著者
石田 賢哉 笹原 まい子 波田野 隼也 長谷川 さとみ
出版者
青森県立保健大学研究推進・知的財産センター研究開発科雑誌編集専門部会
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.23-30, 2016-03

介護保険サービス利用者のうち,青森市成年後見制度利用支援事業(以下,本事業とする)対象者の見込値を把握することを目的に実態調査をおこなった。青森市内の68施設,167名の介護支援専門員から回答が得られた(施設単位でみる返信率51.1%)。担当件数総数は5302件で,そのうち判断能力に問題のある件数は1961件であり,所在地を青森市内とする1771名を分析対象とした。母比率の推定の結果,介護保険サービス利用者のうち,本事業の対象者の推計値は54名から108名であった。判断能力に問題があるものの,現在成年後見制度を利用しておらず,身寄りのある人は推計値で3857名から4186名であった。身寄りのない利用者は低所得者,統合失調症を有している人が多いことが明らかになった。継続的な実態調査をおこない,利用者層の変化の把握や利用者のニーズの掘り起こしをおこなう必要がある。The Adult Guardian System (AGS) was implemented in 2000. In 2012, municipalities should provide the Support Program to Utilize the Adult Guardian System for the Persons with Disabilities (SPUAGS) as community life support services.The purpose of this study was to investigate the actual conditions of the persons who used the Long-term care insurance service in Aomori city and to estimate the number of persons who would be able to use the SPUAGS. The study group sent questionnaires to the service providers, 68 of 133 providers (51.1 % ) answered the questionnaires, which covered 5302 users' information.1771 users out of 5302 any that problems with judgment capacities due to mental disabilities.The results showed that 2% of the users might be applicable to SPUAGS and about 4000 users might use AGS in the future. There was a tendency that the schizophrenic users without relatives' supports got lower income compared with the non-schizophrenic users with relatives' supports.The research group must take the estimation by continuous survey and have updated version of the data.
著者
成田 榛名 谷川 涼子 尾崎 麻理 石田 賢哉
出版者
日本ヒューマンケア科学学会
雑誌
日本ヒューマンケア科学会誌 (ISSN:18826962)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.30-46, 2023 (Released:2023-02-17)
参考文献数
29

医療的ケア児の療育経験がある保護者を対象に、医療的ケア児及び保護者への福祉支援体制の強化に向けて、保護者が経験した療育に関連する生活上の困難を把握し、福祉ニーズを明らかにすることが本研究の目的である。3~15歳の医療的ケア児5名の保護者6名(うち1組は両親)を対象に、インタビュー調査を実施し、質的帰納的な分析をおこなった。生活上の困難として【保護者同士のつながりの欠如】、【相談窓口での対応】、【退院時の対応】、【活用できる医療・福祉施設の少なさ】、【きょうだい児へのサポートの不足】の5カテゴリが抽出された。この結果から、保護者の有する福祉ニーズとして、適切なサービス利用と精神面のケアの充実を求めていること、保護者は医療的ケア児の入院生活から在宅生活への移行、保育施設へのスムーズな入所、きょうだい児への支援など、医療的ケア児の成長に応じた切れ目ない支援があった。医療的ケア児の在宅生活を支えるためには、医療的ケア児及び保護者を適切な制度、サービスにつなぎ、家族全体を把握して総合的に支援する医療的ケア児等コーディネーターが大いに期待される。
著者
千葉 敦子 石田 賢哉 大西 基喜 メリッサ 小笠原 木村 美穂子 宮川 隆美 水木 希 澤谷 悦子 梅庭 牧子 奥村 智子
出版者
日本ヒューマンケア科学学会
雑誌
日本ヒューマンケア科学会誌 (ISSN:18826962)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.11-17, 2018 (Released:2022-02-02)
参考文献数
11

保健協力員は市町村長の委嘱を受けて地域住民の健康づくり活動を行う住民組織集団であり、青森県では短命県返上に向けてその活動が期待されている。しかし、保健協力員は担い手不足による固定化や高齢化が課題とされており、活動の活性化に向けた方策が求められている。活動を活性化するためには保健協力員の集団特性を把握し、組織特性に応じた支援の方向性を検討する必要がある。そこで、本研究ではA保健所管内の保健協力員と一般地域住民のヘルスリテラシーおよび主観的健康感を比較し、保健協力員の集団特性に応じた組織支援の示唆を得ることを目的に横断調査を実施した。その結果、ヘルスリテラシーでは「情報を理解し人に伝えることができる」の項目が、保健協力員の方が一般地域住民より有意に高いという結果であった。また、健康状態を示す主観的健康感が、保健協力員の方が一般地域住民より有意に高いという結果であった。
著者
平野 奈緒美 石田 賢哉
出版者
日本香粧品学会
雑誌
日本香粧品学会誌 (ISSN:18802532)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.209-222, 2019-09-30 (Released:2020-09-30)
参考文献数
23

It is well known that fragrances influence our senses. Fragrances used in cosmetic products are no exception. Not only masking the odor of the product base, they give various impressions such as freshness, comfortableness and newness, and provide higher added value to products. In this report, we describe the fragrance development with a focus on raw materials, functional materials, and creation by perfumers. In addition, it is necessary to understand the regulations and environment issues related to fragrances and cosmetics.
著者
千葉 敦子 石田 賢哉 大西基喜 小笠原 メリッサ 宮川 隆美 木村 美穂子 水木 希 澤谷 悦子 梅庭 牧子 奥村 智子
出版者
青森県立保健大学雑誌編集委員会
雑誌
青森県立保健大学雑誌 = Journal of Aomori University of Health and Welfare (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.23-28, 2017-03

保健協力員は県民の健康増進の担い手としてその活動が期待されている。しかし,青森県では保健協力員の活動は行政が中心となり,主体的な活動が十分には行えていないという課題や,担い手不足による固定化と高齢化が指摘されている。そこで,保健協力員活動の活性化策を検討するために,A保健所管内の保健協力員を対象に無記名自記式質問紙調査を行い,活動の主体化およびヘルスリテラシーの現状を明らかにした。 その結果,主体化評価指標の総合得点は市町村間で有意な差はないことがわかった。このことから,保健協力員の質は合同研修等により一定の水準が保たれていることが考えられ,県民全体の健康増進の向上という面からは望ましい結果であると考えられた。ヘルスリテラシー尺度得点と個人属性との関連では,年齢が高い者,健康状態が良好な者,他の役割がある者でヘルスリテラシー得点が統計的に有意に高いという結果が得られた。固定化や高齢化を強みとして保健協力員の活動の強化に活かすことが可能であることが示唆された。