著者
柳原 良江
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.41-54, 2021-04-30 (Released:2021-05-26)
参考文献数
23

代理出産とは,他者に妊娠・出産を依頼し,産まれた子を引き渡す契約を結び子を得る方法を指す.この方法はしばしば「新しい問題」とされるが,歴史的に見れば,東アジアで20世紀前半まで長らく行われた「契約出産」の一形態である.近年,グローバルな市場を構築する代理出産は,1976年に米国人弁護士が発明した商品に端を発する.90年代に体外受精を用いた代理出産が用いられ始めると,親権裁判では,子との遺伝的・身体的な繋がりではなく「子を持つ意志」が優先され,子を持つ意志と経済力さえあれば誰でも子を持てるようになった.代理出産で依頼者が求めるのは「近代家族」の形成である.代理出産は家族の多様化ではなく,近代家族を形成できる人々の多様化を引き起こした.したがって,代理出産で作られる家族は,均質な近代家族へと収束する.代理出産は,女性と子を危険に晒しながら,人々をより窮屈な家族観に閉じ込める装置となっている.

言及状況

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代理出産の法的・社会的位置づけとイメージについて、わかりやすくまとまっていた。経済格差を利用したアウトソーシングがベースなので、母子の健康リスクを誰が引き受けるのかというな… #今日の論文 『代理出産における変遷――何が新しく何が多様なのか―― 』https://t.co/MRMaWXUvuo https://t.co/TrDPDA0Gk4
リンクで紹介されている代理出産の変遷のまとめは参考になる。NY州ではコロナ下のためフェミニストの反対が起こせにくい時期にゲイ議員が合法化法案を成立させたって…。最後のほうで、生殖技術では生まれた子供側の権利が最も軽視されている点にも言及。 https://t.co/HSVZwEwZrt https://t.co/ICxynU3p3x https://t.co/UIhCaXtu0W
代理出産は1976年に米国の弁護士ノエル・キーンが発明。当初は批判もあったが、全米初の代理母エリザベス・ケインを中心とするメディアキャンペーンが成功。代理出産に肯定的な考え方が普及。しかしケインは実際は出産後に後悔し、代理出産反対運動に身を投じている、だそう。https://t.co/ICghneEBEq
代理出産における変遷 ― 何が新しく何が多様なのか― 柳原良江 https://t.co/2QUBkf0qyi 「多様な富裕層に「近代家族」を提供するため, 社会は,さまざまなレトリックを用いてきた.」
柳原さんの論文。代理出産がいかに人権上問題があるかまとめられている。代理出産は容認していた国では規制される傾向にあるみたいだが、合法化される国が現れるたびにそこが新たなマーケットになり、弱い立場の女性がターゲットになってしまっている。 https://t.co/XRNVea1A2C
https://t.co/8Zf4lDEGcp
面白かった→「代理出産で依頼者が求めるのは「近代家族」の形成である.代理出産は家族の多様化ではなく,近代家族を形成できる人々の多様化を引き起こした(中略)代理出産は,女性と子を危険に晒しながら,人々をより窮屈な家族観に閉じ込める装置となっている」 https://t.co/pHAx0jl9oT
代理母を問い直す会の代表の方の2021年の論文 代理出産における変遷――何が新しく何が多様なのか―― https://t.co/H6jwD7Yi8C
代理出産における変遷 https://t.co/Q40Ydbsgvs 歴史も問題点も分かりやすくまとまっている。同性カップルでも代理出産させるのは断固反対。
柳原 良江 (2021) "代理出産における変遷: 何が新しく何が多様なのか" _家族社会学研究_ 33(1):41-54 ISSN:0916-328X / “代理出産における変遷――何が新しく何が多様なのか――” https://t.co/iSy56xnFPv #sociology #family #law #child #gender

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