著者
平井 洋一
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

ゲーデル・ダメット論理の証明から非同期通信する並行プログラムを抽出する方法をみつけて、FLOPS2012という国際学会で発表した。交付申請書に記載した研究目的にあるとおり、直観主義論理の証明からプログラムを抽出するプログラム抽出の技法を応用したといえる。ゲーデル・ダメット論理は直観主義論理の拡張であり、今回の研究で抽出したプログラムはもともと直観主義論理の証明から抽出できていた型付きラムダ計算の拡張である。さらに、研究目的にあるとおり、抽出されるプログラムは非同期通信する並列プログラムである。本研究の最も重要な結果は、無待機計算で解ける問題はゲーデル・ダメット論理をもとにしたプログラミング言語で解けるし、ゲーデル・ダメット論理をもとにして解ける問題は無待機計算で解けるという特徴付けの結果である。論理学への貢献はゲーデル・ダメット論理の計算的意味を明らかにしたことであり、計算機科学への貢献は無待機計算用のプログラミング言語を発見したことである。ゲーデル・ダメット論理の計算的意味が何かという問題は1991年にArnon Avronによって提起されて以来解かれないまま20年以上の時間が経過した。本研究ではこの古い問題を解けた。無待機計算は、理論計算機科学で、1990年代に注目された概念であり、2004年のゲーデル賞は無待機計算の位相幾何学的特徴付けという仕事に与えられた。本研究では、無待機計算のプログラミング言語による特徴付けを実現した。
著者
平井 洋
出版者
THE KANTO-TOSAN PLANT PROTECTION SOCIETY
雑誌
関東東山病害虫研究会年報 (ISSN:03888258)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.41, pp.281-283, 1994

Eugenol など数種の芳香性物質を用いてコガネムシ類成虫に対する誘引性を検討したところ, Eugenol, Geraniol 及び Anethol の等量混合物はコアオハナムグリなど多くのコガネムシ類に誘引性を示した。また, Eugenol と Geraniol の等量混合物はマメコガネに, Eugenol 及びその混合物はシロテンハナムグリに対して, それぞれ強い誘引性を示した。
著者
平井 洋子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.112-122, 2001-03-30 (Released:2012-12-11)
参考文献数
59
被引用文献数
2
著者
井梅 由美子 平井 洋子 青木 紀久代 馬場 禮子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.181-193, 2006 (Released:2006-03-31)
参考文献数
40
被引用文献数
4 2

本研究では,青年期における対象関係を評価する尺度を作成した.分析1では,単純構造の尺度を目指して,各尺度の内容が重複しないよう測定内容の整理を行い,5つの測定内容を設定した.因子分析の結果 (N=566),「(1) 親和不全」「(2) 希薄な対人関係」「(3) 自己中心的な他者操作」「(4) 一体性の過剰希求」「(5) 見捨てられ不安」の5因子で単純構造を示す尺度構成が確認された.分析2-1では,異なるサンプル (N=1041) を用いて交差妥当性を確認した.その結果,分析1とほぼ同様の因子構成が見られ,5つの測定領域を設定することの交差妥当性が示された.分析2-2では,性差・年齢差の検討を行い,予想された箇所で予想された方向に性差と年齢差が得られた.分析2-3では,NEO-FFI (NEO Five Factor Inventory) を用いてパーソナリティ特性との関連を検討し,概ね仮説を支持する内容の相関が見られた.これらの結果から,作成された尺度の構成概念妥当性が確認された.
著者
平井 洋子
出版者
首都大学東京
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

H21年度は,H19年度とH20年度に行った授業の記録および授業時の学生の会話記録に基づき,教員の説明のしかたで改善すべき点をあらためて検討した。とくに測定の妥当性という概念とその重要性を半年間の講義と実習で会得してもらうということを最優先に据えてこれまでの授業内容を見直した。その結果,具体的な心理尺度を研究例から紹介すること,仕様書の事例を初めに見せること,を授業の初めの方で行うことにした。具体的には,その研究例では測定したい内容をどう定義して,どのような特徴や使用用途を備えさせようとしているのかを研究論文から抜粋し,仕様書を作って与えた。またその心理尺度の項目は仕様書に定義された内容をちゃんと測っているかを学生に検討させ,更にワーディング上の問題点や改善点なども考えてもらった。この準備を行ったことで,項目を集めれば心理尺度ができるわけではないことが,講義で解説するよりも理解できたようだった。また,後に自分たちでオリジナルの尺度を作るときの予行練習ができた。逆に,評定尺度法の説明や注意点,ワーディングや選択肢の並び順による回答の誘導など,調査法としては興味深い知識でも,心理尺度の作成に直接関わらない内容は儒禦プログラムから削除した。H21年度の授業では,チェックリストタイプや,異なる構成概念を包含する総合指標タイプを目指すグループが現れたため,ひとつの構成概念を測定するための尺度との違いを妥当性に絡めて説明する良い機会に恵まれた。この点はこれまで非公式なアドバイスとして行うのみであった。今後の考えられる授業プログラムとしは,授業の初期に研究例を紹介し,その仕様書を示し,「抽象的な構成概念を反映する道具」としての心理尺度という位置づけを行ったのちに,チェックリストタイプや総合指標タイプの例も示して対比させることが考えられる。
著者
平井 洋 下村 俊泰 駒谷 秀也 小谷 秀仁
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.133, no.1, pp.27-31, 2009 (Released:2009-01-14)
参考文献数
37

正常な体細胞ががん化する為には,細胞のいくつかの制御機構に異常が引き起こされることが必要と考えられている(1).これらは,細胞増殖のシグナルの異常,細胞死制御の異常,DNAの修復機構の異常などが含まれるが,その中でも,細胞周期に変化を起こすような細胞分裂制御機構の異常は細胞のがん化におけるひとつの大切なホールマークとして知られている. 細胞分裂は4つの周期に分けられており,それらはG1期,S期,G2期,M期で,それぞれ異なったタンパク質がその時期の制御に関わっている.現在使用されている抗がん薬の多くは,この細胞周期の1つまたは,複数期に関わっているタンパク質の活性を阻害するものであり,その臨床的な有用性は様々な研究によって証明されている. しかしながら,現行の抗がん薬には様々な副作用も知られており,また,多くの抗がん薬がその化合物が天然物由来であることもあり,阻害メカニズムに由来した以上の副作用も存在している.これらのことから,患者さんからは副作用の少ない次世代の抗がん薬の創製が強く望まれている. 以上のような理由から,現在細胞分裂の制御に関係したタンパク質の阻害薬が多くの研究者,企業によって開発されている.このレビューでは,特に,現在その標的に対して薬が作られていない新規の細胞分裂抗がん薬ターゲットに着目してその開発状況を報告する.
著者
平島 昭司 堀越 正美 中西 義信 平井 洋 関水 和久 水野 伝一 名取 俊二
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Chemical & pharmaceutical bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.877-881, 1987-02-25

We previously reported the purification of eukaryotic transcription factor S-II and its phosphorylated form S-H' from Ehrlich ascites tumor cells. In this work, we modified the previous purification procedure to make it quicker and simpler. By this improved procedure, involving a different solubilization method, and improved buffer solutions and centrifugation processes, S-II could be purified to homogeneity from 1 kg of frozen cells in about 10 d instead of 1 month. The purity, specific activity and total yield of S-II purified by the new method were comparable to those obtained by using the previous method.
著者
田中 伸治 白石 智良 小宮 粋史 花房 比佐友 林 誠司 平井 洋 桑原 雅夫
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.259-262, 2012 (Released:2012-04-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1

交通シミュレーションを利用してCO2排出量等を推計する際には, 国内外で異なるモデルが使用される可能性が高いため, モデル検証の手続きを国際的に共通化することが重要である.そこで本プロジェクトでは, 交通シミュレーションモデルおよびCO2排出量モデルの検証の枠組みを提案し, 国際ワークショップを通じた合意形成のための議論を行っている.また, この検証に利用可能な実交通データを取得するため現地観測調査を行い, 得られたデータを利用して検証の枠組みの妥当性を確認するための試行検証を実施している.