著者
渡辺 満久 中村 優太 鈴木 康弘
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.235-250, 2015-05-01 (Released:2019-10-05)
参考文献数
39
被引用文献数
2

能登半島南西岸地域の隆起の原因を明らかにするため,沿岸の変動地形調査を実施した.本地域の海成段丘面は,高位のものからH1面~H4面,M1面・M2面,A面に区分できる.また,岩石海岸には離水ベンチが認められる.M1面はMIS 5eに形成された海成段丘面である.それより古いH1面~H4面には赤色風化殻が認められる.A面は,11世紀以前に離水した完新世段丘面(ベンチ)であると考えられる.これらの段丘面の高度には,累積的な南への傾動が認められる.調査地域北部では,富来川南岸断層が海成段丘面を変位させており,MIS 5e以降の累積鉛直変位量は約30 mである.その活動性はMIS 5e以降に高まったと考えられる.複数のベンチは間欠的な隆起を意味しており,調査地域の隆起運動は,南東~東傾斜の逆断層運動によってもたらされたと考えられる.このため,富来川南岸断層は沿岸から3~4 km沖合にある海底活断層に連続する可能性がある.

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2015年のこちらの論文も極めて示唆的 「能登半島南西岸変動地形と地震性隆起」『地理学評論』88(3) https://t.co/Obec9iiwOo https://t.co/ThfNO7YVVT
志賀原発の敷地内活断層の評価をめぐって https://t.co/xHsbh8rAef ■参考資料 鈴木康弘、原発と活断層 「想定外」は許されない、岩波書店、2013年 渡辺満久、中村優太、 鈴木康弘、能登半島南西岸変動地形と地震性隆起、地理学評論、2015年88巻3号 https://t.co/WjZjrQ8g8f

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