著者
植木 有理子 押方 智也子 浅井 芳人 金子 猛 服部 直樹 釣木澤 尚実
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.68, no.7, pp.857-868, 2019 (Released:2019-08-09)
参考文献数
18

【背景・目的】好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)における末梢神経障害の神経症状の変化を的確に評価するのは難しい.そこで運動・感覚障害に関する質問票を作成し,末梢神経障害の管理に対する有効性を検証した.【方法】平塚市民病院通院中のEGPA40症例を,ガンマグロブリン大量療法(IVIG;intravenous immunoglobulin)を行った30症例(IVIG投与群)と従来療法で臨床的寛解を得た10症例(IVIG非投与群)に分類し,感覚・運動障害の評価票(ANCA関連血管炎.com)を用いて評価した.IVIG投与群は4時期,非投与群は2時期で評価し,患者背景因子と比較した.【結果】IVIG投与群は非投与群と比較して発症時の運動障害点数が有意に低く(p<0.01),感覚障害点数は有意差を認めなかった.罹病期間とIVIG後の運動障害点数改善度には相関はないが,感覚障害点数改善度とは負の相関を認めた(p<0.05,r=-0.47).運動障害点数改善度とMMTの改善度は正の相関を認めた(p<0.01,r=0.70).IVIG投与群ではIVIG後の1カ月後に運動障害点数は有意に増加(p<0.01),感覚障害点数は有意に低下した(p<0.01).【結語】この質問票の使用によりIVIG後の運動・感覚障害の効果が評価でき,質問票はEGPAの末梢神経障害の管理に有用であることが示唆された.
著者
粒来 崇博 鈴木 俊介 釣木澤 尚実 三井 千尋 東 憲孝 福冨 友馬 谷本 英則 関谷 潔史 押方 智也子 大友 守 前田 裕二 谷口 正実 池原 邦彦 秋山 一男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.184-193, 2012
参考文献数
22
被引用文献数
2

【背景,目的】強制オッシレーション法は被験者に努力を行わせることなく呼吸抵抗,呼吸リアクタンスといったメカニクスの指標を測定し,スパイロメトリーと違い努力呼気が必要でないことから注目される.近年,本邦より強制オッシレーション法の測定機械としてモストグラフ(チェスト社,東京)が販売され,気管支喘息の診断や治療の指標としての応用が期待されている.そこで,成人の治療中の喘息におけるモストグラフの指標の判定の目安について考察する.【方法】当院外来で治療により安定した気管支喘息患者151症例について同時にFeNO,モストグラフ,スパイログラムを評価,比較した.【結果】%FEV_1,%MMFとモストグラフの各指標は有意な相関を認めたが,Fresと最も強い相関を認めた.%FEV_1予測式は,%FEV_1=-3.174×Fres+115.7であった.また,年齢とX5,Fres,ALX,BMIと全ての指標に有意な相関を認め,年齢や体格によるこれらの指標に対する影響を示唆した.そこで,モストグラフ各指標におけるFEV_1,年齢,BMI,FeNOの関与を評価する目的で重回帰分析を行ったところ,Fresに主たる影響があるのはFEV_1(p<0.001)であるが,BMI(p<0.001)も有意な影響があると考えられた.【考察】モストグラフ法による測定は成人の治療中喘息における気道閉塞を検出するのに優れていた.%FEV_1=60%相当のFresは17.5,%FEV_1=80%相当のFresは11.3,%FEV_1=100%相当は4.94と想定された.