著者
酒井 郷平 塩田 真吾 江口 清貴
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Suppl, pp.89-92, 2016-01-25 (Released:2016-02-12)
参考文献数
4

従来の情報モラル教育では,主にトラブル事例の紹介とルールづくりの啓発を扱う場合が多く,子どもたちに「当事者としての問題の自覚」を促すことが課題となっている.例えば,「ネット上で悪口を書かない」という指導では,何がネット上での悪口なのかを子どもたちが,具体的に想像することができず,自分は加害者ではないと考えてしまう可能性がある.そこで,本研究では中学生を対象とし,ネットワークにおけるコミュニケーションについてトラブルにつながる可能性のある行動の自覚を促すことを目的とした情報モラル授業の開発・実践を行った.実践後,質問紙調査や感想の分析を行ったところ授業を通して,トラブルにつながる行動を自覚できたことが明らかとなった.
著者
小林 渓太 高瀬 和也 塩田 真吾
出版者
一般社団法人 日本産業技術教育学会
雑誌
日本産業技術教育学会誌 (ISSN:24346101)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.259-267, 2021-06-28 (Released:2022-06-28)
参考文献数
12

情報モラル教育は中学校技術・家庭科の技術分野においても多様な取り組みが行われてきたが,「良い」「悪い」のケーススタディによる教材を用いた指導も多く,倫理観の観点からみると生徒自身に自分事としての自覚が生まれにくいため効果が十分ではなかった。そこで本研究では,道徳教育との連携を見据え,中学校技術・家庭科技術分野において,生徒の「自覚」を促し,倫理観の育成を目指した教材を開発した。「良い」「悪い」という二者択一的な指導ではなく,著作権をテーマに,答えのない判断に迷う社会的事例を扱った読み物教材の開発を試みた。中学校2年生を対象に1コマの授業を実践し,道徳性の評価も踏まえつつ倫理観の観点から開発した教材の評価を行った。授業の事前と事後で比較したところ,道徳性の評価の観点のうち道徳的判断力,道徳的実践意欲と態度,について有意差が見られた。倫理観の評価の観点である道徳としての問題を考え続ける姿勢,についても有意差が見られ,自由記述によるテキストマイニングからも倫理観の向上に繋がる一定の効果が確認できた。
著者
塩田 真吾 髙瀬 和也 酒井 郷平 小林 渓太 籔内 祥司
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.85-90, 2018

<p> 情報セキュリティ関連のインシデントの増加や新しい学習指導要領などを踏まえると,今後,情報モラルだけでなく,情報セキュリティ教育の実施が学校教育での課題になる。しかし,情報セキュリティ教育の従来の指導方法については,セキュリティ対策やトラブル事例を紹介するという指導が中心であり,知識は身につくものの,どこか他人事として捉えてしまい,「自分ももしかしたらトラブルにあうかもしれない」という当事者意識を促すことは難しいという課題があった。そこで本研究では,中学生に「自分ももしかしたらトラブルにあうかもしれない」という当事者意識を促すことを目的とした情報セキュリティ教材の開発を行い,その成果を考察した。トラブル事例の「あやしさ」を自ら発見し判断させるために,スマホ画面を模したカード教材の開発を行い,授業を実践したところ,当事者意識とセキュリティ対策への意欲の向上が見られた。</p>