著者
清水 忠 西村 奏咲 安田 恵 村上 雅裕 橋本 佳奈 大野 雅子 桂木 聡子 上田 昌宏 天野 学
出版者
日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.2018-014, 2018 (Released:2018-08-24)
参考文献数
7

薬学実務実習終了生を対象としたアンケート調査によれば,大半の学生は実習中に基礎薬学の知識を活用する機会は少なかったと感じていることが報告されている.その要因として,教員が基礎薬学は臨床現場でどのように役に立つかを具体的に説明できていないことが指摘されている.しかし,臨床現場での問題は基礎薬学が問題解決に有用となることもある.そのため,基礎系教員と臨床系教員が連携し基礎薬学の臨床現場での有用性を理解させ,それが可能であることを示すことが必要であると考えた.そこで,実務実習事前学習において有機化学を専門とする基礎系教員と実務家教員が連携した医薬品の配合変化に関する実習を実施し,終了後にアンケートを行った.この結果,受講生の90%以上が基礎薬学の内容が臨床の問題を解決するのに有用であることを意識できた.すなわち,基礎薬学が臨床現場でどのように役に立つかを意識させる実習を提供できたと考えられる.
著者
橋本 佳奈子 小林 康江
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.103-114, 2019 (Released:2019-06-30)
参考文献数
30

目 的緊急帝王切開で出産した初産婦の産後4か月までの出産に対する思いを明らかにする。方 法研究デザインはライフストーリー法を参考にした質的記述的研究である。母児ともに妊娠産褥経過が良好な緊急帝王切開で出産した初産婦3名に対し,診療録からデータ収集をした上で,半構成的面接を産後2週・4から6週・4か月の3回に縦断的に実施した。面接は出産体験について,体験したことや思考したことを自由に語ってもらった。結 果本研究では,3名の初産婦の緊急帝王切開に対する思いと,出産体験を意味づけるストーリーが語られた。母乳育児の成功体験により出産への後悔を払拭するA氏のストーリー,育児への自信と子供との絆を高めることで,経膣分娩への気持ちを整理し出産を肯定的に捉えていくB氏のストーリー,体験を語ることや自分がこの子の母親であると思える過程を経て,出産体験を意味づけしようとしているC氏のストーリーであった。緊急帝王切開に対する思いは,出産後育児を行う中で変化していた。結 論緊急帝王切開で出産した女性は,出産への自信や母親としての自信を喪失し,出産を不本意に思う気持ちと児が無事であったことに安心する気持ちの間で揺らいでいた。育児を行い子供や家族との関係を築く中から,産後4か月には緊急帝王切開であっても自分の出産に他ならない体験であると出産への思いは変化し,さらに第3者に思いを語ることで出産体験の受容は促進されていた。
著者
林 輝明 上田 昌宏 中澤 公揮 橋本 佳奈 桂木 聡子 天野 学 清水 忠
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.2021-039, 2022 (Released:2022-05-13)
参考文献数
10

基礎実習や臨床事前実習の学習効果を向上させるためには,受講生が既に学習済の内容が実習内容と繋がっているかを予習し,関連する部分の知識を整理した上で実習に取り組むことが望ましい.我々は,臨床事前実習コースの化学的な知識を踏まえた配合変化の学習において,チーム基盤型学習(TBL)を導入し,応用演習の部分に実習を位置づけた方略を構築した.授業終了後に行ったアンケートの因子分析およびクラスター分析の結果から,臨床に関連する化学的な知識に自信がなくてもTBLを経験することによって,実習内容が理解できたと実感している可能性が示された.TBLと実習を組み合わせた本授業方略が,化学的な知識と臨床を繋ぐ実習内容の理解度を高める可能性のあるプログラムであることが示唆された.
著者
橋本 佳奈 山村 省吾 冨田 裕之 泉 有希子 川村 洋介 野々垣 比路史
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.95-99, 2013

新生児における頭蓋骨陥没骨折の発生はまれであるが,その大部分は妊娠・分娩中の外傷に起因し,外傷既往のない先天性頭蓋骨陥没骨折の発生は4000~10,000分娩と極めてまれである.今回われわれは,受傷機転の明らかでない妊娠および分娩経過を経て出生した児に,右前頭骨陥没骨折を認めた1症例を経験した.26歳,1経産,身長149cmと低身長であるが狭骨盤や扁平仙骨は認めない.妊娠中の外傷既往はなく,妊娠39週5日に自然陣痛発来し,11時間31分の分娩時間を経て自然経腟分娩に至った.吸引・鉗子分娩やクリステレル圧出は行っていない.新生児は2640gの女児,Apgar scoreは1分値9点/5分値10点であった.出生時,右前頭部に3×4.5cm大の陥没を認め,頭部単純X線,CTを施行した.右冠状縫合に沿って右前頭骨の陥没を認めたが,頭蓋内病変は伴わず,明らかな神経学的症状も認めなかった.入院中,頭蓋内圧上昇や神経学的症状は出現せず.退院後も数週間の経過観察を行ったが,陥没骨折の改善傾向を認めなかったため,日齢28に頭蓋形成術を施行し,術後経過は良好である.非外傷性の新生児頭蓋骨陥没骨折の要因は,母体因子として子宮筋腫,子宮奇形,狭骨盤,および正常骨盤における第5腰椎,岬角,坐骨棘など,胎児因子として患児自身や多胎における他児の身体による圧迫などが挙げられる.しかし,出生前に頭蓋骨陥没骨折を予測,診断することは困難で,出生時に初めて診断されることがほとんどである.頭蓋内病変や神経学的合併症の多い外傷性陥没骨折と異なり,非外傷性の場合は出生時に合併症を伴わないことが多く,また自然治癒例もあり,その長期的予後は良好である.よって出生時に合併症を認めない非外傷性陥没骨折においては,まず経過観察を選択し,その間に外科的介入の必要性や時期,手法を検討することが可能であると考える.〔産婦の進歩65(1):95-99,2013(平成25年2月)〕