著者
渡辺 満久 鈴木 康弘 中田 高
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-05-19

1. はじめに布田川-日奈久断層の活動により2016年熊本地震が引き起こされ、甚大な被害を生じた。被害がとくに顕著な地域はやや局所的であり、活断層との関係が伺われる。以下、益城町と南阿蘇村の事例を報告し、今後の地震防災に活かすべき教訓として提示したい。2.益城町益城町の市街地では震度7を2度記録したが、4/16の地震時の建物被害が著しかったようである。地震被害が激甚な害域は、南北幅が数100 km程度で、東西に数 km連続する「震災の帯」をなしている。ここでは、耐震性が低くない建物までもが壊滅的な被害を被っていることがある。この「震災の帯」の中には、益城町堂園付近から連続する(布田川断層から分岐する)地震断層が見出さるため、その活動が地震被害の集中に寄与している可能性が非常に高い。木山川南方の布田川断層沿いにおいても地震断層が出現し、その近傍では壊滅的な被害を受けた家屋が集中している。その被害集中範囲も、地震断層沿いの幅およそ1km程度内に限定される。このように、地震断層直上の建物は悉く全壊し、近傍においても建物被害が著ししい。断層運動による地盤のずれとともに、強震動と地盤破壊による影響が強かったと推定される。3.南阿蘇村阿蘇カルデラ内の南阿蘇村(倒壊した阿蘇大橋周辺)においては、複数の地震断層が併走して現われた。地震断層直上およびその近傍では、ほとんどの建物が倒壊しており、多くの犠牲者を出した。ここでも、断層運動による地盤のずれてしまったことと、断層近傍での震動が強かったことが、被害を拡大させたと考えられる。これらの地震断層は、事前に検出することは非常に困難であると思われる。断層による地盤のずれの現われ方に関して、今後の防災においては非常に貴重な事例となるであろう。また、この地域においては、少なくとも5台の自動車が北~北西方向へ横倒しとなっていることも確認した。このような現象は、兵庫県南部地震では確認されていない。横ずれ断層にともなう断層直交方向のS波により転倒したと推定される。それは、南阿蘇村に集中する大規模な斜面崩壊の引き金にもなったと思われる。4.まとめ活断層の位置は、地震防災上きわめて重要活基礎的な情報であることが再確認された。どうようの現象は兵庫県南部地震時に神戸市街地でも確認されていたのであるが、残念ながら活断層の重要性が共有されることはなく、結果的に、兵庫県南部地震の教訓を生かすことにはつながらなかった。今後、活断層の事前認定が防災上極めて重要であることを再認識し、「都市圏活断層図」等を活用することによって、広域的な減災対策を講ずることが必要である。なお、南阿蘇村の事例は、現段階での活断層認定の限界を示すものである。地震防災を考える上では、既知の活断層周辺において何が起こるのか、慎重に検討してゆく必要がある。
著者
鈴木 康弘 渡辺 満久 中田 高
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-05-17

1. はじめに2016年熊本地震は、既知の活断層の活動により引き起こされた、1995年兵庫県南部地震に匹敵するM7.3の直下地震(活断層地震)である。地震本部による活断層評価により、その地震発生は長期予測されていたと言えないことはないが、①地震発生そのもの、②局所的な被害集中、③地震断層の出現において、予測通りであったとは言いがたい点が多い。局所的かつ甚大な被害は改めて活断層地震の脅威を再認識させるものであり、従来の予測の問題点や限界を確認し、今後の地震防災に活かすべき教訓は非常に多い。2. 活断層評価の問題今回の地震の震源となった活断層は、地震本部により2002年と2013年の二度にわたって長期評価されている。2002年の評価では阿蘇から八代海にかけて伸びる延長100kmの断層を一連の活断層ととらえ、布田川・日奈久断層と呼んだ。これに対し、2013年の評価では、熊本平野内の地下探査結果を重視して、布田川断層は阿蘇から宇土半島の方向へ伸びるとし、一方、益城町砥川付近から八代海までを日奈久断層と改称した。一方、国土地理院の都市圏活断層図では、布田川断層の変位地形は砥川より南方へスムーズにつながることから、布田川断層の範囲を南阿蘇村付近から甲佐町白旗付近までとした(すなわち2013年評価において「高野-白旗区間」としたものの帰属をめぐり複数の見解が示されていた)。活断層評価における断層名は長期評価の一環であることから、地震発生によりどれが適切であったかが検証されるべきである。2016年熊本地震は、2002年の評価に基づけば、4/14、4/16ともに布田川・日奈久断層の「北東部」(地震本部,2002)が連続的に活動して起こしたものということになる。一方、2013年の評価によれば、4/14に日奈久断層の最北部の一部(高野-白旗区間)が、4/16に布田川断層の一部(布田川区間)が活動したという言い方になる。別々の断層の2区間が不規則に連動したという見方よりも、ひとつの断層が一連の地震活動を起こしたとする方が理解しやすい。4/14の地震では地震断層が出現していないことから、高野-白旗区間の固有地震と見ることは困難である。なぜなら固有地震はそもそも地表の断層痕跡により認定されるものであるから。また、4/14の地震を「ひとまわり小さな地震」と認識すれば、固有地震が起こる可能性をより多くの研究者が指摘できたかもしれない。3. 断層分岐形状と震源位置の不一致地震断層のトレースの分岐は、益城町最北部(杉堂付近)より西では西へ、東では東へ向かう傾向がある。そのため、震源が益城町より西にあるとする気象庁の結果とは整合しない。とくに後述する益城町堂園から益城町市街地へ伸びる分岐断層は主断層のトレースから西の方向へ向かって分岐しており、これより西に震源があると布田川断層の地震断層トレースの出現を説明できない。断層に沿う破壊伝播が震源から連続的に進行したわけではなかった可能性を考慮する必要がある。4. 強震動の問題震度7を二度記録した益城町では、4/16の地震時の建物被害が著しい。激甚被害域は東西に伸び、南北幅1km程度の「震災の帯」を呈している。耐震性が乏しくない建物までもが壊滅的な被害を被っていることがあり、「震災の帯」の中に後述の地震断層が見出され、その活動が被害拡大に寄与している可能性が高い。布田川断層沿いはいずれも壊滅的な被害を受け、その範囲も断層沿いの幅およそ1km程度に限定される。活断層直上の建物は悉く全壊し、近傍においても強震動と地盤破壊による建物被害が著しい。阿蘇カルデラ内の南阿蘇村においては地震断層が複数併走し、地震断層直上および近傍ではほとんどの建物が倒壊して多くの犠牲者を出した。また少なくとも5台の自動車が北~北西方向へ横倒しとなった。この現象は阪神淡路大震災でも確認されなかったことであり、横ずれ断層に伴う断層直交方向のS波により転倒したと推定される。南阿蘇村に集中する大規模な斜面崩壊の引き金にもなったと思われる。5. 分岐断層(副断層)の問題布田川・日奈久断層の位置は「都市圏活断層図」(国土地理院)に詳細に示され、大半の地震断層は活断層線上に現れた。しかし、地図上に示されていない副次的な断層が現れた箇所も多い。とくに益城町堂園から益城町宮園へ総延長4kmの地震断層が現れ、益城町市街地に甚大な被害を与えた。大半が沖積地内にあるため変動地形学的手法が適用しづらかったためもあるが、台地を切る部分においても変位地形は明瞭ではない。そのことから、副次的な断層の活動性が低かった可能性がある。なお「新編日本の活断層」にはほぼこの位置に確実度Ⅱの木山断層が示されている。これとの関連も検討する必要がある。これ以外にも、副次的な断層が複雑な分布を呈した。主断層は右ずれであったが、共役の左横ずれ断層も出現した。こうした複雑さは事前に考慮できていなかった。6. 防災上の教訓活断層評価において、断層のセグメンテーションとグルーピングを再検討する必要がある。変位地形が連続する活断層を便宜的に細分することは適切ではない。強震動予測においては、震度7の分布を再現できるかを検討する必要がある。果たして「浅部は強震動を出さない」とする従来の強震動シミュレーションモデルで説明可能であろうか? 浅部が強震動を発生させたと考えるべき事例は2014年神城断層地震にもある。こうした検討のためにも、震度7の分布が公式に示される必要がある。震度7の地域では特別な地震対策が求められるため、今後の防災においては震度7になり得る地域を指定する必要がある。「強い地震はどこでも起きる」と安易に言うことはミスリードになりかねない。分岐断層が事前に評価できなかった原因を検証することも重要である。活断層の事前認定は防災上重要であり、「都市圏活断層図」等、広域的な一般防災のレベルにおける状況と改善策を明らかにする必要がある。一方、原発安全審査における活断層評価は、さらに厳密さが求められる。原発建設時の地質学的手法により敷地内および周辺に見出される断層について、今回の分岐断層のようなものを「将来活動する可能性のある断層」として判定できたか否か検証することが求められる。現在の規制基準が、活動性を明確に判断できない曖昧さを持っている場合にはこれを改訂することも検討すべきであろう。
著者
渡辺 満久
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.62, no.10, pp.734-749, 1989-10-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
69

北上低地帯は,その西縁を逆断層に限られる典型的な構造性の内陸盆地であり,鮮新世以降に奥羽山地から分化してきたと考えられる.北上低地帯は活断層,第四系基底面の形状,および地質構造によって, O-typeの地域 (同低地帯の北部と南部)と hypeの地域 (中央部)とに分類される. O-typeの地域では,新第三系,第四系基底面,および第四系 (厚さ数丁十程度以下)に東方へ緩く傾斜する構造が認められる.この地域の西縁部は,活断層がきわめて直線的であることから,比較的高角の逆断層で限られると推定される. I-typeの地域では,第四系基底面は西縁の活断層系に向かって数度以内の傾斜で一方的に傾き,第四系の層厚は奥羽山地では 200m以上に達する.西縁部には東へ凸な多数の活断層線が認められることから,低角の逆断層から成る複雑な断層系が形成されていると考えられる. これらの構造的な特徴と,半無限弾性体に対する食い違いの理論に基づく計算結果から想定される地震時の地殻変動,および地殻とマントルの非弾性的な性質に起因して地震後に現われる地殻変動とを比較した.その結果,西縁断層系への傾動が認められる 1-typeの地域では,断層活動によって低地が奥羽山地から分化してきたと結論した. 0-typeの地域に認められる構造を得るには,地表で確認できる断層活動以外の要因を想定する必要がある.
著者
尾池 和夫 JO 華龍 金 性均 慶 在福 全 明純 大倉 敬宏 久家 慶子 中西 一郎 入月 俊明 秋元 和実 山路 敦 鈴木 康弘 渡辺 満久 岡田 篤正 KIM Sung-kyun JUN Myang-soon JO Wha-ryong KYUNG Jai-bok
巻号頁・発行日
1994 (Released:1994-04-01)

韓国南東部の梁山断層は,ほぼ北北東-南南西方向に約200kmにわたって走り,顕著な破砕帯を伴っている.この断層系において活断層変位地形を野外調査し,その主断層についてトレンチ掘削を実施した.この断層は河成段丘面群とその構成層を変位させ,東側の相対的隆起を伴う右横ずれの活断層であることを確認した(岡田ほか,1994).蔚山郡彦陽南方では,大規模な宅地開発が進められているので,その用地を利用して,主断層に伴われる地殻運動やそれ並行すると推定した副断層について多くのトレンチ調査を行った。こうした調査から,次のような事柄が判明した.彦陽南方の台地(高位面)は北東流していたかつての酌川川が形成した扇状地であり,初生的には北東へ傾いていたはずであるが,トレンチ地点付近では西方へ逆傾斜している.掘削調査の結果,高位面を構成する礫層が撓曲変形を受けていることが判明した.この高位面の撓曲による上下変位量は約5mである.いくつかの断層は認められたが,地表面まで切断するものは見当たらなかった.梁山断層の平均変位速度や高位段丘の形成時期を解明する必要があるので,梁山断層が通過する彦陽地域から太和江沿いに河成段丘面を追跡し,海成段丘面との関係を調べ,段丘面編年に関する資料を得るように努めた.それらの結果は,次のように要約される.河成段丘面はfH面群(fH1面・fH2面)・fH面群(fH1面・fM2面)・fL面群(fL1面〜fL3面)に,海成段丘面はm1面〜m3面に区分できる.海成段丘の旧汀線高度は,それぞれ53.3m・18.7m・3.4mである.fH面群やfM面群には赤色風化殻が形成されており,とくにfH面群で顕著である.fL面群の構成層は新鮮でほとんど風化していない.各河成段丘面は滑らかに蔚山湾周辺まで連続する.蔚山湾周辺では,fH2面は+10mの位置へ,fH1面は数mの位置へと連続してゆく.fL1面は下流部で沖積面下に埋没し,蔚山湾周辺での推定高度は-10mである.こうした資料からみて,fM1面が最終間氷期直前の氷期に,m2面が最終間氷期に形成された可能性が高い.fH面群はそれ以前の海面低下期に,m1面は最終間氷期以前の高海面期に形成されたと推定できる.南北〜北北西-南南東走向の蔚山断層系(延長約40km)は慶州市付近で梁山断層系に会合するが,この中央部に沿っても活断層変位地形の存在と,段丘堆積物を変位させる断層露頭が確認された.この特徴や関連現象について調べ,次のような事柄が判明した.蔚山断層系の断層線は著しく弯曲している.断層露頭表現や地形面の変形状態とから考えると,この断層の活動様式は典型的な逆断層である.第四紀後期に形成された地形面や堆積物が明瞭に変位を受けているので,蔚山断層は明らかに活断層である.この断層は高位段丘面を15m,中位段丘面を5m,上下方向へ変位させており,累積的な変位が認められる.断層崖や段丘面の変位方向からみて,東側の山地域が少なくとも第四紀の中ごろから継続的に隆起している.蔚山断層に沿って,明瞭な断層露頭が2ヶ所で観察された.末方里集落東方にある寺谷池北岸では,破砕した花崗岩が地形面を構成する礫層に,走向:ほぼ南北で,傾斜:25-30°Eの衝上面をもって接している.露頭上部では,上盤の花崗岩を被覆する礫層と砂礫層・腐植質層が急斜・逆転している.数本の断層が伴われ,幅数10cmの断層帯となっている.開谷里集落北東方の淵安川河床でも,やや風化した礫層の上に花崗岩が衝上している.末方里集落東方では,中位面を構成するシルト質層が液状化作用を受けて変形し,堆積直後の大地震発生を示唆する.その再来時間については,堆積物や地形面の年代解明を現在行っており,それらの結果を待って評価したい.こうした南北方向の逆断層性活断層の存在は,当域もほぼ東西方向の広域応力場に置かれていることを示唆する.これは北北東-南南西方向の梁山断層系が右ずれを示すこととも符号し,同じ応力場にあることを意味する.また,浦項市付近には,海成中新統が分布していることから,中新世以降の梁山断層の運動像を解明するために,地質調査を実施した.
著者
松多 信尚 杉戸 信彦 後藤 秀昭 石黒 聡士 中田 高 渡辺 満久 宇根 寛 田村 賢哉 熊原 康博 堀 和明 廣内 大助 海津 正倫 碓井 照子 鈴木 康弘
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.214-224, 2012-12-31 (Released:2013-01-31)
参考文献数
26
被引用文献数
2 4

広域災害のマッピングは災害直後の日本地理学会の貢献のあり方のひとつとして重要である.日本地理学会災害対応本部は2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震直後に空中写真の詳細な実体視判読を行い,救援活動や復興計画の策定に資する津波被災マップを迅速に作成・公開した.このマップは実体視判読による津波の空間的挙動を考慮した精査,浸水範囲だけでなく激甚被災地域を特記,シームレスなweb公開を早期に実現した点に特徴があり,産学官民のさまざまな分野で利用された.作成を通じ得られた教訓は,(1)津波被災確認においては,地面が乾く前の被災直後の空中写真撮影の重要性と (2)クロスチェック可能な写真判読体制のほか,データ管理者・GIS数値情報化担当者・web掲載作業者間の役割分担の体制構築,地図情報の法的利用等,保証できる精度の範囲を超えた誤った情報利用が行われないようにするための対応体制の重要性である.
著者
岡田 篤正 渡辺 満久 佐藤 比呂志 全 明純 曹 華龍 金 性均 田 正秀 池 憲哲 尾池 和夫
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.103, no.2, pp.111-126, 1994-04-25 (Released:2010-10-13)
参考文献数
51
被引用文献数
12 15

Many distinct lineaments have been recognized by Landsat images in Korean Peninsula. The Yangsan fault system situated in the southeastern part of Korea is especially linear, continuously traceable for a long distance (about 200km), and particularly remarkable among these lineaments. The topographic expression of the Yangsan fault system is derived from the straightly stretching fault valley with wide shattered zones in the direction of NNE-SSW. This fault system extends for about 200km from the mouth of the Nagdong River west of Busan in the south to Yeondong in the north, and geologically separates Korean Peninsula from the Japan Sea. The amount of horizontal displacement may reach 30km. It is recognized as one of the most important faults in Korean Peninsula.From the interpretations of aerial photographs, and field surveys along the central part of the Yangsan fault system, the main results are summarized as follows:1. The Yangsan fault system has repeatedly moved in the late Quaternary. The lower to higher river terrace surfaces on this system show cumulative vertical offsets.2. The vertical component is upthrown on the east side from considering the terrace offset and the distribution of the mountainous lands. This vertical movement is reverse to the topographical situation on the meso-scale.3. The fault trace is extremely straight. The fault plane is almost vertical. The shatteredzone exceeds tens of meters in width with a remarkable fault gouge.4. The longer axis of flat clasts within the gravel observed in excavated the exploratory trench showed the re-arrangement along the fault. The predominantly right-lateral movements were recognized as the elongation of clayey parts and breccias in the fault gouge.5. From these characteristics, the Yangsan fault was clarified to be active with predominantly right-lateral movement. Estimated ages of terraces and its deposits give average rates of vertical and right slip on the Yangsan fault system at about 0.02-0.03mm/y, and at least 0.05-0.1mm/y, respectively.6. The fault topography is not found on the lower and lowest terraces. As the surface of the terrace has widely been cultivated as paddy fields for long historical time, lower fault scarplets less than a few meters high might have been modified or destroyed by the human actions. Therefore, we cannot mention the existence of the younger movement on the lower and lowest terraces.
著者
鈴木 康弘 渡辺 満久
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.30-41, 2006 (Released:2010-06-02)
参考文献数
34
被引用文献数
1 3

2004年新潟県中越地震は,1990年代以降に存在が明らかになった小平尾断層と六日町盆地西縁断層の北部が震源となり,断層線上に地表地震断層が出現した.しかし,活断層分布の情報が十分周知されていなかったことと,地表地震断層の変位量が大きくなかったことから,このような認識が徹底されていない.本稿では,地表地震断層の認定根拠を変動地形学の立場から明確にし,地表地震断層の出現が確実であることを最新の研究成果に基づいて解説する.防災上,「地震はどこでも起きる」ことを念頭に置く必要がある反面,地域ハザードを適切に評価する必要があり,変動地形学はこのことに大きく貢献している.
著者
渡辺 満久
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

1 はじめに 発表者はこれまでに、「福島」以前の杜撰な審査を繰り返さずに原子力関連施設の安全性が確保されることを願い、原子力施設の再稼働の前提となる新規制基準適合性に係わる審査に対しいくつかの具体的提言を行ってきた(渡辺ほか、2013;渡辺・中田、2014)。ところが、最近の北海道泊原子力発電所の審査における、原子力規制委員会(以下、規制委員会)の姿勢には大きな疑問を感じている。本報告では、積丹半島の活構造を総括し、規制委員会による審査の問題点を指摘する。本研究では、平成25~27年度科学研究費補助金(基盤研究(C)研究代表者:渡辺満久)の一部を使用した。2 積丹半島の活構造(渡辺・鈴木、2015;渡辺、2015a;2015b;北電、2013、2014) 積丹半島西方断層は神威海脚の西縁から神恵内西方まで約60 km連続し、比高数100 mの凸型斜面(撓曲崖)を形成している。撓曲崖基部には新しい地すべり地形が多数見られ、最近も斜面が不安定になったことがわかる。北電による音波探査の結果にも、いくつかの断層構造が確認される。規制委員会は、明瞭な断層構造が確認できないことを理由に活断層の存在を否定しているようである。しかし、上述したように断層構造は確認されている。そもそも、十分な変動地形学的検証なしに音波探査結果だけで活断層の存在を否定してはならないことは、2007年中越沖地震で学習したはずである。 積丹半島南西岸では、MIS 5eの海成段丘面が30 m程度の高度にあり、高度の異なるノッチや離水ベンチが存在しているため、間欠的隆起が繰り返されていることが強く示唆される。一方、北東岸では、海成段丘面は分布しておらず、離水ベンチもほとんど認められない。このような変動地形学的コントラストは非常に明瞭であり、両地域の地形発達が同じであるとは到底考えられない。これらの特徴は、積丹半島西方断層の活動で統一的に説明できる。規制委員会は、このような地形学的特徴の違いをまったく考慮していない。また、積丹半島全域が定常的かつ一様に隆起していると結論しているが、本当にそのような地殻変動が継続しているかどうかの検証はまったく行われていない。 規制委員会は、半島南西岸の海成段丘面(MIS 5e)の旧汀線高度はほぼ一定であるとした。しかし実際には、その旧汀線高度は一定ではなく、10 km程度の区間で10 m程度の高度差がある。これは、それほど本質的な問題ではないが、このような事実誤認があることも問題である。また、神恵内付近における旧汀線高度の急変に関しても、合理的な説明はなされていない。これらの問題に関して、2015年度活断層学会で報告したところ、当時の審査担当者から「北電から満足のゆく回答はまだなく、結論はでていない」というコメントがあった。その内容は、規制委員会の結論とはまったく異なるものであり、審査の進め方などに大きな疑問を感ずる。 MIS 9以降、積丹半島南西岸は等速度で隆起していると考えられ、中新統は南西側へ撓曲している。泊原子力発電所は、MIS 9に形成された海成段丘面を掘削して建設されており、撓曲する中新統には複数の層面すべり断層がある。これらの断層が後期更新世に活動していないと断言できる証拠はない。MIS 9以降の一様な隆起運動を考えれば、今後も動きうる断層として評価すべきである。 規制委員会は、南方の岩内平野では中新統~前期更新統の撓曲構造が前期-中期更新統の「岩内層」に覆われており、後期更新世には成長していないとした。しかし、前期-中期更新統の傾斜は、発電所近傍では12~13度であるのに対し南方の岩内平野では3~4度程度であり、岩内平野では変形の程度が小さい。泊原子力発電所直下の構造を、離れた地域で検証することはむつかしい。また、岩内平野の「岩内層」は、前期-中期更新統ではなく、MIS 5eの海成層である可能性が高く、1度程度傾斜している可能性がある。以上を考慮すれば、敷地内の撓曲が活構造であることは否定できず、重要構造物直下にcapable faultが存在する可能性がある。3 規制委員会の評価への批判 規制委員会は、積丹半島の変動地形学的特徴を誤認し、積丹半島西方断層の上盤の敷地内断層の活動性に関しても正しく評価していない。規制委員会は、新規制基準に基づく安全審査を実施しておらず、事業者の調査結果を鵜呑みにして「総合的におおむね妥当」と判断している。審査ガイドに明記された厳格な審査に違背した評価であり、「過去の形式的で杜撰な審査は見直し、事業者よりの専門家が関与した非科学的な審査結果は一掃しなければならない」と批判された、保安院時代のものと同質のものである。すべては、3・11以前に戻った。【文献】北電、2013。20131003_02shiryo_01.pfd。北電、2014、20150529-000108711.pdf。渡辺ほか、2013、活断層学会秋季大会。渡辺・中田、2014、地理学会2014年度春季学術大会。渡辺・鈴木、2015、科学、85。渡辺、2015a、地理学会2015年度秋季学術大会。渡辺、2015b、活断層学会2015年度大会。
著者
渡辺 満久
出版者
日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.44, pp.1-8, 2016-03-31 (Released:2016-10-21)
参考文献数
18

There are several marine terrace surfaces in the southeastern part of Shimokita peninsula, northeast Japan. They are classified into H1, H2, M1, M2 and M3 surfaces in descending order. The M1 and M2 surfaces are correlated with those formed in MIS 5e and in MIS 5a, respectively. The Rokkasho fault merging into the extensive submarine fault along shelf edge in the north has successively deformed these terrace surfaces, resulting in a 1-2 km wide flexural scarp tilting to the east on the M1 and M2 surfaces. Vertical offset of the M1 surface is over 30 m in the north and less than 20 m in the south. The flexural scarp extends at least 15 km to the south of the Takahoko Lake. The Detoseiho fault is a subsidiary branch fault of the Rokkasho fault developed in the Rokkasho flexural scarp. Because the M1 surface is bending toward the east (toward the coast), the sand layer composing of the M2 surface abutted on the monocline slope. Following movements of the Rokkasho fault have deformed the M2 surface in the same direction as the M1 surface, and consequently the M1 and M2 surfaces converged upon in the flexural scarp. This makes it very difficult to distinguish one from the other. Such geomorphic development should be strongly controlled by the activity of active fault differentiating tectonic relief and the width of flexural scarp reflecting the depth of tip of fault plane. Further examinations on active faults extending parallel to the coast lines are required to solve the problems.
著者
渡辺 満久 鈴木 康弘 熊原 康博 後藤 秀昭 中田 高
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

2016.04.14に熊本地震の前震(M6.5)が、04.16には本震(M7.3)が発生した。これらの地震を引き起こした活断層への評価(地震本部、2013)には、指摘すべき大きな問題がある。また、地震断層近傍では、「震災の帯」と呼ぶべき被害の集中域が認められる。このような現象は1995年兵庫県南部地震後にも指摘されていたが、その教訓が生かされたとは思えない。 本震発生時、既知の布田川・日奈久断層に沿って総延長31kmの地表地震断層が現れた。ところが、前震は日奈久断層帯が、本震は(主に)布田川断層帯が起こしたものである(前震と本震は別々の活断層によって引き起こされた)との見解がある。それは、地震本部が布田川・日奈久断層という1つの活断層を、布田川断層帯と日奈久断層帯という別々の活断層として評価しているためである。 明瞭な地震断層が全域で現れたのは本震の時であり、前震の震源域は本震のそれに包括されている。また、都市圏活断層図に示されているように、布田川・日奈久断層は完全に連続した活断層である。これらのことから、別々の断層が連動したという理解は誤っている。かつて地震本部は、連続した布田川・日奈久断層として正しく評価されており、今回の震源域ではM7.2の地震が発生すると予測されていた。ところがその後、変動地形学的な証拠が軽視され、1つの活断層が2つの活断層(帯)に分割されてしまった。それによって想定地震が過小評価され、M7クラスの本震発生への警鐘に結びつかなかった可能性がある。 益城町の市街地では震度7を2度記録したが、本震時の建物被害が著しかった。被害激甚な地域は、南北幅が数100km以内、東西に数km連続する「震災の帯」をなしている。ここでは、新耐震基準に適合している建物までもが壊滅的な被害を被っている。「震災の帯」の中には、益城町堂園付近から連続する(布田川断層から分岐する)地震断層が見出されるため、その活動が地震被害集中に寄与している可能性が高い。ただし、地震断層直上でなくても、近傍における建物物の被害も著しい。 南阿蘇村においては、複数の地震断層が併走して現われた。地震断層直上およびその近傍では、ほとんどの建物が倒壊した。この地域においては、少なくとも5台の自動車が北~北西方向へ横倒しとなっていることも確認した。強いS波が自動車を転倒させ、南阿蘇村における大規模な斜面災害の引き金にもなったと考えられる。 このように、地震断層近傍では、土地のずれに加えて、強震動による被害が集中したと考えられる。堂園付近では、布田川断層の存在は知っていたという声が少なくなかった。しかし、そこに被害が集中する可能性があるとは理解されていなかった可能性が高い。活断層情報の活用の仕方について、再検討すべきであろう。 熊本地震によって、活断層の位置情報が地震防災上極めて重要な情報であることが再確認された。変動地形学的な物的証拠を重視していない地震本部による活断層評価には、非常に大きな問題がある。また、兵庫県南部地震時の教訓を十分に生かすことができなかったのは、活断層情報の活かし方に問題があったと考えられる。防災・減災に向けて、地形学からさらに積極的な提言を続けることが必要であろう。なお、熊本地震の地震断層は既知の活断層の範囲以外にも出現している。「見逃された」理由を検証し、今後の活断層調査に関して解決すべき問題を見極めなければならない。全国の都市圏活断層図の改訂など、熊本地震を貴重な事例として、明確となった問題を解決してゆく必要がある。
著者
鈴木 康弘 岡田 篤正 竹村 恵二 慶 在福 金 幸隆 廣内 大助 伊藤 愛 大石 超 中村 洋介 成瀬 敏郎 北川 浩之 渡辺 満久
出版者
日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.25, pp.147-152, 2005

The Ulsan fault extends for 50 km along the NNW-SSE direction in the southeastern part of the Korean Peninsula; this is one of the most important active faults in Korea. Its paleoseismicity has recently attracted considerable attention. With the support of KOSEF (Korean Science and Engineering Foundation), excavation studies of this fault were conducted in 1999 as a part of the Korea-Japan cooperative research at Kalgok-ri in Kyongju city. The results obtained are summarized as follows. (1) The Ulsan fault plane has an eastward dip of approximately 30 degrees and exhibits typical reverse faulting. (2) It was reactivated three times in the past 30,000 years, in particular, twice after the age of AT tephra (approximately 25,000 years BP). (3) A vertical displacement of approximately 0.8 m occurred during the fault event, and the amount of net slip along the fault plane is calculated to be 1.6 m.
著者
鈴木 康弘 池田 安隆 渡辺 満久 須貝 俊彦 米倉 伸之
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.151-159, 1989-06-24 (Released:2010-03-11)
参考文献数
17
被引用文献数
5

Many active faults trending N-S along basin-mountain boundaries are recognized in Northeast Japan, but only a few of them have experienced surface faulting in historical time; most of them seem to have been quiescent in the past several hundred years or more. Thus earthquakes are anticipated to occur from these active faults in the near future. To detect the recurrence intervals of faulting, which can be obtained by the excavation study, is indispensable for the long term prediction of earthquakes.We excavated a trench at Kitasakai, Sakata City, across the Kannonji fault, one of the eastern boundary faults of the Shonai plain, Northeast Japan, in order to reveal its late Holocene activity including a possible faulting event associated with the Shonai earthquake (M=7.0) of 1894 A. D., which caused severe damage along this fault.Our excavation has revealed that (1) the last surface faulting event on the Kannonji fault occurred in a period from 2, 500 years B. P. to 1894 A. D., and that (2) no surface faulting occurred (at least at the trenching site) in association with the Shonai earthquake of 1894. Careful examination of historical records, however, strongly suggests that the earthquake of 1894 was also generated from this fault; it is likely that thick, unconsolidated sediments prevented the rupture from propagating up-dip to the surface. These results indicate that the interval between the last two earthquakes originating from the Kannonji fault is less than 2, 500 years. It could be 1, 000 years, because the event revealed by excavation is possibly correlated to the historically-documented earthquake of 850 A. D..
著者
鈴木 康弘 杉戸 信彦 坂上 寛之 内田 主税 渡辺 満久 澤 祥 松多 信尚 田力 正好 廣内 大助 谷口 薫
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.37-46, 2009 (Released:2010-02-24)
参考文献数
16

活断層の詳細位置・変位地形の形状・平均変位速度といった地理情報は,地震発生予測のみならず,土地利用上の配慮により被害軽減を計るためにも有効な情報である.筆者らは糸魚川-静岡構造線活断層帯に関する基礎データと,活断層と変位地形の関係をビジュアルに表現したグラフィクスとをwebGIS上に取りまとめ,「糸魚川-静岡構造線活断層情報ステーション」としてインターネット公開した.本論文は,被害軽減に資する活断層情報提供システムの構築方法を提示する.これまでに糸魚川-静岡構造線北部および中部について,平均変位速度の詳細な分布を明らかにした.この情報は,断層の地震時挙動の推定や強震動予測を可能にする可能性がある.さらに縮尺1.5万分の1の航空写真を用いた写真測量により,高密度・高解像度DEMを作成した.人工改変により消失している変位地形については,1940年代や1960年代に撮影された航空写真の写真測量により再現し,その形状を計測した.写真測量システムを用いた地形解析によって,断層変位地形に関する高密度な解析が可能となり,数値情報として整備された.
著者
鈴木 康弘 堤 浩之 渡辺 満久 植木 岳雪 奥村 晃史 後藤 秀昭 STREL'TSOV Mihail I. KOZHURIN Andrei I. BULGAKOV Rustam TERENTIEF Nikolai IVASHCHENKO Alexei I.
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.109, no.2, pp.311-317, 2000-04-25
被引用文献数
1 2

We have prepared a preliminary active fault map of Sakhalin, Russia, based on an interpretation of aerial photographs and satellite images. Major active structures include 110-km-long active faults along the western margin of the Yuzhno-Sakhalinsk Lowland in southern Sakhalin and 120-km-long active faults along the western margin of the Poronaysk Lowland in central Sakhalin. These active faults are parallel to but are located as far as 10 km east of the Tym-Poronaysk fault. Geomorphic surfaces on the upthrown side of the fault are tilting westward, therefore, the faults are considered to be west-dipping low-angle reverse faults. The vertical component of slip rates of these faults are >0.3 mm/yr in southern Sakhalin and 1.0-1.5 mm/yr in central Sakhalin. The net-slip rates could be much greater because the faults are low-angle reverse faults. If these faults rupture along their entire length during individual earthquakes, the earthquakes could be as great as M7.6-7.7. In northern Sakhalin, we have identified a series of right-lateral strike-slip faults, including the 1995 Neftegorsk earthquake fault. The slip rates for these faults are estimated at 4 mm/yr. The right-lateral shear in northern Sakhalin and east-west compression in central and southern Sakhalin may reflect relative plate motion in far-east Asian region.
著者
中田 高 渡辺 満久 鈴木 康弘 後藤 秀昭 徳山 英一 佐竹 健治 隈元 崇
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

近い将来M8クラスの巨大地震が発生すると予測される南海トラフ沿いの海域を対象に、高い分解能の立体視画像を用いて地形解析を行ない、地震発生源となる活断層の位置・形状、連続性を詳細に解明した。これをもとに活断層と歴史地震との対応関係を検討し、これまで連動型・非連動型として概念的に把握されていたプレート境界型巨大地震像に対して、発生場所や地震規模の予測精度向上に資する基本的な資料を整備した。
著者
渡辺 満久 中田 高 水本 匡起
出版者
一般社団法人 日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.46, pp.9-15, 2017-03-31 (Released:2018-03-29)
参考文献数
17

We found several faulted landforms and an active fault outcrop around the Minobu fault, Yamanashi Pref., central Japan. The Neguma fault may be a reverse fault dislocating a fan surface (not dated) ca. 13 m vertically. Fluvial terrace surfaces at Wada are classified into W1 to W5 surfaces in descending order. It is probable that the W3 surface was formed in the period of MIS 5 to MIS 4. The Wada fault cuts the Neogene and the overlying gravel distributed in almost the same height with the W3 surface. The dip and strike of the fault plane are N5゜E and 50-60゜W, respectively. The striations are plunging to the south at an angle of ca. 20 degree and blow. The relative vertical component is upthrown on the east side. These structures are indicative of left-lateral movement. The maximum accumulated left-lateral slip since MIS 5 to MIS 4 is 100 m at least.
著者
澤 祥 太田 陽子 渡辺 満久 鈴木 康弘
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.233-240, 2000-06-01 (Released:2009-08-21)
参考文献数
20
被引用文献数
3

庄内平野東縁南部松山町の活断層は,活断層研究会(1991)により確実度IIIとされていたが,更新世後期から完新世に活動を続けた長さ約7kmの活断層であることが明らかになった.これを松山断層とよぶ.松山断層は,撓曲変形と断層背後での逆傾斜を変位地形の特徴とし,東上がりの逆断層と考えられる.松山断層の鉛直平均変位速度は0.2~0.7m/kyrsである.松山断層は酒田衝上断層群の位置とほぼ一致し,酒田衝上断層群の第四紀後期の活動の現れと解釈される.
著者
渡辺 満久
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.41, 2006 (Released:2006-05-18)

関東南部では,4つのプレートが衝突しているため,これまでにも多数の大きな被害地震が発生してきた.江戸時代以降,関東南部から発生したやや大振り(M8クラス)な海溝型地震は,1703年元禄地震・1923年関東地震である.これらの巨大地震の発生前には,ほとんど地震が発生しない静穏期と東京湾周辺における小振り(M7クラス)な直下地震の多発時期があった.その繰り返しをもとに,政府中央防災会議は,埼玉県を含む首都直下地震発生の危険性と被害想定結果を公表した.1923年以後の静穏期が終了し,活動期に入ったと判断したのである.これによって,地震防災全般への関心は高まった.しかし,そこでの議論をみると,地震は「どこでも起きる」ことがあまりに強調されすぎており,我々には理解し得ない内容もあることに危惧を抱く.「関東ローム層が厚い地域では活断層は発見されにくい」,「地震は既知の活断層だけで発生するわけではなく,2004年中越地震はその典型である」といった記述は,いずれも事実と異なり,防災対策を講ずる上で大きな障害となる.未知の活断層が伏在している可能性が高いのは,ローム層の分布域(古い土地)ではなく,ローム層のない「新しい土地」である.中越地震は既知であった活断層が引き起こした直下地震であり,一定規模以上の地震は,起こるべき場所(活断層分布域)に起きているのである.文科省地震調査研究推進本部は,今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布図を公表した.中越地震がこの図の発生確率が小さい地域で発生していることも,「どこでも起こる」ことを強調する根拠となっている.しかしながら,この図には,確率計算に必要な資料が不足地域であっても,何らかの数値が示されていることに注意が必要である.中越地震の震源域では,「発生確率」に関わる基礎的な資料はほとんど何もない.「発生確率が低い」ことが明らかであったわけではない.地震被害は,揺れによる被害と,土地の食違いによる被害に分けて考えるべきである.震源域では揺れが激しいので,それによる被害も大きくなる.しかし,やや遠くで発生した地震であっても,地盤が悪い地域では揺れが大きくなるので,居住地以外で発生する地震にも注意を払わなければならない.まさに,地震は「どこでも起こる」と考えておく必要がある.後者の被害は,活断層のずれによって,周辺の建造物が倒壊するものである.1999年台湾の集集地震においては,この被害が際立っていた.土地の食違いによる被害は,震源域以外では発生しない.地震防災に対する意識を高める上においては,「どこでも起こる」という指摘にはある一定の意味がある.しかし,阪神淡路大震災や中越地震時の被害のような大きな地震被害は,大きな揺れと土地の食い違いによって,震源域に発生するのである.巨大な地震被害に備えるためには,地域を特定した対策が必要となる.そのためには,どこに,どのような活断層が存在するのか,活断層を特定した政策レベルでの防災対策が必要となる.そこに目を向けず,「どこでも起こる」という理解だけに立脚していては,間違いなく,巨大な惨劇が繰り返される.政府中央防災会議や文部科学省地震調査研究推進本部の研究成果のうち,埼玉県に関わる部分は,基本的には「どこでも起こる」地震を想定したものである.唯一,埼玉県北西部の「深谷断層」の活動性を考慮した内容があるものの,この活断層の活動履歴等はほとんど不明である.また,埼玉県南東部の「綾瀬川断層」は深谷断層の南東方向延長部にあり,一連の活断層帯となっている可能性が高いものの,綾瀬川断層の活動性は全く考慮されてない.このため,「被害予測」も「確率分布図」も,リアリティを欠くものとなっていると言わざるを得ない.深谷断層は,群馬県高崎付近から連続してくる大活断層(関東平野北西縁断層帯)である.また,その南東への延長部,東京都江戸川区・千葉県浦安市周辺にも,深谷断層と同様のずれが確認されている.綾瀬川断層はこれらの活断層をつなぐ位置にあり,ずれ方も同じである.調査未了地域があるものの,高崎から東京まで,長さ約120kmの長大な活断層が首都圏直下に存在する可能性が提示されている.これが見落とされているとすれば,大変大きな問題である.政府中央防災会議は「東京湾北部」を震源域とする地震も想定し,被害を予測している.上記の長大な活断層は,この想定震源域に達するものであるが,その地震像は想定を大きく上回る可能性がある.「どこでも起こる」地震に備えることも重要ではあるが,それだけでは活断層周辺における巨大な地震被害を軽減することはできない.綾瀬川断層の活動性(活動様式,最新活動時期,平均的活動間隔など)を明らかにすることが非常に重要である.
著者
中田 高 徳山 英一 隈元 崇 室井 翔太 渡辺 満久 鈴木 康弘 後藤 秀昭 西澤 あずさ 松浦 律子
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.240, 2013 (Released:2013-09-04)

2011年東北地方太平洋沖地震以降,中央防災会議によって,南海トラフ沿いの巨大地震と津波の想定がなされているが,トラフ外れた海底活断層については詳しい検討は行われていない.縁者らは,詳細な数値標高モデルから作成した立体視可能な画像を判読し,南海トラフ東部の南方に位置する銭洲断層系活断層の位置・形状を明らかしたうえで.その特徴および歴史地震との関連を検討する.
著者
渡辺 満久
出版者
The Association of Japanese Geographers
巻号頁・発行日
pp.100072, 2013 (Released:2014-03-14)

現在、我々は、原子力施設周辺で多数の活断層が存在しているという事実、原子力関連施設の耐震安全性が不十分なまま放置されてきたこという事実に向き合っている。このような事態に陥ったことに関しては、地理学界にも大きな責任がある。 活断層の認定や活動度の評価においては、高度な地形学的見識が必要とされる。しかし、安全審査の場では、「水は高い所に向かっても流れる」と発言する「専門家」や、旧汀線高度異常などに気付かない「専門家」が活断層の評価を担当してきた。また、電力との密接な関係をもつ「専門家」が評価を牛耳ってきたことも問題である。 地形研究者は、上記した問題に対して具体的に提言することができたはずである。しかし、我々がこうした役割を果たしてきたとは到底いえない。問題に気づきつつも、「純粋な研究にこそ意義があり、社会的責任は負わない、負うべきではない」、「そんな議論は大人気ないことであり、相手にしないことだ」といった理由から沈黙を続けた研究者が多かった。原子力政策に係わることを避け、問題から目を反らしてきた研究者も多いと考えている。 能登半島地震、中越沖地震に続き、東北地方太平洋沖地震によって大きな事故が発生した。これらの事故が発生した原因の一つは、耐震性安全審査において地形学の研究成果(地形学そのもの)が蔑にされてきたことにある。これらに対して地形学からの発言が無かったため、活断層の活動性は著しく過小評価され、あるいは活断層の存在自体が無視されてきた。理学は実学ではないとする主張は、一面では理解できる。しかしながら、多くの国民が関心を抱く原子力の問題に対して沈黙すると、学問の存在意義自体が問われかねない。 2012年には原子力規制委員会が発足し、原子力施設の敷地内断層に関する外部有識者として、多くの変動地形研究者が学会から推薦された。有識者会合では積極的に意見が交わされているが、それ以外の場においても変動地形研究者は自らの役割を果たす必要がある。原子力発電所に関わる議論をタブー視してきた過去とは決別すべきである。 ところで、規制委員会での議論では敷地内の断層だけが重視され、問題が矮小化されている可能性が高い。本質的な問題は、どうしてそのような断層が存在しているのかということである。周辺の活断層の性状や敷地を含む空間に起こりうる現象を正確に把握してゆくことが最も重要である。 また最近、日本列島全体を大きく変形させた東北地方太平洋沖地震と津波の発生様式について、地震学的見解とは異なる、海底活断層との関係を重視した変動地形学的新知見が得られている。地震学的に定着した見解に対しても、地形学から積極的に問題提起をしてゆく必要がある。