著者
村中 亮夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.195-210, 2002-04-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
42
被引用文献数
4 4

本稿では,環境の計量的評価手法であるCVMにより,棚田の持つ景観形成機能の経済的評価を行った.評価対象は「高知県高岡郡梼原町神在居地区に卓越する千枚田 (2.1 ha) の,梼原町民にとって2001~2020年度に期待される景観形成機i能(公共財L)」である.調査の結果,公共財Lは約2800万~4800万円と試算され,その経済的価値は「審美的」,「実利的」価値観および家計の経済的負担能力によって規定されていることがわかった.また,公共財Lの経済的価値は空間的にみると公共財Lからの距離減衰性を示し,公共サービスの外部経済効果の距離減衰効果と対応することがわかった.この便益の分析結果を基に費用便益分析を行ったところ,短期的な費用便益の均衡は見込まれず,公共財Lの管理に関する議論には,遺贈価値(将来世代へ遺贈すべき価値)を前提とした世代を超えた長期的な視点が必要であることが裏付けられた.

言及状況

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【地理学評論掲載論文】村中亮夫 2002.CVMによる棚田の持つ景観形成機能の経済的評価―高知県梼原町における事例分析.地理学評論75: 195-210.https://t.co/rNtYnnJcas

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