著者
西村 奏咲 清水 忠
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.2020-009, 2021 (Released:2021-03-23)
参考文献数
7
被引用文献数
1

KH Coderを用いたテキストマイニングにおいて,筆者らが試みた具体的な分析手順や注意点を交えながら述べる.2018年に実施した化学構造式研修会の受講者を対象として,選択式および自由記述式の項目からなるアンケート調査を実施し,アンケート用紙から得られた自由記述中の語句の関係を検討するために共起ネットワーク分析を行った結果,研修内容に対する理解度にばらつきが生じていることが示唆された.理解度の差による自由記述内容の違いについて検討するため,自由記述内容と研修に対する自己評価による理解度との対応分析を行った結果,理解できた点および理解できなかった点に関する自由記述内容は,受講者の自己評価による理解度別で異なっており,我々が想定した各テーマの難易度と,受講者が実感した各テーマの難易度は一致していたことが示唆された.テキストマイニングを行う際には,実施者が明らかにしたい意図に応じて分析手法を使い分けたり組み合わせたりすることにより,テキストデータのより深い解析が可能となると考えている.
著者
清水 忠 西村 奏咲 上田 昌宏
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.138, no.8, pp.1085-1093, 2018-08-01 (Released:2018-08-01)
参考文献数
7

Recently, it has been reported that only a small number of sixth-year students who had undergone a long-term pre-clinical training in the fifth year found organic chemistry useful. To explain this, we hypothesized that pharmacists are unable to utilize the knowledge of organic chemistry to solve clinical problems. With the aim of addressing this problem, we conducted a workshop consisting of a series of lectures and exercises on structural similarity, solubility, absorption, and metabolism of drugs based on a chemical structural formula. Then, we administered a questionnaire survey to 253 participants who had participated in our workshop. The questionnaire comprised 17 questions, and free descriptions were analyzed using text mining. Results showed that, although about 45% of the participants confirmed the chemical structural formula described in the medical package insert, and about 22% of the participants had the opportunity to check the metabolites described in the drug interview form, more than 90% of the participants were interested in the workshop contents. Thus, pharmacists may want to learn how the process of utilizing the chemical structural formula can be applied to their clinical practice.
著者
清水 忠 西村 奏咲 安田 恵 村上 雅裕 橋本 佳奈 大野 雅子 桂木 聡子 上田 昌宏 天野 学
出版者
日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.2018-014, 2018 (Released:2018-08-24)
参考文献数
7

薬学実務実習終了生を対象としたアンケート調査によれば,大半の学生は実習中に基礎薬学の知識を活用する機会は少なかったと感じていることが報告されている.その要因として,教員が基礎薬学は臨床現場でどのように役に立つかを具体的に説明できていないことが指摘されている.しかし,臨床現場での問題は基礎薬学が問題解決に有用となることもある.そのため,基礎系教員と臨床系教員が連携し基礎薬学の臨床現場での有用性を理解させ,それが可能であることを示すことが必要であると考えた.そこで,実務実習事前学習において有機化学を専門とする基礎系教員と実務家教員が連携した医薬品の配合変化に関する実習を実施し,終了後にアンケートを行った.この結果,受講生の90%以上が基礎薬学の内容が臨床の問題を解決するのに有用であることを意識できた.すなわち,基礎薬学が臨床現場でどのように役に立つかを意識させる実習を提供できたと考えられる.
著者
清水 忠 西村 奏咲 大原 隆司
出版者
日本リメディアル教育学会
雑誌
リメディアル教育研究 (ISSN:18810470)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.29-37, 2020 (Released:2020-08-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本実践研究では,初年次導入科目で高校化学と有機化学が薬学臨床に活かせるという内容についてチーム基盤型学習による授業をデザインした。受講生の知識習得度の変化と受講後に行ったリフレクションペーパーの記述について解析した結果,受講後に有機化学の知識が向上し,さらに,有機化学の知識が臨床に活かせることを初年次学生に意識付けられ,学習意欲の向上を図れたことを明らかとした。