著者
太田 晴康
出版者
静岡福祉大学
雑誌
静岡福祉大学紀要 (ISSN:13497928)
巻号頁・発行日
no.2, pp.19-28, 2006-01
被引用文献数
1

聴覚障害生徒,学生を対象とする文字による情報提供に際しては,手書きによるノートテイク,市販のノートパソコンを活用したパソコンノートテイク,速記方式によるシステム,音声認識ソフトの活用など,さまざまな方法が並行して用いられている.筆者は市販のノートパソコンを活用したパソコンノートテイク活動を支援するアプリケーションソフトウェアを設計した.迅速な文字表示,入力者がルビを振る際の操作の軽減,手書き文字の送信等,従来のアプリケーションソフトウェアにはなかった諸機能を特徴とする同ソフトの設計意図及び概要について報告する.
著者
小田部 雄次
出版者
静岡福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

現代日本の非婚や少子化の主たる要因としては、1大家族制度の崩壊、2私的生活優先の思想拡大、3アメリカ型家庭主義の定着などが想定される。そして天皇家もまたこうした戦後日本の動向に影響されてきた。天皇家がかつてのような大家族主義でなくなったことが、一般社会の非婚・少子化を促している要因となっていることは指摘できよう。
著者
徳山 美知代 田辺 肇
出版者
静岡福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

里親と里子を対象としたアタッチメントに焦点をあてたプログラムを作成し、その有効性の検討を行った。4組の里親と里子を対象に測度と内省報告による検討を行った結果、里子の問題行動の減少と里親のストレス軽減などに肯定的な変化が見られた。さらに、里親のプログラムへの内省報告と里子の行動との関連を検討した結果、プログラムの要素である里親の敏感性の向上と、里子に対する安全感・安心感を高める働きかけによって、里子の里親を安全基地とした自律的な探索行動が促進されたこと、そういった肯定的な変化がアタッチメントに関連する問題行動の減少につながる可能性が示唆された。
著者
高橋 フミエ
出版者
静岡福祉大学
雑誌
静岡福祉大学紀要 (ISSN:13497928)
巻号頁・発行日
no.1, pp.59-68, 2005-01

研究目的は、問題基盤型学習PBLを導入した介護技術演習のつみ重ねの学習成果を検証することである。対象は某福祉大学短期大学部介護福祉学科1年生93名のうち了解のある87名について移動介護技術と在宅介護技術の自主的演習をした後、実技チェックの分析をした結果、以下の見解を得た。1. 前期の移動介護技術の実技チェック得点と自主的演習回数との相関はあり、後期の在宅介護技術の実技チェック得点と自主的演習回数にはバラツキがあるが、つみ重ね学習ができていた。2. 前期の実技チェック前5月の self-esteem の総平均値は23.304、後期の実技チェック後12月の self-esteem は23.607であり、それらの相関はわずかにあった(σ0.239 p<0.05)。殊に女子の12月の self-esteem 値の下限の幅が大きくなり、自己認知の幅が広がったと考える (σ相関係数0.368p<0.001)。3. 在宅介護技術の9項目の実技チェックはグループごとに役割演習のシナリオ、チェックポイントを作成し実施した。課題クリアは (1) 口腔ケア (2) 車椅子で散歩 (3) 起こし方 (4) 端座位で上下肢機能訓練等であり、利用者、家族介護者へのかかわり方の気付きがあった。以上から課題は在宅介護環境を活用した利用者、家族介護者への empowerment に対する教授方法の工夫が示唆された。
著者
太田 晴康
出版者
静岡福祉大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

平成20年度の研究実施結果について報告する。平成17年度に完成したアプリケーションソフトウェア(以下、ソフト)を前年度に引続いて、本学における障害学生ならびに支援者の意見を取り入れ、バージョンアップした。その結果、本学で便用するWindowsVista搭載のすべてのパーソナルコンピュータ(以下、パソコン)において安定したが実現した。現時点において、動作上の不都合が生じることはなく、静岡福祉大学における障害学生への情報コミュニケーション支援体制を支えるソフトとして活用されている。なお前年度、報告したように、同ソフトは、聴覚に障害のある生徒及び学生を対象とし授業における音声言語を、パソコンのキーボードを通じて入力者が要約入力し、書記言語に変換し、生徒及び学生に伝達する機能を有し、昨年度には、盲ろう学生にも対応可能な点字ディスプレーへの出力機能を付与したものの、新機能に関する今年度中の実証実験ならびに検証は実現しなかった。対象学生の不在、準備における時間不足がその理由である。しかしながら、本研究の継続的研究ともいえる「日中韓の高等教育機関における障害学生『情報コミュニケーション』支援システムの構築」(平成21年度科研費基盤研究(B))において、同ソフトを活用した実践事例に本研究成果を引き継ぐ予定である。また、本ソフトの動作中に、パソコン画面に表示された文字列を読み上げるスクリーンリーダー(画面読み上げソフト)が並行して動作する機能を付与したが、その事例研究についても、平成21年度科研費研究に引き継ぎたい。本研究は、障害の種別を超えた情報コミュニケーション支援という従来見られなかった発想の枠組みを提供したこと、少子高齢化時代における横断的なボランティア活動の可能性を示したことから、「独創的な発想に基づく、挑戦的で高い目標設定を掲げた芽生え期の研究」である萌芽研究としての役割を果たし得た内容と考える。