著者
有田 隆也
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.34-39, 2011

ドイツでは毎年数百ものボードゲームが新たに発売されている。ゲームのテーマは極めて多様であり,我々の生活におけるあらゆる社会的なインタラクションを含んでいる。ボードゲームは,思考することや社会的インタラクションの喜びを与えつつ,思考の基盤のトレーニングになるという意味で,とても教育的である。このような考えに基づいて行っている,名古屋大学の初年次教育へのボードゲーム導入の試みを具体的に紹介した上で,評価の高さを表すいくつかのデータを示す。さらに,ボードゲームの現代的意義についても指摘する。
著者
浜田 良樹 谷内 毅 杉八合 勲 金谷 吉成
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.154-158, 2004

東北大生協ではパソコン講座における著作権等の情報倫理教育の本格的導入に踏み切った。これらは,パソコンやインターネットの「使い方」に関するノウハウとは異質の内容であってティーチングアシスタント(TA)による教育が困難であるため,有志教員,生協職員,TAのディスカッションによってカリキュラムとテキストを新たに作り,知的財産権,オープンソース,電子商取引,個人情報,プライバシー,サイバー犯罪などについてわかりやすい講義を行い,受講者のセキュリティ意識のかん養に貢献し,大学生協にとっても事業として持続可能なカリキュラムを完成させた。
著者
相澤 崇
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.81-86, 2009

インターネット上にあるプロフランキングサイトから3サイトを抽出し,登録されている中学生のプロフの実態調査を行った。調査内容は,プロフに記載されている個人情報とプロフ作成者がプロフ以外に所有しているサイトである。その結果,全体で平均4.9の個人情報に関する項目について公開しており,「肖像(プロフ作成者)」,「本名」,「生年月日」,「所属(学年)」,「住所(区市町村や町字)」の順で記載率が高かった。プロフ以外に全体で平均3.4サイトを所有しており,「ゲストボックス」,「リアル」,「メールボックス」,「アルバム」,「ホームページ」の順で所有率が高いことがわかった。
著者
長澤 直子
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.84-89, 2007

日本語を母国語とする者がキーボードのタッチタイピングを習得するのに,最も効率的なコンテンツは何か。どういった内容のものをどういう順序で与えれば,無理なく習得できるか。今回,短大生を被験者として,複数のクラスで異なるコンテンツによるタッチタイピング練習を行う調査を行った。それによると,1)タイピング練習の成果は,その練習用コンテンツに依存するが,英単語の入力と日本語のローマ字入力について,両方を練習した場合,練習順序は最終の成果に影響を与えない,2)英単語を用いた練習と,キー配列を中心とした意味のない文字列を用いた練習の結果を比較した場合,習得結果に大きな差は見られない,3)意味のある文字列で練習した場合でも,直前に練習した言語に打ちやすさを感じるとは限らない,ということが明らかになった。
著者
筒井 洋一 宮田 悦次 中嶋 昌克
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.103-110, 1997

爆発的な勢いで普及するインターネットは、NPO/NGOセクターにおいても、急速に導入されている。そして、NPO/NGOとインターネットの発展は、歴史的にも相互の関連性が強く、両者には、自発性、グローバル性、横の連携といった共通点がある。しかし多くの団体では、インターネットを導入したものの、その特性を十分に生かしきれず、今後に課題を残す形となっている。NPOの一分野として、国際協力活動に従事する国際NGOにおいても同様の傾向が見られる。本稿では、国際NGOに対する当プロジェクトの諸調査とこれまでの研究動向を踏まえて、国際NGOにおけるインターネット利用の現状とその意義について明らかにする。結論として、インターネットは、情報の発信・公開を円滑かつ効率的におこなう情報通信メディアであるだけでなく、社会改革メディアともなりうる可能性について述べる。
著者
山川 修
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.55-61, 2015

Learning Analytics(LA)は,現在,教室サイズのデータを対象に実施されている。これらのデータを,組織を超えて統合して教育ビッグデータとすることは可能であろうか。これが本稿の基本的な問いである。この問いに答える上で学習者の学習行動をミクロに可視化するLAだけでなく,学習者全体の学習行動をマクロにとらえる教学IRも同時に検討すべきと考えている。本稿では,教学IRを,組織を越えて実施している福井県の高等教育機関の連携プロジェクト(Fレックス)を例に取りながら,LAと教学IRに於いて,組織を越えるデータの収集や分析は,何が可能で,何が難しいかを解説する。さらに,将来に向けて,組織を越えたLAにつながる,可視化した仮説を統一的に説明するモデル構築の方法論を提案する。
著者
橘 孝博 吉田 賢史
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.35-40, 2012

ICT(Information and Communication Technology)教育のこれまでの10年を振りかえり,その展開を概観する。はじめに,高等学校での情報科に関して,歴史や教育目標などを確認する。その上で,現在のICT教育の取り組みにおける問題点や課題を考察し,最近よく耳にするようになったデジタルネイティヴたちにどのように対応できるのかも考えてみたい。さらに,高度情報通信社会に積極的に参画するために必要な,情報モラルについても議論する。最後に教育現場におけるこれからの情報化について,いくつかの観点から話題を提供する。
著者
佐藤 和彦 倉重 健太郎 岡田 吉史 佐賀 聡人
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.94-99, 2011

問題解決型のソフトウェア開発演習は,与えられた課題に対するゴールまでの道筋を学生自身が探し出し,解決を目指すグループ演習である。グループごとに開発の進め方や解決方法が異なるため活動状況が見えにくく,グループの能力差によって指導方法も大きく異なる。本研究では,「活動状況」「グループ特性」「課題」の3つの見える化を演習に取り入れることでそれらの問題を解決し,学生のやる気を引き出す「見える」ソフトウェア開発演習を実現する。本稿では演習に取り入れた見える化の工夫について述べるとともに,平成18年度と平成22年度に難易度を変えて同じ課題を実施した演習結果について評価を行う。