著者
森口 尚史 三原 誠
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.685-688, 2011-10-10 (Released:2012-01-18)
参考文献数
8
被引用文献数
1
著者
Halim Ahmad Sukari 中川 毅史 野口 修平 三原 誠
出版者
Japan Academic Collaboration Medical Society
雑誌
Academic Collaborations for Sick Children (ISSN:1884426X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.20-23, 2009

女性器癌患者に対し、近年、妊孕性温存を目的とした治療法の開発が行われている。しかしながら、病期の進んだ症例に対しては、妊孕性を犠牲にして癌切除を行なう必要がある。我々は、病期が進み、拡大子宮切除を行なわれた患者さんの妊孕性再建を目指して、卵巣凍結研究と免疫抑制下の子宮移植研究を行なっている。子宮移植研究自体は、まだまだ倫理的な問題や法的な問題が残っており、早期の臨床応用は難しいと思われるが、摘出した卵巣の一部を凍結保存し、将来、卵原細胞から成熟卵子を得るためのIVM-IVF技術の進歩を待ち、産児を得る可能性を残すことは非常に重要なことだと考えている。<BR> 我々は、形成外科領域における血管吻合技術の進歩「超微小血管外科技術(Super-Microsurgery)」と移植外科領域の進歩「免疫寛容下臓器移植」を融合させることで、新しい子宮移植法の確立し、子宮癌により子宮を摘出された患者さんの安全な妊孕性再建を目指す。女性器癌を発症した患者に対して、摘出した卵巣組織の一部(病理診断に使用しない部分)を凍結保存することは、代理母、子宮移植研究を鑑みて非常に重要なことである。今回、ブタの子宮移植実験モデルを開発したので報告する。
著者
Samanpachin Kanit 中川 毅史 野口 修平 三原 誠
出版者
日本学術連携医学会
雑誌
Academic Collaborations for Sick Children (ISSN:1884426X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.16-19, 2009-08-25 (Released:2010-05-11)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

昨今、若年女児の医原性不妊症を回避するための妊孕性温存を目的として、未受精卵凍結、卵巣凍結の研究が進んできているが、その一方で若年男児に関しては、精子凍結技術の発達からあまり大きな問題とされていない。しかしながら、思春期前若年男児においては、精子形成が未熟なため精子を採取することができず、未だ妊孕性温存の治療法は開発されていない。今回我々は、思春期前小児癌男児の妊孕性温存を目的とした血管付精巣移植実験モデルを開発し、ラット精巣動静脈の血管吻合が現実のものとなった。さらに、マウス精巣組織を磁場環境下凍結技術によって凍結し、既存の凍結方法よりも組織破壊が減少できることを見い出した。超微小血管外科技術と精巣凍結技術の応用によって、精巣の長期保存と移植研究の道を切り開いた。
著者
三原 誠 吉村 浩太郎 朝戸 裕貴
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

われわれの研究グループは、毛包由来培養細胞移植による毛髪再生医療を究極的な目標として研究している。本研究課題の目的は、これまでわれわれが経験してきた3次元培養皮膚モデルを応用して、ヒト細胞を用いたin vitro毛包再生モデルを新たに開発し、特定の条件操作を加えて分析することにより、ヒト毛包再生にまつわる分子基盤・細胞間相互作用について研究することである。毛包由来細胞のうちの2系統である毛乳頭細胞と角化細胞を混合培養することにより、毛包を3次元的に模倣した構造を作成することを試み、結果としてスフィア培養法を開発できた。このスフィアはin vitroにおいて顕微鏡下に経時的観察可能であり、in vivoへの移植も可能であった。このスフィアにおいて毛包誘導であるWnt 10bが発現していることが示され、この発現を増強する因子の検索を行ったところ、特定の有望な候補物質を見出すことができた。このようなin vitro毛包再生モデルを開発することにより、従前のin vivoモデルでは不可能(または多大な労力が必要)であった、毛包再生にまつわる遺伝子・蛋白レベルの解析や、移植細胞の遊走・分化についての詳細な観察がさらに進展する見込みが得られた。またヒト毛包由来細胞を用いた毛髪再生治療を実現する上で不可欠であろう、毛包上皮系幹細胞の単離、および毛乳頭細胞の毛包誘導能に関連する遺伝子解析をおこなった。ヒト毛包上皮系幹細胞はCD200やCD34の表面抗原だけでなく、細胞の大きさも利用することで、コロニー形成能の高い細胞群を生きたまま分取することが可能であることがわかった。また培養ヒト毛乳頭細胞におけるTGF-β2の発現および生体内で機能することが毛包再生において重要であることが示された。これらの結果は、将来的な毛髪再生治療の開発において、基盤となる研究結果であると考えられる。