- 著者
-
竹内 常行
- 出版者
- The Association of Japanese Geographers
- 雑誌
- 地理学評論 (ISSN:00167444)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.4, pp.216-237, 1977-04-01 (Released:2008-12-24)
- 参考文献数
- 38
- 被引用文献数
-
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富山平野の山麓にはかなり広い隆起扇状地が発達しているが,これらの隆起扇状地にも古くから水田が広く拓かれている.このことは天竜川,相模川,荒川や松本平その他の隆起扇状地と較べて著しい特色である.この理由を明らかにするために,隆起扇状地が2段以上発達している,小矢部川から黒部川に至る8河川の隆起扇状地が,どのような用水路によって拓かれてきたか,また各河川の灌瀧区域の用水事情はどのようであったかを調査した.その結果,用水源である河川の本流あるいは支流の集水面積が,灌概区域に対して広い神通川を除いて,必ずしも集水面積は広くはないが,多雪地帯であるために,最多要水期に雪解水が豊富であることと,各河谷の勾配が急で,比較的短い距離で導水できることなどの有利さが,加賀藩の政策と相侯って,広く水田開発を可能にしたことがわかった.しかし,大部分の地域が夏期の渇水期の水不足に苦しんだ実情をも明らかにして,近年の合口事業やダム建設の効果にも論及した.