著者
岡本 葵 藤田 英典
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A 教育研究 = Educational Studies (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
no.51, pp.93-102, 2009-03-31

アファーマティブ・アクションの目的は,過去の社会的・構造的差別によって何らかの不利益を被ってきた人々に対して積極的な配慮を行うことによって,実質的な機会均等を社会全体として達成することにある.しかし,今日,この概念の起源国アメリカにおいて,アファーマティブ・アクションを「逆差別」「反能力主義」とする批判が増加している.本稿は,アメリカにおけるアファーマティブ・アクションの展開を概観する中で,真の意味での「能力主義」を達成するためには,実質的な「機会均等」をめざすアファーマティブ・アクションの実施が有効な手段になり得ることを検討する.
著者
藤田 英典
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-33, 1991

「学校の荒廃」「教育の病理」が言われるようになって一五年ほどになる。この間、さまざまの診断がくだされ、処方箋が提示され、改革の努力がなされてきた。しかし、問題状況は依然として続いている。〈問題〉は解消されるのでなく、むしろ〈問題〉に対処するための制度づくり・組織づくりがなされている。なぜか。それは〈問題〉が構造的基盤をもっているからであろう。本稿では、その構造的特質について、〈分節型社会〉〈学校化社会〉〈情報化社会〉〈クロスオーバー型趣味縁社会〉と言った観点から社会学的に考察する。
著者
玉井 航太 藤田 英典
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A 教育研究 = Educational Studies (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.5-16, 2017-03-31

近年,「エビデンスに基づく教育」が注目を集めている。「エビデンス」という言葉は実証された科学的根拠の意味で用いられ,ランダム化比較試験(RCT)による実験デザインを用いた研究が焦点化される。しかし,教育という社会的現実は流動的であり,多くの変数で構成されるため,RCTによる実験デザインは因果関係の検証に有効だが,社会調査の文脈において現実的ではない。そこで,本稿はRCTの方法論的側面における既存の問題を議論し,縦断データの解析方法を紹介した。まず,教育の文脈におけるRCTに関する方法論的問題を概観した。次に,2 時点データから因果関係を分析するモデルとして交差遅延効果モデルと同時効果モデルについて述べ,3 時点以上のデータを分析するモデルとして,潜在曲線分析,潜在曲線混合モデル,混合軌跡モデルの基本的概念を説明した。最後に,本稿は,教育学的研究が実証科学のための適切な方法論を用いることを提唱し,エビデンスに基づく教育のための方向性を示唆した。Recently the term "evidence-based education" has been attracting a great deal of attention. The word'evidence' is used to mean substantiated scientific grounds, based on studies using experimental designs that are known to gather data through randomized control trials (RCT). However, while an experimental design with RCT is effective for examining causal relationship, it is not realistic in the context of social surveys,because the real social world of an educational setting is highly fluid, confaining many variables. Thus, in this paper the existing problems with RCT in terms of methodological aspects are discussed, and analytical methods for longitudinal data are introduced. First, this paper examines methodological issues concerning RCT in the context of education. Second, a cross-lagged effects model and a synchronous effects model are described as models by which to analyze causal relationship in data collected over two points in time. Third,basic concepts of latent curve analysis, a latent curve mixture model, and group-based trajectory analysis are explained as a model by which to analyze data collected over three or more points in time. Finally, this paper proposes that educational research use an appropriate methodology for empirical science, and suggests directions for evidence-based education research.
著者
藤田 英典
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
日本教育学会大會研究発表要項
巻号頁・発行日
vol.68, pp.78-79, 2009-08-12

バブル経済期以降のアパシー的な文化社会状況と新自由主義的な教育制度改革及び最近の経済不況などが重なる中で、子どもの生活・学習環境と教育機会の劣化・格差化が進んでいる。本報告では、(1)その問題状況を幾つかのデータで確認し、(2)近年の教育改革の特徴・問題性について教育の公共性と私事性、教育における自由権と社会権、及び国家・社会の責任を中心に検討し、(3)ソーシャル・キャピタルとしての公教育への信頼・協働の回復・促進と学びの共生空間の確保・充実の可能性について検討する。
著者
山田 真紀 藤田 英典
出版者
椙山女学園大学教育学部
雑誌
椙山女学園大学教育学部紀要 = Journal of the School of Education, Sugiyama Jogakuen University (ISSN:18838626)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.111-127, 2022-03-01

同じ質問項目を用いた二つの質問紙調査PACT1995とNAPP2018を用いて,この22年間に,教員の意識のうち「同僚との関係性」「学校の役割範囲」「教職観や働き方」の3点においてどのような変化があったのかを統計的に明らかにすることを試みた。その結果,①同僚性については,同僚との関係性が希薄化し,同僚関係を負担に感じる教員が増加しているとともに,他の教師の学級経営について議論の俎上にあげていた風土も,余計な軋轢を避けるための不干渉へと移りつつあること,②学校の役割範囲については,生活習慣・基礎的学力・受験学力・思いやりなどの社会性を学校の役割範囲ととらえる割合が低下し,限定的な教職観を持つ教員が増加していること,③教職観や働き方については,教職のサラリーマン化ともいえる傾向が進み,あまり努力することなく,熱意を持つこともなく,淡々と勤務するタイプの教師が増えていること等を明らかにすることができた。
著者
藤田 英典
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.439-449, 2012-12-20
被引用文献数
2

1990年代半ば以降,貧困・経済的格差が新たな社会問題として浮上し,子どもの生活・福祉・教育機会や発達にも深刻な影響を及ぼすようになった。本稿では.その現代的な貧困・格差の実態・特徴と子どもへの影響について,学力形成・教育達成と児童虐待を中心に,以下の構成で検討・考察している。(1)現代の貧困・格差や文化・社会のありようを踏まえ,その環境諸要因が子どもの発達の諸側面に及ぼす影響について仮説的な概念図を提示し,貧困が及ぼす影響の重大性を指摘する。(2)貧困・経済的格差の実態と子どもの教育達成・学力形成に及ぼす影響について種々の統計データに基づき検討し,貧困・格差の構造的複合性を指摘し,教育格差・学力格差の生成メカニズムについて経済的要因と文化的要因・社会心理的要因・学校要因が重なり合って格差が生成されていることを論じる。(3)児童虐待の実態とリスク要因について検討し,貧困が,単親家庭や孤立・育児疲れ等と相まって,その主要なリスク要因になっていることを確認する。(4)貧困・格差の再生産の傾向が強まっていることを確認し,今後の政策的・社会的課題について若干の私見を略述する。
著者
乾 彰夫 中村 高康 藤田 武志 横井 敏郎 新谷 周平 小林 大祐 本田 由紀 長谷川 裕 佐野 正彦 藤田 武志 横井 敏郎 藤田 英典 長谷川 裕 佐野 正彦 佐藤 一子 本田 由紀 平塚 眞樹 大串 隆吉 関口 昌秀 上間 陽子 芳澤 拓也 木戸口 正宏 杉田 真衣 樋口 明彦 新谷 周平 安宅 仁人 小林 大祐 竹石 聖子 西村 貴之 片山 悠樹 児島 功和 有海 拓巳 相良 武紀
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、変容する若者の学校から仕事への移行実態を把握するため、調査開始時点で20歳の若者の18歳時点から24歳までの間の就学・就労等をめぐる状態変化と、その過程での諸経験・意識等を、同一対象者を継続的に追跡するパネル方式で調査したものである。このような調査では対象者からの毎回の回答率を維持し続けることが最も重要であるが、本研究では中間段階で予定を上回る回答率を達成できていたため、調査期間を5年間に延長する計画変更をおこない、最終年度を待たず次課題繰り上げ申請を行った。調査は次課題期間にわたって継続する予定である。収集されたデータの中間的分析はおこなっているが、本格的分析は今後の課題である。
著者
宮島 喬 藤田 英典
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.398-399, 1992-08-07
著者
藤田 英典 紅林 伸幸 酒井 朗 油布 佐和子 名越 清家 WONG SukーYin
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究は、日本、カナダ,アメリカ、イギリス第8カ国の国際比較共同研究「教師の専門性と教師文化に関する国際比較研究(略称:PACT)」の一環として、PACT日本チームによって行なわれたもので、学校教育及び教師の仕事の改善に資することを目的として、文献研究、エスノグラフィ調査、及び質問紙調査を行い、日本における教職の専門性と教師文化の構造・特質について考察したものである。その成果と知見は多岐にわたるが、主なものは以下の通りである。1.教師文化と教育実践に関するエスノグラフィ的研究平成6年度に1年間にわたって4地域の小・中学校各1校(計8校)でフィールドワークを行ない、教師の仕事と教師文化について考察を行った。その成果の一部は、「II.研究発表」欄に記載の論文等にまとめられている。また、その知見の一部としては、教師の仕事が多種多様な作業(ワーク)によって構成されており、それが重層的に展開していることのなかに、教職の専門性や教師の多忙感の基盤があることが明らかにされた。2.教師の生活と意識に関する質問紙調査平成7年7月〜9月に全国8都県の小・中学校教師2053人を対象に実施し、教師の生活と教師文化の構造について考察した。その成果の一部は、「II.研究発表」欄に記載の研究報告書にまとめられている。同報告書において、教師の同僚性、教職の専門性、教員集団の構造、学校の組織構造などが考察・解明されている。3.PACT国際会議等での研究成果の発表平成7年4月の全米教育学会大会(AERA)、同年同月のロンドンでのPACT国際会議等、研究成果の一部を発表した。なお、今後さらに、英文で研究成果をまとめ公表する予定である。
著者
岡本 葵 藤田 英典
出版者
国際基督教大学
雑誌
教育研究 (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
no.51, pp.93-102, 2009-03

アファーマティブ・アクションの目的は,過去の社会的・構造的差別によって何らかの不利益を被ってきた人々に対して積極的な配慮を行うことによって,実質的な機会均等を社会全体として達成することにある.しかし,今日,この概念の起源国アメリカにおいて,アファーマティブ・アクションを「逆差別」「反能力主義」とする批判が増加している.本稿は,アメリカにおけるアファーマティブ・アクションの展開を概観する中で,真の意味での「能力主義」を達成するためには,実質的な「機会均等」をめざすアファーマティブ・アクションの実施が有効な手段になり得ることを検討する.
著者
藤田 英典
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
日本教育学会大會研究発表要項 (ISSN:2433071X)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.78-79, 2009-08-12 (Released:2018-04-20)

バブル経済期以降のアパシー的な文化社会状況と新自由主義的な教育制度改革及び最近の経済不況などが重なる中で、子どもの生活・学習環境と教育機会の劣化・格差化が進んでいる。本報告では、(1)その問題状況を幾つかのデータで確認し、(2)近年の教育改革の特徴・問題性について教育の公共性と私事性、教育における自由権と社会権、及び国家・社会の責任を中心に検討し、(3)ソーシャル・キャピタルとしての公教育への信頼・協働の回復・促進と学びの共生空間の確保・充実の可能性について検討する。
著者
藤田 英典
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.439-449, 2012-12-20 (Released:2017-07-28)
被引用文献数
6

1990年代半ば以降,貧困・経済的格差が新たな社会問題として浮上し,子どもの生活・福祉・教育機会や発達にも深刻な影響を及ぼすようになった。本稿では.その現代的な貧困・格差の実態・特徴と子どもへの影響について,学力形成・教育達成と児童虐待を中心に,以下の構成で検討・考察している。(1)現代の貧困・格差や文化・社会のありようを踏まえ,その環境諸要因が子どもの発達の諸側面に及ぼす影響について仮説的な概念図を提示し,貧困が及ぼす影響の重大性を指摘する。(2)貧困・経済的格差の実態と子どもの教育達成・学力形成に及ぼす影響について種々の統計データに基づき検討し,貧困・格差の構造的複合性を指摘し,教育格差・学力格差の生成メカニズムについて経済的要因と文化的要因・社会心理的要因・学校要因が重なり合って格差が生成されていることを論じる。(3)児童虐待の実態とリスク要因について検討し,貧困が,単親家庭や孤立・育児疲れ等と相まって,その主要なリスク要因になっていることを確認する。(4)貧困・格差の再生産の傾向が強まっていることを確認し,今後の政策的・社会的課題について若干の私見を略述する。