著者
平井 洋
出版者
THE KANTO-TOSAN PLANT PROTECTION SOCIETY
雑誌
関東東山病害虫研究会年報 (ISSN:03888258)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.41, pp.281-283, 1994

Eugenol など数種の芳香性物質を用いてコガネムシ類成虫に対する誘引性を検討したところ, Eugenol, Geraniol 及び Anethol の等量混合物はコアオハナムグリなど多くのコガネムシ類に誘引性を示した。また, Eugenol と Geraniol の等量混合物はマメコガネに, Eugenol 及びその混合物はシロテンハナムグリに対して, それぞれ強い誘引性を示した。
著者
折原 紀子 佐野 真知子 藤代 岳雄 松浦 京子 岡本 昌広 鍵和田 聡 堀江 博道
出版者
The Kanto-Tosan Plant Protection Society
雑誌
関東東山病害虫研究会報 (ISSN:13471899)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.47-50, 2012-12-01

2010年10月に神奈川県茅ヶ崎市のコマツナ炭疽病甚発生圃場内または周辺のホトケノザとスベリヒユの葉に灰色~褐色の小円斑症状を認め,罹病部からは<i>Colletotrichum</i>属菌が高率に分離された。同地のコマツナ・ホトケノザ・スベリヒユ各分離菌を相互接種した結果,各菌とも病徴を再現し,接種菌が再分離された。各分離菌の病原性,形態的特徴およびrDNA-ITS領域の塩基配列の相同性から,分離菌をいずれも<i>Colletotrichum higginsianum</i> Saccardoと同定した。以上より,コマツナ炭疽病菌がアブラナ科以外の植物に病原性を有すること,同科以外の植物に寄生する炭疽病菌がコマツナに感染することが明らかになった。また,コマツナ炭疽病菌の伝染環の一つとして周辺野草が役割を果たす可能性が示唆された。ホトケノザとスベリヒユには<i>Colletotrichum</i>属菌による病気は未記録なので炭疽病 (新称) を提案する。
著者
横須賀 知之
出版者
The Kanto-Tosan Plant Protection Society
雑誌
関東東山病害虫研究会報 (ISSN:13471899)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.91-93, 2009-12-01

ホソヘリカメムシ集合フェロモンの一成分(<i>E</i>)-2-hexenyl (<i>Z</i>)-3-hexenoate (以下,E2HZ3H) およびクモヘリカメムシ合成集合フェロモンを誘引源とした粘着トラップを設置し,カメムシ類の卵寄生蜂の誘引数を調査したところ,E2HZ3Hを誘引源としたトラップでカメムシタマゴトビコバチ雌成虫が多数捕獲された。また,E2HZ3Hをホソヘリカメムシあるいはクモヘリカメムシの卵とともに設置すると,両カメムシの卵に対するカメムシタマゴトビコバチの寄生率が高まった。
著者
久保田 まや
出版者
THE KANTO-TOSAN PLANT PROTECTION SOCIETY
雑誌
関東東山病害虫研究会年報 (ISSN:03888258)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.44, pp.153-154, 1997

東京都八丈島において, 1995年にシレネ <i>Sirene vulgaris</i> に葉腐れ症状が, 1996年にユリオプス <i>Euryops</i> spp. に立枯れ症状が, それぞれ発生した。病原菌は, いずれも <i>Rhizoctonia solani</i> Kühn と同定された。病名をそれぞれシレネ葉腐病およびユリオプス株腐病と提案したい。
著者
仲川 晃生 清水 繁夫 越智 直
出版者
The Kanto-Tosan Plant Protection Society
雑誌
関東東山病害虫研究会報 (ISSN:13471899)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.31-34, 2011-12-01
被引用文献数
1

2009年春作~2010年春作にかけて,亜リン酸肥料 (ホスプラス: 大塚化学製,アリンサンデス2号: 日本医薬品開発研究所製) のトマト疫病に対する防除効果について試験した。トマトは品種 「桃太郎」 を使い,春秋2回露地条件下で試験した。2009年春・秋作では液体肥料を使い,500倍または1,000倍に希釈した各液肥を,肩掛け式電動小型噴霧器により疫病の初発前から1週間毎に合計4回散布 (200L/10a) し,最終散布7日後に効果を判定した。この結果,対照のマンゼブ・メタラキシル剤より防除効果は劣るものの,亜リン酸液肥散布区では41.1~76.5に及ぶ防除価を示し,効果が認められた。次いで,省力防除を目的に粉末にした肥料 (アリンサンデス2号の10%または20%含有肥料,日本医薬品開発研究所試作) を使い,苗処理による本病防除効果を調べた。粉末肥料を5gまたは10gの割合でトマト苗移植時の植穴に処理した場合, 防除効果は認められなかった。しかし,育苗時に1gまたは2gの粉末肥料を小型 (9号) ポットの園芸培土と混和して育成した苗を圃場へ移植した場合は,処理量等により効果は異なるものの,防除価で15.1~56.7の効果を示し,一定の効果が認められ有効であると考えられた。
著者
大井田 寛
出版者
The Kanto-Tosan Plant Protection Society
雑誌
関東東山病害虫研究会報 (ISSN:13471899)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.60, pp.111-114, 2013

本研究では,CSNV などの媒介者として重要であり,薬剤抵抗性が発達しているミカンキイロアザミウマ (以下,ミカンキイロとする) のトマト生育初期における効果的な防除法の確立を目的とした。トマトの育苗期後半 (定植7日前) または定植時にシアントラニリプロール0.5%粒剤を株元処理し,その後の密度推移を調査することにより,生育初期における防除効果の違いを明らかにした。無処理区では,ミカンキイロ成虫が定植約1ヶ月後以降に急増し,幼虫も漸増して同時期には極めて高い密度に達した。一方,育苗期後半処理区では,ミカンキイロ成虫および幼虫が定植約1ヶ月後まで,それぞれほとんど観察されない状態で推移し,調査終了時まで低い密度に留まった。定植時処理区でもミカンキイロ成虫および幼虫は定植約3週間後まで低密度に抑えられたが,その後は増加し,最終調査時には無処理区の約1/2の密度に達した。これらミカンキイロの密度推移の状況から,本粒剤の残効は育苗期後半処理で処理後約5週間まで顕著に高く,定植時処理では処理3~4週間後まで期待できると考えられた。