著者
竹原 健二
出版者
独立行政法人国立成育医療研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究の主たる目的は、妊産婦とそのパートナーにおいて、妊娠期から産後にかけてメンタルヘルスが不調になる者の割合を把握することとした。本研究では、愛知県西尾市に妊娠届を提出した妊婦とそのパートナー262組から同意を得て、妊娠20週、産後数日、2週、1か月、2か月、3か月の計6回の調査を実施した。妊産婦のパートナーにおけるEPDS+(8点以上)の者の割合は、妊娠20週から産後3か月にかけて、9.1%、8.1%、3.4%、5.8%、8.5%、7.1%であった。本研究の結果から、妊産婦のパートナーであるわが国の男性も、妊娠期や産後には、メンタルヘルスの問題を抱えるリスクが高いことが示された。
著者
藤原 武男
出版者
独立行政法人国立成育医療研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、日本において養育者に乳児の泣きに関する正しい知識と適切な対応に関する教材を用いて介入することにより、虐待予防に必要な知識と行動の変容があるかどうかを、ランダム化比較試験により検証した。その結果、介入群は、泣きの知識および突発的な揺さぶりを防ぐと考えられる行動を有意に多くとっていた。日本においても、この教材により乳児の虐待を予防できることが示唆された。
著者
高田 修治
出版者
独立行政法人国立成育医療研究センター
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2011

申請者は本提案によりIG-DMRの解析を中心としたPlk1-Pio3インプリンティング領域の遺伝子発現制御、DNAメチル化の確立、DNAメチル化維持の分子メカニズムを解明することにより生殖細胞の正常な分化に必須の領域であるIG-DMRの機能を同定し、将来の再生医学、再生医療への応用のための分子基盤を築いていきたいと考えている。今年度は昨年度までに同定したIG-DMR内の進化上保存された配列とIG-DMR内の特異的リピート配列に対する結合タンパク質の精製とその同定を行った。DNA配列をビーズに結合し、胎生13.5日の核タンパク質をプルダウンすることにより結合タンパク質を精製、その後DSD-PAGEと銀染色によりタンパク質を可視化、質量分析によりタンパク質を同定する手法を用いた。その結果、IG-DMR内の特異的リピート配列に結合する因子の一つとして、ピストンのメチルトランスフェラーゼの一種であるSmyd2が同定された。まだ質量分析による同定までには至っていないが、進化上保存された配列に特異的に結合するタンパク質も銀染色により確認できている。また、今までにこのリピートに結合する因子の候補として酵母One hybrid法でZbtb22を同定している。Zbtb22ノックアウトマウスの作製と掛け合わせを行ったが、Zbtb22ノックアウトマウスは妊性のある正常な個体であった。Zbtb22ノックアウトマウスでのDlk1とGt12の発現解析をreal-time RT-PCRにより行ったが、Zbtb22がインプリンティングの確立や維持には影響がないという結果を得た。現在メチル化解析を行っているところである。
著者
飯島 一智
出版者
独立行政法人国立成育医療研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

バーキットリンパ腫 (BL) において特異的に発現するZinc Finger型タンパク質ZNF385Bの発現と機能を解析した。ZNF385BはBLのnormal counter partと考えられている、胚中心のB細胞において発現していた。薬剤依存的にZNF385Bを発現誘導可能なB細胞腫瘍細胞株を作成した。最も長いアイソフォーム (IF-) 1がアポトーシスを誘導するのに対し、N末のZinc Fingerドメインを欠くIF-2/3はB細胞受容体に対する抗体刺激やCD20架橋刺激によって誘導されるアポトーシスを抑制した。ZNF385Bは成熟B細胞においてp53と結合し、FAS/CD95, PERPの転写活性を変化させることでアポトーシス制御に関与していることが示された。
著者
大田 えりか
出版者
独立行政法人国立成育医療研究センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本における人口レベルでの人口動態調査出生票・死亡票を用いた単胎・双胎症例を対象としたpopulation-basedの在胎週数別出生時体重基準値の推定を行い、スプライン関数によって平滑化した基準曲線を作成した。双胎の早期新生児死亡のハイリスクとなるのは、26週未満の早産児、母親の年齢が24歳以下、ペア間の体重差が大きいSGA児であった。高齢出産の低出生体重児出生のリスクは、近年減少しており、差はなかった。早産に限ると、高齢出産は1.5倍リスクは高いが、減少傾向であった。これは、20代での早産および低出生体重児出生が増加している影響と考えられる。地方と都市部での差はみられなかった。