著者
米地 文夫 リヒタ ウヴェ
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.13-31, 2009-12

宮沢賢治の作品のなかでも最も有名なものの一つである「銀河鉄道の夜」の物語のなかに「ケンタウル祭」という不思議な名前の祭りが登場する。物語の中心が星座をめぐる夢の旅であるため、この名はケンタウルス星座に因むものと考えられてきた。しかしこの名は賢治の若き日の短歌が初出であり、その内容や時期から星座には関係なく、ギリシャ神話の半人半馬の怪物ケンタウロスのドイツ語ケンタウルスをそのまま祭の名に用いたものであることがわかった。この時期、賢治は盛岡高等農林学校で馬の飼育管理とドイツ語を学んでおり、ちゃぐちゃぐ馬ッこをはじめとする馬産地岩手の人と馬との祭から発想したのである。また、キメラに関心があった賢治は人間の上半身と馬体の下半身をもつケンタウルを、理性と本能的欲望との葛藤に悩む自分になぞらえた。岩手と同じく、馬を祝福することで春の農耕の始まりに豊饒を祈るドイツにもある民俗を賢治はおそらく学び、若い男性としての高揚感をケンタウル祭と表したのである。のちに少年のための物語「銀河鉄道の夜」にこの名の祭を組み込むが、静謐な物語にはなじまず、結局は、削除されたり「銀河の祭」や「星祭」という名が加えられて、ケンタウル祭のイメージは希薄になってゆくのであった。
著者
リヒタ ウヴェ 渡部 貞昭
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.255-261, 0000

2001年1月31日、ドイツ連邦政府は急進右翼のドイツ国民民主党(NPD)の禁止を連邦憲法裁判所に申し立てた。その理由は、外国人への暴行及びユダヤ人施設への冒涜・破壊行為の件数が増大したからであった。本稿はホロコーストと同胞のユダヤ人にたいする西ドイツ戦後社会の態度の考察である。
著者
リヒタ ウヴェ 渡部 貞昭 Uwe Richter Sadaaki Watanabe
出版者
岩手県立大学総合政策学会
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.251-254, 2003-09-30

2002年1月21日、連邦憲法裁判所(BVG)は、連邦政府、連邦参議院、連邦議会が前年に提出した極右政党ドイツ国民民主党の禁止の申請に関する、2002年2月に定められた口頭弁論の日程をすべて中止した。理由は、申請側の全部で14名におよぶ証人のうちの1名が、憲法擁護機関がNPDの内部に保持した長年のスパイであったことであった。この政治的スキャンダルで、今やNPDの禁止ではなく、ドイツの情報機関、およびその極右政党内部に存するスパイの役割が問われることになった。Am 31.1.2002 kippte das Bundesverfassungsgericht (BVG) uberraschend alle fur Februar 2002 angesetzten mundlichen Verhandlungstermine uber den ein Jahr zuvor von Bundesregierung, Bundesrat und Bundestag eingereichten Antrag auf ein Verbot der rechtsradikalen Nationaldemokratischen Partei Deutschlands (NPD). Der Grund : einer der insgesamt 14 Zeugen der Antragsteller war gleichzeitig ein langjahriger Spitzel des Verfassungsschutzes innerhalb der NPD. Der politische Skandal war da : statt dem NPD-Verbot standen nun die deutschen Geheimdienste auf dem Prufstand und die Rolle ihrer Agenten innerhalb der rechtsradikalen Partei
著者
リヒタ ウヴェ
出版者
岩手県立大学高等教育推進センター
雑誌
リベラル・アーツ = Liberal arts (ISSN:18816746)
巻号頁・発行日
no.10, pp.7-34, 2016-03

Communication patterns in China and Japan are strikingly different, and this paper holds that the origins of this difference can be found in two key words of two texts that are of supreme importance for Chinese and Japanese culture: “Rectification of Names” (zhengming) in the Analects of Confucius, and “the Soul of the Word” (kotodama) in Manyōshū, the earliest collection of Japanese poetry from before the end of the 8th century. The paper evaluates the importance (or non-importance) of “the word” in the basic religious-philosophical systems of Shamanism, Confucianism, and Buddhism and examines some concrete aspects of language and communication, such as “space”, “man”, and “self”, and the importance of poetry, grammar, rhetoric, and state examinations in the development of patterns of communication in China and Japan.
著者
リヒタ ウヴェ 渡部 貞昭
雑誌
総合政策 = Journal of policy studies (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.255-261, 2003-09-30

2001年1月31日、ドイツ連邦政府は急進右翼のドイツ国民民主党(NPD)の禁止を連邦憲法裁判所に申し立てた。その理由は、外国人への暴行及びユダヤ人施設への冒涜・破壊行為の件数が増大したからであった。本稿はホロコーストと同胞のユダヤ人にたいする西ドイツ戦後社会の態度の考察である。