著者
粒来 崇博 鈴木 俊介 釣木澤 尚実 三井 千尋 東 憲孝 福冨 友馬 谷本 英則 関谷 潔史 押方 智也子 大友 守 前田 裕二 谷口 正実 池原 邦彦 秋山 一男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.184-193, 2012
参考文献数
22
被引用文献数
2

【背景,目的】強制オッシレーション法は被験者に努力を行わせることなく呼吸抵抗,呼吸リアクタンスといったメカニクスの指標を測定し,スパイロメトリーと違い努力呼気が必要でないことから注目される.近年,本邦より強制オッシレーション法の測定機械としてモストグラフ(チェスト社,東京)が販売され,気管支喘息の診断や治療の指標としての応用が期待されている.そこで,成人の治療中の喘息におけるモストグラフの指標の判定の目安について考察する.【方法】当院外来で治療により安定した気管支喘息患者151症例について同時にFeNO,モストグラフ,スパイログラムを評価,比較した.【結果】%FEV_1,%MMFとモストグラフの各指標は有意な相関を認めたが,Fresと最も強い相関を認めた.%FEV_1予測式は,%FEV_1=-3.174×Fres+115.7であった.また,年齢とX5,Fres,ALX,BMIと全ての指標に有意な相関を認め,年齢や体格によるこれらの指標に対する影響を示唆した.そこで,モストグラフ各指標におけるFEV_1,年齢,BMI,FeNOの関与を評価する目的で重回帰分析を行ったところ,Fresに主たる影響があるのはFEV_1(p<0.001)であるが,BMI(p<0.001)も有意な影響があると考えられた.【考察】モストグラフ法による測定は成人の治療中喘息における気道閉塞を検出するのに優れていた.%FEV_1=60%相当のFresは17.5,%FEV_1=80%相当のFresは11.3,%FEV_1=100%相当は4.94と想定された.