- 著者
-
ヨコタ村上 孝之
- 出版者
- 大阪大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2003
平成16年度は15年度に続き、資料の収集を継続して行った。8月にロシア連邦ウラジオストク市に出張し、極東国立大学貴重書文庫、極東国立公文書館、アムール川流域研究協会図書館、アルセーニエフ名称博物館付属図書館、ウラジオストク公立図書館にて資料収集・閲覧・複写を行った。とくにウラジオストク公立図書館地方史研究部門主任調査員ニーナ・イヴァンツォーヴァ氏と意見交換、共同研究を行った。12月には米国ニューヨーク市に出張し、ニューヨークの公立図書館、コロンビア大学図書館にて、イヴァン・エラーギン(ザングヴィルト・マトヴェーエフ)および彼をめぐる米国亡命ロシア人文学資料(新聞『ノーヴォエ・ルースコエ・スローヴォ』、雑誌『ノーヴィ・ジュルナール』など)を閲覧、複写した。こうした収集・調査の蓄積を受けて、これらの資料の分析・研究に入った。極東ロシア人作家の筆名の使い方には、辺境の文学者の複合的アイデンティティーが表現されていること、マトヴェーエフ家の人々の生涯が現在の批評的言説の中で伝説化されつつあること(「日本で生まれた最初の白人」という説ほか)などの知見が得られた。研究発表のため、10月、日本ロシア文学会研究発表会(於稚内北星学園大学)に参加し、「マトヴェーエフ家文学の研究」という表題で報告した。研究の成果の一部を、雑誌『セーヴェル』第19号(2004年12月)に発表した。研究成果の全体は、科学研究費報告書としてまとめ、提出した。