著者
桑波田 浩之
出版者
横浜経済学会
雑誌
エコノミア (ISSN:00129712)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.57-71, 2015-05

2011 年3 月に発生した東日本大震災は,多くの東北地方の企業に深刻な被害をもたらし,輸出は一時的に急激な落ち込みを見せた.震災の影響は被災企業だけにはとどまらず,被災企業が含まれるサプライチェーンが分断されることで,取引ネットワークに含まれる生産者にも影響を与えた.この輸出の縮小がどのようなプロセスで生じたかという点は,研究者や政策担当者の大きな関心事である.本論文は,震災により日本が急激な輸出額の落ち込みを経験した2011 年の3 月から6 月における港別,品目別に細分化された日本の貿易統計を用いて,2011 年の大震災の輸出額への影響を定量的に分析した.分析は,貿易総額の変化を品目数や品目当たりの取引相手国の増減による変化(extensive margin)と,品目当たりの平均輸出額の増減(intensive margin)へそれぞれ分解し,震災後の変化を調べた.その結果,出荷港別の分析では,震災の影響が大きかった東日本の港において,輸出額減少の大部分はintensive margin で説明されるものの,2011 年5 月,6 月の回復に向かう途上でextensive margin の影響が大きくなっていることが明らかになった.また,品目別の分析では,東北地方の主要産業である電気機器や自動車産業の品目において,輸出減はextensive margin よりもintensive margin の落ち込みが大きく寄与していることが示された.
著者
西川 輝
出版者
横浜経済学会
雑誌
エコノミア (ISSN:00129712)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1・2, pp.25-42, 2020-03-31
著者
坂井 豊貴
出版者
横浜経済学会
雑誌
エコノミア (ISSN:00129712)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.1-9, 2018-02
著者
吉元 宇楽
出版者
横浜経済学会
雑誌
エコノミア (ISSN:00129712)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.15-29, 2015-11-30

アベノミクスにより円高が是正され,2014 年には1 ドル120 円台を推移するほど円安が進んだ.このような円安局面の中,輸出企業の採算改善という「円安効果が現れている部分」と,輸出量が変化せずに貿易収支が改善しないという「期待されていた円安効果が現れない部分」が出てきている.これら全てを踏まえて,アベノミクスの円安は輸出企業の業績にどのような影響を与えるのかを考察する.本論文では為替レートが企業収益に影響を及ぼす経路を二つに区分し,実証分析を行った.一つは所得収支や海外売上高増減を通じた影響であり,海外での収益や配当金などが為替レートによって決算時に膨れ上がる(萎む)などにより生じるものである.もう一つが輸出競争力や企業固有のその他の要因による影響である.本論文の実証分析では,それぞれの分析期間でこれらの要因のどちらが企業収益に有意に影響しているかについてパネル分析を行った.その結果,円高期(2007~ 2011 年)には輸出競争力など企業固有の要因が企業収益の増加に有意に正の影響を与え,逆に円安期(2012 ~ 2013 年)には海外からの所得収支の増加が輸出企業の採算改善に強く影響したことが明らかになった.したがって,アベノミクスの円安は海外で活躍する企業の収益に対して,総じて好影響を与えている.円安や株高,投資家マインドの改善などあらゆるものが,企業行動を活発化させるだろう.
出版者
横浜経済学会
雑誌
エコノミア (ISSN:00129712)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1・2, pp.71-78, 2017-03
著者
大泉 啓一郎
出版者
横浜経済学会
雑誌
エコノミア (ISSN:00129712)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1・2, pp.1-17, 2017-03