著者
岡部 貴美子 亘 悠哉 矢野 泰弘 前田 健 五箇 公一
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.109-124, 2019 (Released:2019-07-01)
参考文献数
116
被引用文献数
1

現代の新興感染症の75%は野生動物由来と推測され、西日本で患者数が増加している重症熱性血小板減少症候群(SFTS)への懸念が広がる現状から、マダニ媒介感染症対策を視野に入れた野生動物管理について、国内外の研究および関連制度の動向についてレビューした。マダニの多くは宿主範囲が広く、感染した野生動物宿主から病原体を得て、唾液腺を介して吸血初期からヒトへと病原体を媒介していることが明らかになってきた。また国外の研究では、宿主の種の多様性が高いと、希釈効果によって感染症リスクが低下する可能性が示唆されている。しかし感染症拡大には単一の要因ではなく、気候変動、都市化、ライフスタイルの変化など様々な要因が関与していると考えられる。これらに対応することを目的として国際的にワンヘルスなどの学際的な取り組みが実施されているが、必ずしも有効な野生動物管理手法の開発に至っていない。今後は、異なるセクターの協働により、科学的知見に基づく取り組みを進めることが必要である。

言及状況

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マダニの感性症と野生動物については以下の論文がとても参考になりました。オープンアクセスです。【館長】 https://t.co/eaNEhtONM0
J-STAGE Articles - マダニが媒介する動物由来新興感染症対策のための野生動物管理 https://t.co/3vgDjaJbh0
J-STAGE Articles - マダニが媒介する動物由来新興感染症対策のための野生動物管理 https://t.co/3vgDjaJbh0
マダニ媒介性人獣共通感染症対策の総論 生物多様性、野生動物管理学と感染症を同時に考え、ワンヘルス的アプローチを進める必要性と具体的に取り組むべきことがよくまとめられていると思う #Hylaメモ https://t.co/QxXv5AgmVz

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