著者
杉浦 仁美 坂田 桐子 清水 裕士
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.75-85, 2014-11-30 (Released:2015-07-24)
参考文献数
29
被引用文献数
2

This study examined if Social Dominance Orientation (SDO) might differ depending on the outgroup with which one's own group is compared. SDO was divided into two factors: “Group-based dominance” and “Equality.” We predicted that Group-based dominance would be high when one's own is compared with a relatively low status outgroup, whereas Equality would be high when one's own group was compared with a relatively high status outgroup. Furthermore, we predicted that this tendency would be apparent in members whose intragroup status was close to the outgroup. University students participated in an experiment that manipulated intergroup status by changing the outgroup status, and its effect on SDO, as well as intragroup status was examined. Results of Study 1 indicated no effect of intergroup and intragroup status on SDO. However in Study 2, by improving the SDO scale, we obtained results that supported our predictions. That is, Group-based dominance scores of low intragroup status members increased when compared with a low status group, whereas Equality scores of high intragroup status members increased when compared with a high status group.
著者
杉浦 仁美 坂田 桐子 清水 裕士
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.1218, (Released:2014-03-28)
参考文献数
35
被引用文献数
1

本研究の目的は,地位格差のある集団間状況において,集団間葛藤が生起する過程を明らかにすることである。そのため,内集団バイアスに着目し,集団間の相対的地位と集団間の関係性,集団内での個人の地位が,内集団,外集団メンバーの評価に及ぼす影響について検討した。大学生120 名に対して,集団間地位と集団内地位を操作した実験を行った。その結果,高地位集団では,高地位者よりも低地位者のほうが,外集団メンバーの能力を低く評価することが明らかとなった。逆に,低地位集団では,低地位者よりも高地位者のほうが,外集団の能力を低く評価していた。また,この交互作用は,集団間の関係を非協同的であると認識する者においてのみ見られた。これらの結果から,集団内地位と集団間地位の高さが異なり,個人間比較と集団間比較のジレンマが生じる状況では,補償的に外集団を卑下する戦略が用いられる可能性が示唆された。
著者
杉浦 仁美 坂田 桐子 清水 裕士
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.101-111, 2015 (Released:2015-03-26)
参考文献数
35
被引用文献数
1

本研究の目的は,地位格差のある集団間状況において,集団間葛藤が生起する過程を明らかにすることである。そのため,内集団バイアスに着目し,集団間の相対的地位と集団間の関係性,集団内での個人の地位が,内集団,外集団メンバーの評価に及ぼす影響について検討した。大学生120名に対して,集団間地位と集団内地位を操作した実験を行った。その結果,高地位集団では,高地位者よりも低地位者のほうが,外集団メンバーの能力を低く評価することが明らかとなった。逆に,低地位集団では,低地位者よりも高地位者のほうが,外集団の能力を低く評価していた。また,この交互作用は,集団間の関係を非協同的であると認識する者においてのみ見られた。これらの結果から,集団内地位と集団間地位の高さが異なり,個人間比較と集団間比較のジレンマが生じる状況では,補償的に外集団を卑下する戦略が用いられる可能性が示唆された。
著者
横田 晋大 三船 恒裕 杉浦 仁美
出版者
広島修道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

2019年度では、場面想定法を用いた質問紙実験を2度実施した。まず、申請内容にもある、外集団攻撃を行う人物への魅力度評価を行った(2019年7月)。結果は、男性戦士仮説を支持するものではなく、協力的な人物への評価が高いことが示されるのみであった。この結果を受け、本研究の仮説と方法を修正した。男性戦士仮説で述べられている、集団間葛藤により男性の繁殖成功度の向上は、内集団成員からもたらされるというよりもむしろ、外集団から資源を奪うことにある。そのため、質問紙実験において、集団間状況で外集団攻撃の生起を測定するIPD-MDにおいて、各集団の性比の教示を操作し、外集団攻撃が生起するか否かを検討した(2020年1月)。その結果、男性は、男性のみの集団間関係において外集団攻撃の傾向が見られた。しかし、外集団に異性が一人含まれているという教示は外集団攻撃に影響は与えていなかった。以上の結果は、2020年度の日本社会心理学会および日本人間進化行動学会にて発表予定である。