著者
今里 悟之
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.310-334, 1999-05-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
69

本研究では,九州玄界灘の離島,佐賀県鎮西町馬渡島の空間の意味を社会的コンテクストと関連させて解釈し,主体による立場の差異と時系列変化を考慮した動態的な記号論を展開することを試みた.理論的基礎として社会記号論的アプローチを採用し,村落空間を物的記号とみなした上で,その記号の内容実質を空間に関するイデオロギーやイメージと措定した.解釈したテクストは村落空間に関する住民と外部者の言説であり,そのコンテクストは村落内部の歴史的な社会過程および日常生活である.はじめに,馬渡島住民と外部者の空間認識を島スケールと村スケールに分け,各空間に関する言説を解釈し,空間の意味を抽出した.次に,馬渡島の江戸末期から現在までの社会過程を四つの時期に分けて記述し,言説との相関を分析した.最後に,馬渡島で得られた知見と社会記号論の理論的枠組を照合した.従来,理論が先行していた社会記号論の枠組は,馬渡島で得られた知見から村落空間研究におけるその妥当性・有効性がほぼ検証された.

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「地理学評論 Ser. A」先月の月間アクセス数上位論文をご紹介します。 村落空間の社会記号論的解釈とその有効性 今里 悟之 https://t.co/RH3XiLPs52
今年度上半期、一番読み応えがあった地理の論文をシェア。地誌学の上に成り立つのはこういうことかと感動した。地理学と民俗学と社会学にしっかりまたがってるように読める。 村落空間の社会記号論的解釈とその有効性-玄界灘馬渡島を事例として- 今里悟之(1999) https://t.co/2eBm9O6R7o
読んだ。少し地理から離れた論文ばかり読んでいたので適度に回帰していく。 理論的だった社会記号論が、都市以前にまずは村落に対して適用できるかを、実際に島に住みながら分析。 村落空間の社会記号論的解釈とその有効性 -玄界灘馬渡島を事例として- 今里悟之(1999) https://t.co/58opOzjqWk

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