著者
上平 崇仁 鈴木 望果 星野 好晃
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.372, 2019 (Released:2019-06-27)

デザインにおいて、問題解決の前に、問題自体を問うことは、既にある価値観や信念に対して疑いの目を向け、思考の枠組みを切り替えるための重要であるが、あまり学習の中では重視されていない。本稿では、学校や企業などのデザイン学習者を主対象とした、多角的な視点から「問い」を生成するための発想ツールについて報告する。研究の目的は、前提を乗り越えるための問い方の技法に関しての検討を行い、誰でも使えるようなツールのデザインを行うこと、及び、そのツールの評価を行い、有用な知見を見出すことである。先行事例としてのHow might we Question、弁証法、ロールプレイイング法を組み合わせて、問いの発想ツール「委員長とギャル」の開発を行った。当該ツールの試験運用を行った結果、ロールプレイを行ったことで通常の発想法では生まれない突飛な発言が自然に生まれていたこと、一旦否定をはさむことで暗黙の前提を破壊することができたこと、この2点から参加者が楽しみながら発想に利用することができることを確認した。
著者
オオニシ タクヤ 藤澤 忠盛
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.292, 2019 (Released:2019-06-27)

世界人口は爆発的な増加傾向にあり、深刻な食糧危機が危惧されている。特に動物性タンパク質の生産には多くのエネルギーが必要なため、既存の畜産業だけでは解決が困難である。そこで注目されているのが昆虫食である。そこでコオロギのメリットに注目し、その大量生産、安定供給のための飼育システムの設計プロジェクトを立ち上げた。本研究では、既に昆虫を食している東南アジア、特にカンボジア、ベトナム、タイにおけるケーススタディーを通して、昆虫食産業としての可能性を「食べる」側の視点、「生産する」側の視点から俯瞰した。特にタイに存在するコオロギファームの視察を通して、多くの可能性を発見した。それは、小規模かつ安定的な生産が可能であること、道具等が小さく誰でも参加が可能であること、ペストコントロール等が簡単であること、立体的飼育による効率化、臭気問題が無いこと、そして近隣農業との共存が容易であることなどが挙げられる。これらのことから、現在研究を進めているコオロギ養殖システムの技術確立と、その効率化による収穫量の安定が、今後のコオロギ食、ひいては、昆虫食の普及の一助となることが確認された。
著者
中島 玲奈
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.432, 2019 (Released:2019-06-27)

この研究では、ジャニーズが1年間を通して多くのコンサートを開催し、各コンサートごとにペンライトを販売しているということに注目し、ペンライトの変化の流れを分析することによって新しいペンライトを提案を行う。 最初に背景についてリサーチを行い、その後、ジャニーズによって販売された153個のペンライトについての情報を集め、年表と系統樹を作成しました。 それらを分析し、その結果に基づいてデザイン要件を決定し、プロトタイプを作成を行った。 それを様々なな人に使用してもらい、いくつかのフィードバックを得た。 分析結果やプロトタイプの結果に基づいて、光の強さが歓声に応じて変化するペンライトを最終提案とする。
著者
平瀬 亜由美 坂本 星 木谷 庸二
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.204, 2019 (Released:2019-06-27)

この研究は、SNSアプリのデフォルトプロフィールアイコンからユーザーが受ける印象とデザイン要素の関係を、定量的に研究したものである。SNSの普及に伴い、ユーザーの年齢、人種、ジェンダーといった属性は多様化している。UIデザインにおいても、ユーザーの多様性を考慮したインクルーシブなデザインの発展が見受けられる。既存のデフォルトプロフィールアイコンは、モチーフとして中性や男性が多く使われているが、性自認を男性と女性のどちらにも当てはめないXジェンダーは、性別を感じさせるアイコンをどのように捉えているかに着目した。既存アイコンをサンプルとし、男性、女性、Xジェンダーに対してアンケート調査を行った。既存アイコンに対するイメージとデザイン要素の関係を、ラフ集合を用いて分析した。そして、それを元にXジェンダーにとっても、そうでない人にとっても魅力的なアイコンを制作し、認知構造の妥当性を検証した。
著者
和田 あずみ 三澤 直加 名古屋 友紀 小野 奈津美 竹村 郷
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.390, 2019 (Released:2019-06-27)

第四次産業革命を背景に、プレゼンスが弱まっている日本経済。日本の企業では、企業の創造的活動にあたり、柔軟に、常識にとらわれないで活動を創出する目的で、グラフィックレコーディング(以下GR)の活用が広がっている。新宿区立落合第六小学校では、このGRの方法を取り入れ、創造的な人材の育成を目的に小学生へ向けた「おえかきシンキング」授業(全4回)を株式会社グラグリッドと共同で開発し、実施した。全4回の授業を通じて、創造的活動を支え推進する兆しの行動が生徒達にみられるようになった。また、生徒達の変容、授業の振り返りおよび分析を通じて、創造的人材育成に貢献する4点の影響要因として、「個人の壁や視野、固定概念からの解放」「新しい意味づけのための、身体による探索と他者関与」「他者の声を受けとめるために、自分の心の声を『きく』こと」「創造し、まとめるための『イメージ』『マインド』の育成」を導き出した。
著者
山本 政幸
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.266, 2019 (Released:2019-06-27)

明朝体とゴシック体の読みやすさについて、書体サイズ12Q(18H送り)、16Q(24H送り)、24Q(36H送り)における比較実験を行った上で、ゴシック体の本文(400字の本文横組み)への適性を検証することを目的とした。12Qと24Qでは明朝体の読了時間が短かったが、16Qではゴシック体がわずかに短かかった。
著者
菅野 鈴 木村 健一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.378, 2019 (Released:2019-06-27)

本研究では,「居心地の良い」場所を任意活動を促す場所とし,その構成要素を明らかにすることを目的として,フィールドワークとアンケート調査を行った.フィールドワークから,任意活動が行われる「居心地の良い」場所の存在が示された.また,それらは街並みや風景の眺めがよく,ベンチなどの着座できる環境のある場所であり,適度な交通量の場所であることが分かった.アンケート調査からも同様に,風景の良さや人通りに関する回答とともに開放感も要素として挙げられた.これらのことから,滞留者は眺めの良い開けた場所,すなわち「視点場」と「他者」の要素から「居心地が良いかどうか」を判断していると考察された.また,居心地の良い場所は,「視点場」であり,適度に「他者」が存在する場所といえる.
著者
中村 泰之
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.118, 2019 (Released:2019-06-27)

本研究は「萌えおこし」に使用される「ご当地萌えキャラ」のデザインについて調査と分析を行う。地方そのものが主体となってキャラクターを創作し,地域振興に繋げようという活動が活発になっている。本研究の目的は主に2つあり,1つは創出プロセスの中でも特にキャラクターデザインに焦点を当て,地域振興において有用なデザイン手法を明らかにすることである。2つ目はご当地萌えキャラの活動をアーカイブすることである。1つの萌えおこし活動について詳細に調査した研究は複数あるが,ほとんどが「メディア主導型」の萌えおこしである。有志による運営が多いご当地萌えキャラは数年持たずに消えていくことも多いため,全体を俯瞰するためにも必要である。
著者
宮前 翔一 池田 朋弘 橋田 規子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.524, 2019 (Released:2019-06-27)

プラモデルに施される加工によって生まれる感性的な効果を調査することで、プラモデルのより良い表現方法を探る。また、架空のロボットの「らしさ」を解明することを目的とする。それぞれ表面加工が違うプラモデル(ガンプラ)を5点用意し、それぞれの加工の全体的な印象について感性評価を行なった。次に新たに2点用意し、それぞれに対し加工の全体的な印象、部分的な印象について感性評価を行なった。
著者
姚 淳禹 安齋 利典
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.214, 2019 (Released:2019-06-27)

本研究のでは、IoT機能を中心としたプロジェクターをデザインする、プロジェクターの形と機能を人間中心設計の視点から、ユーザーが更に心地よく使えるのを考える、検討する。目的は、HCD(人間中心設計)の視点から、プロジェクターにIoT機能を付加し、より使いやすくすることと、IoT機能を持つプロジェクターを使うことから、新たなユーザーエクスペリエンスを導き出すことである。コンセプトを立案し、3DプリンターでIoTプロジェクターの模型を試作した。また、携帯式スクリーンスタンドをデザインして、試作した。これまで、自分をペルソナとしてIoTのプロジェクターの機能を考えてきた。今後は、自分の生活スタイルから生み出した提案が、受け入れられるか検証していく。
著者
郡 祐太郎
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.394, 2019 (Released:2019-06-27)

ファッションは自由な自己表現や温度管理のために着るようになったといわれている。しかし、日本には四季があり、年間を通して気温の変動がある。温度管理のためにその気温に対応するべく人間は気温が寒いと体温が下がらないように厚着をし、暑いと服装は薄着になる。そのような背景から気温によって着ることができる衣類の選択が狭まっている状況であるために自由な自己表現をすることが難しい。本研究では靴による体温を調節を促すことを目的としたプロトタイプの製作プロセスを説明する。
著者
張 伝揚 川合 康央
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.414, 2019 (Released:2019-06-27)

VR(Virtual Reality:人工現実感)による組立訓練によって、作業員の練度を上げることはできるが、実作業との連携は難しい。そこで、MR(Mixed Reality:複合現実)を提示するHoloLensを用いて、作業員に部品認知と配置情報をリアルタイムで示すことができれば、作業の手戻り防止や能率向上などをはかることができると考えられる。本研究では、自作パソコンを対象として、立体部品の認知と配置作業に適用するリアルタイム支援システムの構築を行った。
著者
吉松 孝 池田 美奈子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.2, 2019 (Released:2019-06-27)

「シットコム・コメディ番組」という虚構空間に於いて、人名や地名に「実在する固有名詞」が挿入されるケースが見られる。著名人本人が、その著名人の名前で登場するカメオ出演のみならず、会話中に「実在人物」「ニュース性の高い話題」を挿入させる表現技法である。当技法は、米国 Big Bang Theory、中国「愛情公寓」ともに使用されており、番組に俯瞰性を与え、笑いの生成に一定の効果を生んでいると考えられる。笑いの先行研究における4つの理論を元に、笑いが起きる仕組みを7つの大分類項目、67の小分類項目を設定した。分類に、両作品のスクリプトを当てはめた結果、事前に区分された項目「実在人物の会話の話題への挿入」を中心に、主題を説明できる要因が見られる。「固有名詞の挿入」は、直接笑いを取れる効果のあるものと、設定レベルに影響を与えるものに分けられる。本研究は、シットコム番組に於ける「実在固有名詞」の持つ機能と効果についての考察と、米中作品に挿入される実在固有名詞の属性の共通性と差異の検討を目的とする。番組に「さらなる虚構」や「現実」が出現することで、メタ構造を与え、笑いのバリエーションが増加するのではないかという仮説を検証する。
著者
Witthayathada Ongon Nishio Koichi
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.442, 2019 (Released:2019-06-27)

このプロジェクトの目的は、長期にわたって入院している子供たちのメンタルケアに焦点を当て、入院中のストレスをインタラクティブ・アートを使って解決できるかどうか、研究することである。長期入院についての研究によると、患者はストレスや社会的孤独、アクティビティの不足によって精神的状態が心配されている。それ故にこのプロジェクトはインタラクティブ・アートを使って、子供たちの精神的負担を減らし、良い心の状態を保つことにある。手段として、3Dプロジェクションマッピングを、BUBU(作品名)というプラスチック製の風船人形に投影する。このBUBUと3Dアニメーションの組み合わせにより、患者を楽しませるとともに、彼ら自身がMicrosoftKinectの前で身振り手振りをすることにより、感情的にBUBUとコミュニケーションをとることができる。
著者
益岡 了 野宮 謙吾 三原 鉄平 南川 茂樹 中西 俊介 川合 康央 池田 岳史
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.248, 2019 (Released:2019-06-27)

平成33年度、岡山県立大学のデザイン学部では、学部の再編が予定されている。そのために現在新学科の卒業認定・学位授与の方針(以下DP)・教育課程編成・実施の方針(以下CP)・入学者受入れの方針(以下AP)の策定やカリキュラム編成が進められている。改変されたデザイン学部は、現在のデザイン工学科と造形デザイン学科の2つの学科の教育理念を発展的に継承する事が求められる。そのために効率的な教育・研究のための編成や実際の運用には様々な課題が想定できる。 そこで新しいデザイン教育組織のDP・CP達成のための教育体制の確立を目指して、本学と類似したデザイン教育・研究機関を持つ大学のデザイン教育を様々な視点から調査し、比較を行った。特に中央教育審議会大学分科会大学教育部会からはDP・CP・APの3つのポリシーの一体的な策定が要求されており、それらのポリシーの一体性にも留意する必要がある。そこで対象校のDP・CPを比較しつつ、それらのポリシーの達成、教育上の運営について総合的に調査・検討した。