示唆された。
著者
高橋 あすみ 土田 毅 末木 新 伊藤 次郎 TAKAHASHI Asumi TSUCHIDA Takeshi SUEKI Hajime ITO Jiro
出版者
日本自殺予防学会
雑誌
自殺予防と危機介入 = Suicide prevention and crisis invervention
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.67-74, 2020

本研究では自殺関連語を検索する者の援助要請行動を促しやすいインターネット広告の内容を検討した。広告は基本的内容に加えて、見出しに直接的メッセージ(相談してください)か共感的メッセージ(つらかったですね)のどちらかを含め、説明文に相談手段と支援者情報を組み合わせて8種類を作成した。6種類の自殺関連語を検索した結果として広告一つがランダムに表示されるようにGoogle広告を設定した。広告のリンク先ページからボタンをクリックすると電話相談窓口へ発信することができた。ボタンクリックの有無を従属変数、広告の要素を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った結果、見出しは共感的メッセージよりも直接的メッセージの方が約1.6 倍、見出しが共感的メッセージの場合には相談手段を説明に含んだ方が約1.2 倍、ボタンクリックの割合が高くなった。すなわち、自殺の相談を促す広告には直接的メッセージと相談手段を含むことが望ましい。
著者
末木 新 SUEKI Hajime
出版者
日本自殺予防学会
雑誌
自殺予防と危機介入 (ISSN:18836046)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.94-101, 2019-09

本研究の目的は、自殺念慮尺度の短縮版を作成し、その信頼性・妥当性を検証することである。自殺方法に関する表現を含む項目を除外し、安全な測定を実現することも尺度短縮の目的である。自殺の研究者および自殺予防に従事する臨床家が13 項目版の自殺念慮尺度の項目内容を検討し、内容的妥当性を確保した上で短縮版に含める項目を選定した。その結果、6 項目を短縮版に含めることが適当だと判断された。次に、選定した6 項目版の自殺念慮尺度の信頼性および妥当性を検討するため、二波のパネル調査を実施した(N=2,486)。その結果、短縮版自殺念慮尺度は、高い内的一貫性(Cronbach's α=0.89)、4 週間後の得点との再検査信頼性(Spearman's ρ=0.84, P<0.001)、構造的妥当性、十分な構成概念妥当性を有していることが示唆された。