- 著者
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清水 大地
児玉 謙太郎
関根 和生
- 出版者
- The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
- 巻号頁・発行日
- vol.J104-A, no.2, pp.75-83, 2021-02-01
上演芸術の一つの魅力として,複数名の演者間に生じる複雑な関わり合いが挙げられる.近年では,この関わり合いの特徴を同期・協調の理論を適用し,定量的に検討する試みが営まれつつある.以上の研究は,主に単独の表現チャンネル(頭のリズム運動,歌声,腕の運動等)を対象とし検討を行ってきた.一方で上演芸術では,表情,ジェスチャー,リズム運動等のように複数の表現チャンネルを通して演者達が関わり合う様子が観察されており,その過程に魅力が含まれるとする理論的提案もなされつつある.本研究では,以上の複数の表現チャンネルを通した関わり合いの探索的・定量的検討を試みた.具体的には,近年演者間の同期・協調の検証対象として着目されている競争的場面としてフリースタイルラップバトルを対象とし,熟達したラッパー2名の関わり合いを手,頭,腰の同期・協調の様相に着目して測定・解析した.結果,複数の表現チャンネルにおいて演者間の同期が生起する様子,手では同位相同期,頭・腰では逆位相同期と演者間の同期の様相がチャンネルにより異なる様子,手と頭・腰を異なる役割を担うチャンネルとして利用していた様子,が観察された.