著者
川内 規会
出版者
青森県立保健大学雑誌編集委員会
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.11-19, 2011-12

本研究は、震災直後の聴覚障害者の情報授受の問題と今後の課題を明確にすることがねらいであり、情報を伝える側と受ける側の両側面を通して、人と人の関わりをコミュニケーションの視点から考察するものである。震災直後では、人々は家族、知人の安否情報、避難情報、生活維持のための情報が絶たれたことにより不安が増大した。特に、聴覚障害者にとっては、健聴者の一番の情報源であるラジオが使用できず、また口頭で伝えられる情報も入らない。避難所では口頭の指示は理解できず、人とコミュニケーションをとりながら情報を得ること自体に難しさを感じ、不安と精神的負担が大きくなる。本稿は震災シンポジウムから得た聴覚障害者の意見と事前の質問紙調査の結果を通して、震災後の人と人との関わり、情報授受に関する不安と課題を再考する。また、「見えるラジオ」の現状を伝えるとともに、災害時に災害情報を正確に、迅速に、簡潔に伝える「やさしい日本語」が、外国人のみならず、聴覚障害者にも情報授受の観点から有効であることを提示する。This study aimed to clarify problems with giving and receiving of information by hearingimpaired persons after the earthquake disaster and to rethink interpersonal communication through information. After the earthquake, people were concerned about getting information on the whereabouts and safety of family members, friends and acquaintances, evacuation areas and the status of life lines. People received a lot of information from the radio and by word of mouth; however, hearing-impaired persons could not get such information. They had a hard time to get real on time information in the disaster area and shelters. Through questionnaires we got data from hearing-impaired persons who were in shelters and the disaster area. Responses from these questionnaires combined with information from the Symposium of Earthquake Communication clearly show the need to examine the giving and receiving of information after a disaster. We need to reconsider the use of "Mieru-radio/ teletext broadcasting." Furthermore, we suggest the use of "Yasashii-Nihongo /Easy-Japanese" during stays at shelters is not only beneficial for foreigners but also for hearing-impaired persons.
著者
千葉 敦子 石田 賢哉 大西基喜 小笠原 メリッサ 宮川 隆美 木村 美穂子 水木 希 澤谷 悦子 梅庭 牧子 奥村 智子
出版者
青森県立保健大学雑誌編集委員会
雑誌
青森県立保健大学雑誌 = Journal of Aomori University of Health and Welfare (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.23-28, 2017-03

保健協力員は県民の健康増進の担い手としてその活動が期待されている。しかし,青森県では保健協力員の活動は行政が中心となり,主体的な活動が十分には行えていないという課題や,担い手不足による固定化と高齢化が指摘されている。そこで,保健協力員活動の活性化策を検討するために,A保健所管内の保健協力員を対象に無記名自記式質問紙調査を行い,活動の主体化およびヘルスリテラシーの現状を明らかにした。 その結果,主体化評価指標の総合得点は市町村間で有意な差はないことがわかった。このことから,保健協力員の質は合同研修等により一定の水準が保たれていることが考えられ,県民全体の健康増進の向上という面からは望ましい結果であると考えられた。ヘルスリテラシー尺度得点と個人属性との関連では,年齢が高い者,健康状態が良好な者,他の役割がある者でヘルスリテラシー得点が統計的に有意に高いという結果が得られた。固定化や高齢化を強みとして保健協力員の活動の強化に活かすことが可能であることが示唆された。