著者
大津 史子
出版者
日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.2018-026, 2018 (Released:2018-11-03)
参考文献数
2

ディプロマポリシーなどで求める能力が,教育課程の成果として身についているかどうかを評価し,実質的な教育改善をすることが求められている.名城大学薬学部では,FD委員会で,教学IR(Institutional Research)に取り組んでいる.まずは,授業評価アンケートや学習活動調査,学習スタイル調査などのIRの基盤となる情報を一元的に蓄積し,他の学習成果の情報等も取り込み,多面的な分析が可能とする環境の構築(IR基盤データベース)を行った.また,ディプロマポリシー及び10の資質に対する長期的ルーブリックを作成し,後期終了時に,学生に1年間の学修成果を振り返らせる取り組みを導入した.本シンポジウムでは,現在取り組んでいる教学IRの事例として,学習成果とアクティブラーニング及び,学習スタイル調査との関連,さらに,ディプロマポリシー及び10の資質に対する自己評価について,検討結果の一端を紹介する.
著者
清水 忠 西村 奏咲 安田 恵 村上 雅裕 橋本 佳奈 大野 雅子 桂木 聡子 上田 昌宏 天野 学
出版者
日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.2018-014, 2018 (Released:2018-08-24)
参考文献数
7

薬学実務実習終了生を対象としたアンケート調査によれば,大半の学生は実習中に基礎薬学の知識を活用する機会は少なかったと感じていることが報告されている.その要因として,教員が基礎薬学は臨床現場でどのように役に立つかを具体的に説明できていないことが指摘されている.しかし,臨床現場での問題は基礎薬学が問題解決に有用となることもある.そのため,基礎系教員と臨床系教員が連携し基礎薬学の臨床現場での有用性を理解させ,それが可能であることを示すことが必要であると考えた.そこで,実務実習事前学習において有機化学を専門とする基礎系教員と実務家教員が連携した医薬品の配合変化に関する実習を実施し,終了後にアンケートを行った.この結果,受講生の90%以上が基礎薬学の内容が臨床の問題を解決するのに有用であることを意識できた.すなわち,基礎薬学が臨床現場でどのように役に立つかを意識させる実習を提供できたと考えられる.
著者
山田 勉
出版者
日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.2, 2018

<p>薬学教育評価は,「臨床に強い」「チーム医療を担える」薬剤師養成を目指す薬学教育のプログラム評価である.しかし評価結果では,国家試験合格のみを目指した教育に過度に偏重しているとの指摘が後を絶たない.そこで本稿では,「三つのポリシー」の観点から第2サイクルの課題を考察した.まず「薬剤師として求められる基本的な資質」は人格の深部に及ぶ資質・能力を教育目標としているが,薬学教育モデル・コアカリキュラムは「学習すべき内容」のみを記載しており,現実のカリキュラムと方略は大学が決める必要がある.また例えば知識には「知っている・できる」「わかる」「使える」という深さがあり,真正の評価が重要である.要するに,大学は基本的な資質をディプロマ・ポリシーに,パフォーマンス評価をカリキュラム・ポリシーに組み込み,薬学教育評価機構は国家試験対策の『総合演習』による卒業判定を,両ポリシー違反と認定することが課題である.</p>