著者
太刀川 弘和 高橋 あすみ
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

近年各大学で自殺予防対策が始まっている。しかしこれまでに、大学生向けの標準化された自殺予防教育手法は開発されていない。そこで本研究では、欧米の自殺予防プログラムを参照して講義形式とeラーニング形式の二つの自殺予防のメンタルヘルス・リテラシー教材を開発し、有用性を検証した。講義と演習からなる自殺予防教育プログラムCAMPUSは、医学部生に実施した。実施後に自殺予防の理解度は向上し、3か月後に自殺念慮も低下した。E-learningの危機介入リテラシープログラムは、実施後のウェブ調査で被験者の知識が向上し、抑うつ気分も低下した。二つの自殺予防教育プログラムは、大学生の自殺予防に有効と思われた。
著者
高橋 あすみ 土田 毅 末木 新 伊藤 次郎 TAKAHASHI Asumi TSUCHIDA Takeshi SUEKI Hajime ITO Jiro
出版者
日本自殺予防学会
雑誌
自殺予防と危機介入 = Suicide prevention and crisis invervention
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.67-74, 2020

本研究では自殺関連語を検索する者の援助要請行動を促しやすいインターネット広告の内容を検討した。広告は基本的内容に加えて、見出しに直接的メッセージ(相談してください)か共感的メッセージ(つらかったですね)のどちらかを含め、説明文に相談手段と支援者情報を組み合わせて8種類を作成した。6種類の自殺関連語を検索した結果として広告一つがランダムに表示されるようにGoogle広告を設定した。広告のリンク先ページからボタンをクリックすると電話相談窓口へ発信することができた。ボタンクリックの有無を従属変数、広告の要素を独立変数としたロジスティック回帰分析を行った結果、見出しは共感的メッセージよりも直接的メッセージの方が約1.6 倍、見出しが共感的メッセージの場合には相談手段を説明に含んだ方が約1.2 倍、ボタンクリックの割合が高くなった。すなわち、自殺の相談を促す広告には直接的メッセージと相談手段を含むことが望ましい。