著者
阿部 彩 梶原 豪人 川口 遼
出版者
公益財団法人 医療科学研究所
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
pp.2021.003, (Released:2021-11-04)
参考文献数
31

本稿は,市区町村による子どもの医療費助成制度が,子どもの医療サービスの受診抑制に与える影響を,三つの都県の子どもの生活に関する調査を統合したデータを用いて推計したものである。本件で用いられたデータでは,子どもの居住する市区町村が判別できるため,医療サービスの自己負担が0円,定額(200~500円),3割(助成制度なし),償還払い(窓口は3割。後ほど定額負担以外が償還)の四つの制度に分類し,保護者回答による「(過去1年間)の医療機関で受診させた方がよいと思ったが,実際には受診させなかった」経験の有無を分析した。ひとり親世帯と生活保護受給世帯に対する医療費助成制度の影響を除くため,分析は,ふたり親世帯の非保護世帯に限った。その結果,中学2年生については,3割負担及び償還払いの自治体に居住している場合,自己負担が0円の自治体に居住している場合に比べ,約2倍の確率で受診抑制が起こっていることがわかった。経済的に厳しい層では,この関連はさらに大きく検証された。小学5年生では,経済的に厳しい層のみに関連が見られた。しかし,受診抑制の理由別に見ると,償還払いは「多忙」を受診抑制の理由として挙げた場合のみに関連が見られた。定額負担については,整合性がある結果は得られなかった。また,親の就労形態や就労時間,健康状態,世帯タイプなどをコントロールした上でも,生活困難度は頑強に受診抑制と関係していることが明らかになった。

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こちらの研究のことでしょうか?ちゃんと読めてないけど、現在こどもの医療費3割の地域ってあるんですか?3割って所得制限世帯じゃないの?控えるのと、過剰なのとはちょっと分けて考えないといけなくはないんでしょうか? https://t.co/2t6JP9jAia https://t.co/OQfpoSD82D
子供の受診抑制を過剰診療という財務省は本当に人でなしですね 子どもの医療費助成制度の受信抑制に対する影響 https://t.co/tTJ7UFeZzG https://t.co/geoDC2CKnS https://t.co/1pwLdvAOE3
こういう国内問題の研究、国際誌より国内の日本語ジャーナルで読めると議論の水準が確保できて良いよね https://t.co/QgxHHdyirP
Hirotaka Kato and Rei Goto(2017)Effect of reducing cost sharing for outpatient care on children’s inpatient Open Access services in Japan https://t.co/q1G5bgru8A 阿部彩 他(2021)子どもの医療費助成制度の受診抑制に対する影響:大規模自治体データを用いた実証研究 https://t.co/iupSS0NUgO
小児医療費助成(無償から助成なしまで4段階)と病院受診抑制の関係を医療データから分析した2021年の論文のアブストラクトが興味深い。貧困状態だと医療費3割負担や償還払いの場合は子供が体調不良でも受診を抑制する傾向。 https://t.co/n6TMvf8jKD https://t.co/RUjA26G96i
医療費無料や200〜500円自己負担は18歳まで(特に東京は)所得制限なしに賛成だけど、要研究 こんな論文が昨年出てたんだね(扱注意 https://t.co/94zTRidgRS 参考 https://t.co/OvmSVyhd5y 【独自】都が高校生の医療費も無料化へ…子育て世代の呼び込み図る(読売新聞) https://t.co/q3s8KBpz4i
https://t.co/0kRj78zlVS お金のことを気にして 困窮層では一般層の7.01倍 医療にかかることを抑えちゃう様子。。。 安心して医療にかかれるようにしたいものです。

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