- 著者
-
駒谷 真美
- 出版者
- 昭和女子大学短期大学部
- 雑誌
- 挑戦的萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2007
本研究の内容本研究の背景として、博士論文(お茶の水女子大学大学院,2006,駒谷)で、幼児期と児童期それぞれの時期に適応したメディアリテラシー(以下MLと略す)教育を日本で初めて開発し、「ML教育と子どもの生態学的環境モデル」を構築した。更なる研究の萌芽を育成する視点から、幼児教育と小学校教育の場でのML教育の普及を期待し、その方略として、教育学的視点から幼稚園年長児から小学校1年生までを対象に、接続期を意識したML教育の幼小連携カリキュラムを開発した。平成19年度は、米国でのML教育のカリキュラムとレッスンスタディの技法を研修し、本研究のカリキュラム試案をまとめた。平成20年度は、【接続期前期】のカリキュラムを玉川学園幼稚部で実践した。平成21年度は、【接続期中期】と【接続期後期】のカリキュラムの継続実践を行った。本研究の意義と重要性国内外では初めてML教育において接続期を意識し、幼児期から児童期の統合性と継続性を持つ幼小連携カリキュラム「メディアであそぼ!」を開発した点に、本研究の意義を見出せる。具体的には、玉川学園幼稚部で【接続期前期】(年長児後半)プロジェクト「好きな遊びのCMを作ろう!」(グループで遊んでいるCMを作成し発表)、同学園初等部で【接続期中期】(小学1年入学~ゴールデンウィーク前)プロジェクト「自分CMを作ろう!」(各自自己紹介のCMを作成し発表)、【接続期後期】(ゴールデンウィーク後~1学期末)プロジェクト「クラスのニュース番組を作ろう!」(初めてのグループ活動で、入学以降クラスで体験した行事や勉強について、ニュースを作成し発表)を実践した。「メディアであそぼ!」は、幼稚園では「ことば」「表現」の領域、小学校では「国語科」に該当する。全実践をビデオカメラで記録しテープ起こしを行い、事前事後アンケートやインタビューを実施した分析結果から、時期を重ねるごとに、メディア活動の体験を通して「メディアは作られている」というML教育の基本概念に対する気づきが表出し、自己表現活動・グループ活動を通して「言語活動の充実」が認められるに至った。接続期におけるML教育の重要性が示唆された。