著者
野上 道男
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.81, no.3, pp.121-126, 2008-03-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

河川の縦断形が凹形であることの理由として, 礫径の下流への指数的減少が原因であるとの説が妥当である. 野上 (1981) は拡散係数を距離の指数関数とすることで, 平野 (1972) と同じように定常解が指数関数となるモデルを提案した. これら二つのモデルは局所的に, 砂礫流量の入出力の差が地形変化となるという保存則を満足しない. 流量レベルにおける質量欠損は凹形縦断形の発現と維持のための不可欠な条件である. そこで野上 (1981) のモデルを次のように解釈することにした. 礫径は下流へ指数関数的に減少し, 拡散係数はそれに比例して増大する. 一方, 上流からある区間に供給される砂礫流量から摩耗による欠損を除いた分が入力となり, それと拡散係数と勾配の積で表される出力との差がその区間の標高変化 (地形変化) となる. これがこの小論で提出したモデルである. したがってこのモデルの有効性は礫床河川に限定される.

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【地理学評論掲載論文】野上道男 2008.河川縦断形発達の拡散モデルについて,地理学評論81,121-126.http://t.co/7HR3QZ8ToP

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