著者
李 志炯 崔 庭瑞 小山 慎一 日比野 治雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.5_101-5_108, 2017-01-31 (Released:2017-03-10)
参考文献数
18

文字の太さは人間の感情や態度などと関係がある。たとえば,文字を読む際に太さが変化しても文字の意味が伝わるのは同様であるが,受ける印象には差が生じる。そのため,正確なコミュニケーションの実現のためには文字の太さと印象の関係について検討する必要がある。そこで,本研究では明朝体,ゴシック体の2書体それぞれのひらがなとカタカナを対象に文字の太さ(レギュラー,セミ・ボールド,エクストラ・ボールド)による印象の変化についての検討を加えた。その結果,明朝体のひらがなの場合,レギュラーでは柔和性・高級感・女性的な印象などが,他の太さでは柔和性・重厚性・男性的な印象などが抽出された。一方,明朝体のカタカナ・ゴシック体のひらがなおよびカタカナの場合,レギュラーでは先鋭性・高級感・女性的な印象などが,他の太さでは先鋭性・重厚性・男性的な印象などが抽出された。これらの結果により,文字の太さごとの印象の特徴および文字の太さによる印象の変化が明らかになった。
著者
金 美英 李 志炯 崔 庭瑞 八馬 智 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.79-86, 2012-07-31

景観評価に関する研究は評価される景観の特徴に焦点を当てたものが多く、評価者の心理に焦点を当てた研究はほとんど見られない。本研究では、工場景観愛好者と非愛好者の心理学的評価特性を印象評価および眼球運動実験を通じて比較した。印象評価実験では、工場・橋・歴史的建造物の景観において形容詞対を用いて評価した。眼球運動実験では、これらの景観を評価する際の眼球運動および瞳孔径を測定した。その結果、印象評価実験では、工場景観愛好者は非愛好者よりも多様な評価基準を用いて工場景観を評価していることが示唆された。また、工場景観愛好者では工場景観鑑賞時に垂直方向の眼球運動が活発に見られ、瞳孔径の拡大も認められた。以上の結果から、工場景観愛好者は工場景観鑑賞時に非愛好者よりも活発な情報収集を行い、多様な評価基準を用いて評価していることが明らかになった。工場景観に対する興味や愛着によって活発な情報収集と多様な評価基準による評価が引き起こされるとともに、これらの行為によって工場景観に対する愛着が促進されていると考えられる。
著者
河瀬 絢子 崔 庭瑞 李 志炯 泉澤 恵 日比野 治雄 小山 慎一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.2_81-2_88, 2016-07-31 (Released:2016-11-15)
参考文献数
21

本研究では,専門家・非専門家のOTC医薬品記載情報への注視方法とリスク評価の相違点を明らかにするため,一般消費者(一般学生),専門家(薬学生,薬剤師)に対してOTC医薬品に関する眼球運動計測実験と質問紙調査を行った。眼球運動計測実験では、被験者は,3種類のOTC医薬品の中から最も購入したいとおもった1品を選択した。課題遂行中,「製品名」,「キャッチコピー」,「成分」,「使用上の注意」等の12の外箱記載項目に対する視点の停留時間が計測された。眼球運動計測実験の結果,専門家は一般消費者よりも「成分」,「使用上の注意」,「薬効分類」を長時間注視する傾向がみられた。質問紙調査では専門家が一般消費者よりもOTC医薬品の副作用リスクを高く評価した。以上の結果から専門家はOTC医薬品の副作用リスクを高く評価するとともに「成分」,「使用上の注意」,「薬効分類」等の詳細情報をよく読んでいることが示唆された。専門家による高いリスク評価を一般消費者に伝えるためには,リスク情報を強調した外箱情報デザインが有効である可能性がある。
著者
李 志炯 Lee Jee-Hyung
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.20, pp.166(93)-149(110), 2002-03-31

はじめに 関東大震災を語る際、最も多く用いられることばは〈未曾有〉である。そのことばは当然そのような出来事の希有さを意味するものであるが、その希有さとは、単に地震そのものや「日本史上最大」といわれる被害規模の大きさのみに向けられるものではない。 ...
著者
李 志炯 崔 庭瑞 小山 慎一 日比野 治雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.5_101-5_108, 2017

文字の太さは人間の感情や態度などと関係がある。たとえば,文字を読む際に太さが変化しても文字の意味が伝わるのは同様であるが,受ける印象には差が生じる。そのため,正確なコミュニケーションの実現のためには文字の太さと印象の関係について検討する必要がある。そこで,本研究では明朝体,ゴシック体の2書体それぞれのひらがなとカタカナを対象に文字の太さ(レギュラー,セミ・ボールド,エクストラ・ボールド)による印象の変化についての検討を加えた。その結果,明朝体のひらがなの場合,レギュラーでは柔和性・高級感・女性的な印象などが,他の太さでは柔和性・重厚性・男性的な印象などが抽出された。一方,明朝体のカタカナ・ゴシック体のひらがなおよびカタカナの場合,レギュラーでは先鋭性・高級感・女性的な印象などが,他の太さでは先鋭性・重厚性・男性的な印象などが抽出された。これらの結果により,文字の太さごとの印象の特徴および文字の太さによる印象の変化が明らかになった。
著者
李 志炯
出版者
筑波大学
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.51(146)-72(125), 2001

はじめに 島崎藤村の『新生』は、従来、〈告白〉文学として扱われることが多かった。その理由は、藤村が、姪こま子との近親相姦の関係をこの作品によって公表した、と読者が受け取ってきたからに他ならない。 ...
著者
李 志炯 Lee Jee-Hyung
出版者
筑波大学比較・理論文学会
雑誌
文学研究論集 (ISSN:09158944)
巻号頁・発行日
no.21, pp.176-154(1, 2003-03-31

はじめに 『分配』は、昭和二年八月『中央公論』に発表された島崎藤村の短編小説である。この小説は、藤村の晩年の大作である歴史小説『夜明け前』以前に書かれたものとしては最後の小説である。小説の内容は藤村の実体験を題材としている。 ...