著者
木下 淳 山田 勉 安原 智久 清水 忠
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.2021-012, 2021 (Released:2021-06-09)
参考文献数
19

これまでの薬学教育研究の成果の多くは,大学単位で実施された研究成果に基づくものであり,測定方法や評価基準が大学ごとに異なることから,複数の研究成果を比較検討することが困難である.本プロジェクトでは,薬剤師に求められる基本的資質のうち「コミュニケーション能力」について,学習成果の測定方法および評価基準の統一化と大学間での測定結果の比較,さらには各大学における研究成果を用いたコンピテンシーへの到達度に関するメタアナリシスおよびシステマティック・レビューの作成を目指している.この総説では,オーガナイザーからシンポジウム開催の経緯を述べたのち,シンポジストより教育や内部質保証における「測定と評価」の意義と要点,教育を支えるメタアナリシスを目指す意義について述べたうえで,シンポジウム当日の議論について読者と共有したい.
著者
山田 勉
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.142, no.8, pp.799-812, 2022-08-01 (Released:2022-08-01)
参考文献数
24
被引用文献数
1

Under the current Model Core Curriculum for Pharmaceutical Education, competencies and program-level learning outcomes are not differentiated; furthermore, how competencies are developed by specific behavioral objectives, which are subdivided by specialty, needs to be clarified. A clear vision for ensuring academic as well as clinical competencies in Japanese pharmaceutical education, which emphasizes research and education in basic fields, is needed. Standardization is necessary to ensure improvement in quality over time. Thus, it is necessary to establish a model core curriculum as a standard. First, we assigned students a task designed for them to pursue outcome-based education from the perspective of developing competencies. Second, students learned about the importance of “conceptual understanding”, which enables them to form generalizations and principles that enable them to deal with new situations. Finally, we discussed the specifics of how to transfer understanding in the cognitive domain and proposed a “concept-based curriculum” that considers a hierarchy of competencies that includes the non-cognitive domain. In addition, we created a draft of a form that had check items for incorporating it into a real curriculum with an eye to practical use. The method used in the present study of organizing a curriculum corresponding to qualitatively different cognitive, metacognitive, and action systems may be applicable to other professions in the medical field.
著者
眞田 幸尚 山田 勉 石橋 聖 鳥居 建男
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第57回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.695-698, 2014 (Released:2016-03-02)

原子力機構では宇宙航空開発機構と共同で無人飛行機を用いた放射線モニタリングシステムの開発を行っている.無人飛行機は,現在,福島第一原子力発電所周辺でモニタリングに使用している無人ヘリコプターと比較し,長時間及び長距離のフライトが可能であり,緊急時にも遠隔で迅速にモニタリングできるメリットがある.本発表では,無人航空機で想定されるミッションに合わせた検出器の開発と事故の影響のある福島県で実施した適用試験の結果について述べる.
著者
佐藤 昌之 村岡 浩治 穂積 弘毅 眞田 幸尚 山田 勉 鳥居 建男
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.54-63, 2017 (Released:2017-04-05)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

This paper is concerned with the design problem of preview altitude controller for Unmanned Airplane for Radiation Monitoring System\nobreakspace {}(UARMS) to improve its control performance. UARMS has been developed for radiation monitoring around Fukushima Dai-ichi nuclear power plant which spread radiation contaminant due to the huge tsunamis caused by the Great East Japan Earthquake. The monitoring area contains flat as well as mountain areas. The basic flight controller has been confirmed to have satisfactory performance with respect to altitude holding; however, the control performance for variable altitude commands is not sufficient for practical use in mountain areas. We therefore design preview altitude controller with only proportional gains by considering the practicality and the strong requirement of safety for UARMS. Control performance of the designed preview controller was evaluated by flight tests conducted around Fukushima Sky Park.
著者
有本 宗仁 瀬在 明 中田 金一 大幸 俊司 石井 雄介 八百板 寛子 畑 博明 塩野 元美 樋口 義治 平山 篤志 岡田 京子 山田 勉
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.186-190, 2015-08-01 (Released:2016-01-25)
参考文献数
15

症例は55 歳女性,7 日前より全身倦怠感を認め,かかりつけ医(心療内科)を受診した.その後,症状の増悪を認め,前医に搬送された.心筋逸脱酵素の上昇を認め,緊急心臓カテーテル検査を施行したが,冠動脈の狭窄病変は認めなかった.血行動態が保てず,大動脈バルーンパンピング,経皮的心肺補助装置を挿入し当院へ搬送となった.劇症型心筋炎の診断で,左心補助人工心臓による循環補助を行ったが,右心不全の悪化を認め6 日後に,右心補助人工心臓による補助も施行し,加療を行うも奏功せず入院11 日目,死亡退院となった.劇症型心筋炎は稀な疾患であり,両心室補助人工心臓を施行した1 例を経験したので報告する.
著者
山田 勉
出版者
日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.2, 2018

<p>薬学教育評価は,「臨床に強い」「チーム医療を担える」薬剤師養成を目指す薬学教育のプログラム評価である.しかし評価結果では,国家試験合格のみを目指した教育に過度に偏重しているとの指摘が後を絶たない.そこで本稿では,「三つのポリシー」の観点から第2サイクルの課題を考察した.まず「薬剤師として求められる基本的な資質」は人格の深部に及ぶ資質・能力を教育目標としているが,薬学教育モデル・コアカリキュラムは「学習すべき内容」のみを記載しており,現実のカリキュラムと方略は大学が決める必要がある.また例えば知識には「知っている・できる」「わかる」「使える」という深さがあり,真正の評価が重要である.要するに,大学は基本的な資質をディプロマ・ポリシーに,パフォーマンス評価をカリキュラム・ポリシーに組み込み,薬学教育評価機構は国家試験対策の『総合演習』による卒業判定を,両ポリシー違反と認定することが課題である.</p>
著者
折本 善之 武井 昌秀 小山田 勉
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.203-206, 2003-04-05
被引用文献数
1

茨城県は日本ナシの栽培面積が1660 haと鳥取、千葉県に次ぐ主産県であり、品種別には'幸水'が全体の約6割と最も多い。茨城県の'幸水'成木に対する窒素施肥基準量は、黒ボク土における裸地栽培の場合、年間総量は250kg ha(-1)で基肥に8割、礼肥に2割の配分としている。従来の'長十郎'ではさらに、玉肥として果実肥大期に50 kg ha(-1)の窒素が加えられている。しかし、'二十世紀'での調査により玉肥は糖度低下や熟期遅延の原因となることが認められ、品質重視の'幸水'では玉肥を適用しない基肥主体の体系がとられている。しかし、本県における'幸水'の収量は近年低下傾向にあり、一部でこれを補うため施肥量や施肥回数が増加するなど施肥法に混乱が生じている。過剰な施肥は生産コストの増大を招くばかりでなく、地下水の硝酸汚染など環境にも悪影響を及ぼす危険性を有している。'幸水'は品質登録後約40年を経過するが、吸肥特性など栄養生理面の知見はそれほど多くない。そこで、効率的な施肥法開発の基礎資料を得るため、基肥を主体とする現行施肥基準のベースとなった'二十世紀'を対照象に、'幸水'の地上部新生器官(新梢、葉、果実)における窒素吸収特性を調査した。その結果、いくつかの知見を得たので報告する。