著者
片岡 久美
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.99-120, 2007-03-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
22
被引用文献数
3 3

1981~1990年に日本付近を通過した100個の台風を対象に, 日本列島661地点の降水量データを用いて, 台風通過に伴う降水量分布や降水量階級別頻度の月別の差異を明らかにした. 各対象地点における台風通過時の降水量を月別に平均して, その分布を調べると, 6月, 9月に31mm以上の地点範囲が広い. 両月は停滞前線の存在割合が高く, 前線の影響により広範囲で降水が増加したとみなされた. 31mm以上の地点範囲が最も広い9月は台風の中心気圧が低く, 台風の通過に伴う気圧傾度の強まりにより, 前線に多量の水蒸気が輸送され, 降水を増加させると考えられた. 他方8月は, 平均降水量の分布において31mm以上の地点範囲は狭いが, 大雨の出現頻度は他の月と比べて多い. その要因として, 8月は, 台風が日本列島付近を通過するのに要する期間が長く, 日本列島に長期間影響を与えること, 台風の通過個数が多く, 同時期に二つ以上の台風が日本付近を通過すること, が挙げられた.

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【地理学評論掲載論文】片岡久美 2007.台風通過時における日本列島の降水分布と大雨発生頻度に関する月別の特徴,地理学評論80,99-120.https://t.co/SRBV1K0LSj
“台風通過時における日本列島の降水分布と大雨発生頻度に関する月別の特徴” http://t.co/eAVAAri6

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