著者
杉浦 仁美 坂田 桐子 清水 裕士
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.1218, (Released:2014-03-28)
参考文献数
35
被引用文献数
1

本研究の目的は,地位格差のある集団間状況において,集団間葛藤が生起する過程を明らかにすることである。そのため,内集団バイアスに着目し,集団間の相対的地位と集団間の関係性,集団内での個人の地位が,内集団,外集団メンバーの評価に及ぼす影響について検討した。大学生120 名に対して,集団間地位と集団内地位を操作した実験を行った。その結果,高地位集団では,高地位者よりも低地位者のほうが,外集団メンバーの能力を低く評価することが明らかとなった。逆に,低地位集団では,低地位者よりも高地位者のほうが,外集団の能力を低く評価していた。また,この交互作用は,集団間の関係を非協同的であると認識する者においてのみ見られた。これらの結果から,集団内地位と集団間地位の高さが異なり,個人間比較と集団間比較のジレンマが生じる状況では,補償的に外集団を卑下する戦略が用いられる可能性が示唆された。

言及状況

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@brfrn169 ちょっと前にそんな現象が論文になってましたw "集団間と集団内の地位が内・外集団の評価に及ぼす影響―集団間関係の調整効果に着目して―" https://t.co/7yb93hZEwf
@Hiro_macchan 他者を見下したりするヒトの性質の研究は差別対策(https://t.co/7yb93hZEwf)としても研究されてるので、結構、宝の山なんじゃないかとw
グループ間闘争はマルチレベル選択による(グループ内の)協調行動の進化を促進する効果もあるけど、全体としては闘争の多い集団になりそう。その辺を緩和できる、というかコントロールできるパラメータとかあったりするのかな。https://t.co/zRzuRtsXTJ
「他のグループの人を卑下するような行動は当人の自己評価高揚(社会的地位の向上欲)として機能している」という結論。なるほど。その辺を解消し差別等を軽減することが目的の研究→ 集団間と集団内の地位が内・外集団の評価に及ぼす影響 https://t.co/ghVYvBujsc
おめでとうございます!RT @jin_sugiura: 実社心研の論文が、早期公開された模様。良かった、長い闘いだった。 http://t.co/DjXNgX1hLo
うちの院生さんの論文がOnline firstで見れます。僕も共著者です(たぶんHADのほうが貢献度高いけど)RT @jin_sugiura 実社心研の論文が、早期公開された模様。良かった、長い闘いだった。 http://t.co/FzylSFAEu2 …

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