著者
末森 明夫 高橋 和夫
出版者
学習院大学人文科学研究所
雑誌
人文 (ISSN:18817920)
巻号頁・発行日
no.14, pp.137-148, 2015

「高宗諒陰三年不言」論争は服喪説と非服喪説が主流を占めてきたものの、非服喪説においても疾病説は等閑に付されてきた。本稿では障害学的視座に立脚し、疾病説(言語障害・聴覚障害)の再検証をおこなうと共に、文献に見られる「作書」という文脈に意志疎通手段における障害学的見解を照射し、「三年不言」という文脈の解釈における外延を図った。本稿の眼目は疾病説の妥当性の主張にはなく、疾病説が論争の傍流に甘んじてきた背景を障害学的視座に立脚して再検証し、論争の主流を占めてきた訓詁学と疾病説の派生的連続性を前景化し、古代中国文献学や古代中国福祉体系の探求に資することにある。 There has been controversy about the word "ryôin (諒陰)" and the sentence "Kôsô did not speak for three years( 高宗三年不言)" in a Chinese historical passage, as many hold the opinion that Kôsô had been mourning or deliberating apolitically; however, another opinion has been neglected, namely, that Kôsô was only temporarily mute. We therefore re-examined thise controversial issue from the viewpoints of speech impairment and/or hearing impairment based on disability studies, suggesting the derivative continuity between the opinions based on disability studies and exegetics of the passage, and contributing studies on welfare in ancient Chinese society.

言及状況

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「障害学」という立場から、歴史を見る。 「高宗諒陰三年不言」 への言及や研究が、どの説に拠っているかを整理した表が非常に分かりやすい。 CiNii 論文 -  「高宗諒陰三年不言」攷 : 障害学的視座による再検証 https://t.co/1pHeMPBxEG #CiNii
CiNii 論文 -  「高宗諒陰三年不言」攷 : 障害学的視座による再検証 https://t.co/PsqlJlfUSC #CiNii
@yoshigan1 ご高説のほど痛み入ります。拙稿(https://t.co/PsqlJlfUSC)にて引用した論文(https://t.co/b5IbYfZsGH)では、ヨシガンさんがおっしゃったような信仰という視座に立脚した論旨が展開されています。
高宗諒陰三年不言で検索したらなんかすごそうな論文でてきた(未読。今ネットが重くて下载できないので) https://t.co/PFJaW8eZUU

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