著者
神林 潤一 鈴木 康弘 沖津 卓二
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.41-48, 2004-02-28 (Released:2010-08-05)
参考文献数
7
被引用文献数
1

教室と廊下の間が, 壁や窓によって区画されないオープン型の普通教室が増えているが, 従来型の教室に比べ騒音環境の悪化が懸念される。そのため, 全教室がオープン教室である仙台市立の3小学校ならびに従来型普通教室をもつ小・中学校4校において, 教室内の騒音測定と現場の教師に対するアンケート調査を行い, それぞれの騒音環境について比較検討した。その結果, オープン教室の騒音レベルは, 明らかに学校環境衛生の基準値50dB (A) を超えていること, オープン教室内では児童も教師も隣接教室からの騒音に少なからず影響を受けていることが分かった。以上のことから, 学校の新設に際しては, 騒音に対する十分な配慮が必要であり, 既存のオープン教室に対しては, 適切な防音対策が望まれる。
著者
佐藤 峰南
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.983-993, 2018-12-15 (Released:2019-03-15)
参考文献数
72

地球科学の最も重要な発見のひとつである白亜紀/古第三紀(K/Pg)境界の白金族元素の異常濃集が報告されてから30年以上が経過した.それ以降,世界中のK/Pg境界層から白金族元素の異常濃集が検出されている.日本の付加体である三畳紀-ジュラ紀の層状チャートは,非常に遅い堆積速度(1000年で数mm以下)をもつ遠洋性深海堆積物であり,大陸起源物質の混入が少ないという特徴を持つ.層状チャートは,堆積速度が遅く,連続的な堆積物であることから,層状チャート中には地質時代を超えた地球外起源物質付加の記録が残されている.本稿では,日本の遠洋性堆積物中に保存された後期三畳紀の巨大隕石衝突による地球外起源物質の流入履歴について,地球化学データを用いてレビューした.層状チャート中の白金族元素およびオスミウム同位体の地球化学データは,隕石のタイプや種類を推定する上で非常に有用な情報を提供する.
著者
Janine CHAPMAN Anjum NAWEED Carlene WILSON Jillian DORRIAN
出版者
National Institute of Occupational Safety and Health
雑誌
Industrial Health (ISSN:00198366)
巻号頁・発行日
pp.2018-0194, (Released:2019-03-05)

Cardiovascular disease (CVD) risk in train drivers is associated with health conditions that can result in sudden incapacity. Drivers are at high risk on several CVD risk factors with research suggesting that sleep may predict CVD risk, however this relationship has not yet been explored. This study investigated the link between sleep and CVD risk, in relation to hours of work day and days off sleep. N=309 Australian drivers completed cross-sectional survey. A CVD risk score was calculated by summing scores from behavioural and biomedical risk factors. Sleep was most frequently cited as the main reason for decline in perceived health status. Main analyses showed that shorter work day sleep (M=5.79 h) was a significant predictor of increased CVD risk (p=0.013). This relationship was moderated by days off sleep, such that when days off sleep (M=8.17 h) was higher, the effect of work day sleep on CVD risk was weaker (p=0.047). Findings indicate the amount of sleep a driver obtains on non-work days may compensate for adverse health outcomes. Successful management of fatigue in safety critical occupations appears essential not only for the prevention of safety hazards, but also for the long-term health of shift workers. Further investigation is warranted.
著者
尾上 哲治
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.12, pp.1021-1032, 2018-12-15 (Released:2019-03-15)
参考文献数
97

日本列島のジュラ紀付加体中には,パンサラサ海の遠洋域で堆積した三畳系〜ジュラ系層状チャートが広く分布する.層状チャートは,一般に泥質部と珪質部の互層から構成され,主に大陸起源の風成塵からなる泥質部の堆積と,生物源(放散虫)シリカの深海底へのフラックス増加による珪質部の堆積が,ある一定周期で繰り返し起こり有律互層が形成されたと考えられている.しかしながら珪質部において生物起源シリカフラックスがなぜ増加するのかといった,堆積環境の変動要因については明らかにされていない.本論では,未解決である層状チャート珪質部・泥質部互層の堆積機構を理解するために,(1)珪質部・泥質部の堆積速度,(2)珪質部・泥質部堆積時の古環境,(3)珪質部層厚変動の要因という3つの問題について総括した.
著者
烏賀陽 梨沙
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.123-135, 2014

本稿の目的は,近年のアメリカの美術館教育の現状を文化的,教育的,社会的枠組みの中で位置付け,美術館教育の発展にはどのような要因が影響しているかについて,社会的・経済的視座もいれ多角的に分析・考察することである。1990年代以降を中心に,筆者の過去の調査・研究をもとにニューヨークの美術館の実例や先行研究の例から分析する。事例に即して検討した結果,1980年代後半から1990年代の財政困難期,美術館はその脱却方策を模索したが,そこに二つの方向性がみられた。一つは外部資金(公・民)を積極的に取りにいくこと,二つ目は教育的プログラムやサービスの充実に美術館の焦点が移行することである。こうして美術館教育の発展に,資金援助側の戦略的助成方針など外的要因も関係するようになる。また,近年の認知心理学の進歩も相乗し,美術館に関連した新しい学習理論がうみだされ美術館教育の方法論の充実へとつながり発展を助長した。
著者
佐々木 能章
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.35, pp.119-129, 1985-05-01 (Released:2009-07-23)
出版者
日本民族協会
巻号頁・発行日
vol.第11, 1921
著者
嵩原 広宙 田中 秀樹 岩城 達也
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
pp.TJSKE-D-17-00030, (Released:2018-02-09)
参考文献数
22

Emotional state before sleep affects the subsequent sleep onset. The purpose of this study was to investigate how positive/negative emotion before sleep effected hypnagogic state. The movies eliciting positive or negative emotion were presented before sleep. Hypnagogic imagery was recorded as a probe of emotional experience and EEG microstate analysis was used for finding the emotion related EEG activities. The score of emotion ratings for hypnagogic imagery indicated that positive emotion was reported in not only positive condition but also in negative condition. This implied that hypnagogic state might be accompanied by positive emotion. Comparing the appearance of maps obtained from microstate analysis between conditions, the map of right temporal activity was significantly greater in positive condition while the map of the left frontal activity was greater negative condition. These results suggested that the emotion not just in presleep but also in hypnagogic state was involved in sleep onset process.
著者
足立 準 毛利 有希 庄田 裕紀子 羽白 誠
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.148-152, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
22

27歳, 男性。数年前より治療を拒否して自宅にひきこもり, 重症化したアトピー性皮膚炎患者に, 感染性心内膜炎, さらに播種性血管内凝固 (DIC) をきたし, 死亡に至った症例を経験した。皮膚, 血液培養より黄色ブドウ球菌 (MSSA) が検出され, 皮膚よりの細菌侵入が考えられた。感染性心内膜炎に伴う皮疹として, 手指, 足底に点状出血斑, 爪甲下の出血斑が認められた。
著者
米田 彬史 板倉 光 荒井 考磨 海部 健三 吉永 龍起 三宅 陽一 白井 厚太朗 木村 伸吾
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.18-00038, (Released:2019-03-15)
参考文献数
69

日本におけるニホンウナギの自然分布域を明らかにするために,文献調査からシラスウナギの来遊記録をまとめ,耳石安定同位体比分析に基づく判別手法から全国の河川・湖沼から収集した個体を天然加入個体と放流個体に判別した。その結果,九州一帯,瀬戸内海沿岸,青森県以南の太平洋沿岸,京都府以南の日本海沿岸は自然分布域の主要部,福井県から青森県までの日本海沿岸は自然分布域の縁辺部と推定された。しかし,主要部であっても天然加入個体の割合が3割程度以下の場合もあり,資源が放流個体に依存している状況がうかがえた。
著者
小泉 武夫
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.219-229, 2010-03-15

今日,わが国に於いて焼酎は一大発展を遂げ,今やその消費量や生産量は日本酒を大きく引き離している。ところがこの焼酎は,一体どこから渡来してきたのかは明らかになっていない。大陸説,中国説,南方南洋説などさまざま論じられているが,今から400年以上も前のことであるので正しい検証はされていない。つまり日本の焼酎の歴史の原点部は今もって明らかにされていないのである。そこで筆者は中国,そして東南アジアの諸国を20年近く調査してきて,そのルーツが中国雲南省に在り,それがメコン川を通して南方に渡り,シャム(今のタイ国)から琉球を経て薩摩に来たことを,多くの文献や,現地での証拠写真などから検証し,証明した。そしてその焼酎が日本に入ってきてから,今度はこの国独自の知恵や発想によってさらに技術的発展を遂げ今日に至ったことを論じる。
著者
友田 明美
出版者
一般社団法人 日本児童青年精神医学会
雑誌
児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.719-729, 2016-11-01 (Released:2017-05-17)
参考文献数
31

小児期のマルトリートメント(不適切な養育)経験は高頻度に精神疾患の発症を招き, 脳の器質的・機能的な変化を伴うことがわかってきた。たとえば, 暴言虐待による聴覚野容積の拡大や両親のDV目撃による視覚野容積の縮小をもたらし, うつ病や PTSD, 認知機能の低下を引き起こす。他の被虐待経験によるヒトの脳に与える影響も明らかになってきた。単独の被虐待経験は一次的に感覚野(視覚野や聴覚野など)の障害を引き起こすが, より多くのタイプの虐待を一度に受けるともっと古い皮質である大脳辺縁系(海馬や扁桃体など)に障害を引き起こす。さらに反応性アタッチメント障害を持つ青少年たちには線条体におけるドパミン機能異常が明らかになってきた。不適切な養育体験と子どもの依存リスクが脳科学的にも密接に関連している可能性が示唆される。
著者
西条 昇 木内 英太 植田 康孝
出版者
江戸川大学
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
no.26, pp.199-258, 2016-03

2015 年は,アイドルシーンにとって画期的な年であった。ジャニーズやAKB48 を中心としたアイドル・ブームはまだまだ堅調であったが,これが「仮想空間」にも拡大,一般化して「アイドルアニメ」がエンタテインメント市場を席捲した。現実のアイドルは近年,ちょっとでも容姿や体型が落ちるとインターネット上で「劣化」と騒がれてしまうが,アニメのアイドルは「劣化」せず純粋にグループのために頑張る理想の集団としてファンに映り,「ラブライブ!」「アイドルマスター」「うたの☆プリンスさまっ♪」の3 大作品が大ヒット,「ラブライブ!」から派生した声優9 人組によるユニット「μ's(ミューズ)」が2015 年末の「第66 回NHK 紅白歌合戦」に出場,2015 年流行語大賞の候補に熱狂的ファンを表す「ラブライバー」が選ばれるなど社会現象化した。「ラブライバー」が成立した背景には,「ヴァーチャル空間」拡大による「ファン母数増加」と「ファンコミュニティ内つながりの緊密化」の2 点が挙げられる。現代アイドルの魅力は,具体的な素の存在に基づく「現実空間」における「キャラクター」性と,アニメやマンガのキャラクターに通じるように,類型化されたイメージの中から選び取られた「仮想空間」における「偶像」性の二重構造を持っていることにある。「現実空間」における「キャラクター」と「仮想空間」における「偶像」が合致した時,アイドルの魅力は一気に高まる。一方,その乖離が露呈すると,虚構性が興ざめ感を惹起する危険性も兼備する。かつて安室奈美恵やSPEED などアーティスト志向が強かったグループはアイドルとして捉えられることに対し拒絶する動きを見せたが,SNS や動画配信な「ヴァーチャル空間」が拡大してファンとの距離が近く感じられるようになった現在においては,アーティスト然と振る舞うことは逆にカッコ悪く映り,身近に感じさせられるアイドル的行動がファンを増やす点で効果的になっている。ファンになってもらうためには,SNS やイベントを通して「人となり」を伝えることが求められる。アイドルはイベントで握手や写真撮影に応じることに加え,公式サイトやFacebook,Twitter でグループや自らの現況を積極的に発信して,実際に触れ合う「現実空間」とネットを通じた「ヴァーチャル空間」の両空間において,ファンに「楽しみ」を提供している。また,新曲が出るとPV の動画が「ヴァーチャル空間」に流れるため,ファンは無料で身近にアイドルに接することが可能となっている。男性ファンは女性アイドルに対して,潜在的に疑似恋愛的な視線を向ける傾向がある。可愛い女の子が一生懸命全身全霊でファンのために人生の応援歌を歌い踊り演じる。アイドルが頑張るから,自分も一緒に頑張ろうという意識の下,アイドルを応援する。AKB48 で有名な「恋愛禁止」ルールは,個々のメンバーが切磋琢磨し高め合うことに一生懸命であれば恋愛している暇なんてないだろうという意味づけであり,結果として男性ファンの疑似恋愛を守ることに成功している。一方,女性アイドルファンにとって,ジャニーズアイドルを中心とする男性アイドルは理想の恋愛相手という存在に留まらず,別機能を備えた存在となっている。ジャニーズアイドルは,「わちゃわちゃ感」と呼ばれる男性同士の親密さや絆を有する「現実空間」における「キャラクター」をアピールして,アイドルに付随する女性の存在を無化する「偶像」になることに成功している。以前の女性を救い上げる男性イコール王子様,選ばれる女性というジェンダー役割は変質して,男性アイドルは,身近な自分の好みと合致させやすい「キャラクター」であると同時に,自分とは異性愛関係を結べない「偶像」(仮想空間における「偶像」)でもある。女性ファンにとって,男性アイドルは手の届かない遠い「偶像」ではなく,現実空間に極めて近いところにいる「キャラクター」として認識されている。