著者
伏木 弘 吉本 英生 種部 恭子
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.295-300, 2020-03-01

ヒトパピローマウイルス(HPV)感染による子宮頸部異形成63例に対して,HPV感染の疣贅治療に用いられるヨクイニンエキス製剤を投与し,細胞診,組織診,HPV消失をもとに,NILMまでに要した期間とHPVの型との関連性および有効または無効な症例のHPVの型を検討した。その結果は,評価症例が38例で,NILMとなった例は27例,NILMまでの期間は平均4.8カ月で短期間にNILMとなり,ハイリスク型,ローリスク型で差は認められなかった。以上より,ヨクイニンエキス製剤はHPVの型によらず子宮頸部異形成を改善し,もしくは進行を抑え,NILMまでの期間を短縮している可能性が示唆された。
著者
石原 理
出版者
金原出版
雑誌
産婦人科の実際 (ISSN:05584728)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.1067-1075, 2005-07
著者
岩田 健太郎
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.249-253, 2021-03-01

反ワクチンの歴史はワクチンの歴史とほぼ同じ長さだけある。ワクチンは衛生的理由から,宗教的理由から,政治的理由から,あるいは科学的見解の誤解釈から非難されてきた。しかし,科学的な検証と理性的な対応によってそういうムーブメントはその都度克服され,反ワクチン主義(anti-vaxxers)はマイナーなアウトライアーなままであった。この世界的な趨勢に合致しないのが日本である。日本では反ワクチン主義がなぜかメジャーなメディアに伝播し,そして政治家,官僚にまで影響し,国の政策にそのまま反映されてしまう。科学や理性よりも情緒や空気や皆の納得が優先される同調圧力が強い国の独特な現象だ。なぜ,このようなエートスが生じたのか。そしてどうすればそれを克服できるのか,本稿で論じてみたい。
著者
永田 正夫
出版者
金原出版
雑誌
産婦人科の実際 (ISSN:05584728)
巻号頁・発行日
vol.18, no.13, pp.1194-1196, 1969-12
著者
坂本 育子
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.343-347, 2020-04-01

ロボット支援下手術は,2018年4月に子宮体癌,良性子宮腫瘍における子宮摘出術に保険収載されて以降,婦人科領域でも急速に普及しつつある。しかし継続していくにあたり,手術時間,コストなど様々な課題に直面することが多い。当院では導入以降,そのような課題に対しロボット支援下手術を効率よく行うための取り組みを行ってきた。本稿では,取り組みの詳細とその成績について紹介する。
著者
近藤 息吹 上出 泰山
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.1507-1509, 2020-11-30

総排泄腔とは,胎生4〜9週に存在する臓器の名称である。総排泄腔は上方より発生する尿直腸中隔により前後に分離され,胎生9週には腹側が膀胱・尿道に,背側が直腸・肛門となる。総排泄腔遺残は,総排泄腔の分離過程が障害され,総排泄腔が生後に遺残した病態である1)。遺残した総排泄腔の部分は共通管ともよばれ,共通管から会陰部までの長さは1〜12cmと差がある。5万人に約1人の割合で発生する極めて稀な先天異常で,女児にしか発生しない。
著者
大原 玲子
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.599-604, 2019-06-01

いわゆる先進国では,分娩時に何らかの麻酔を使用する方法が選択肢の1つとして一般的になっている。その歴史は長く,現在に至るまで事象の考察や研究,そして危機管理が進んでおり,安全な医療を提供できるシステムやマンパワーを備えている。日本は先進国のなかで妊産婦死亡率の低さは世界のトップクラスを誇るが,無痛分娩は一般的ではなかった。しかしながら,2010年代より無痛分娩は増加傾向にあり,改めてその安全性を確認し今後の成長につなげるために2018(平成30)年3月には厚生労働科学特別研究班から安全管理体制の構築についての提言が公表された。日本でも今後は産婦の意向を尊重できるよう,安全な無痛分娩を提供できるような医療体制の見直しが期待されている。
著者
吉野 愛 金川 武司 林 周作 石井 桂介 光田 信明
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.1051-1055, 2017-08-01

稽留流産の治療として待機的管理または外科的治療が行われている。当センターでも治療法の選択肢として外科的治療だけでなく待機的管理も選択肢として提示している。しかし,各治療成績についてのわが国の報告はまだない。そこで,当センターでの各治療法の成績を比較・検討した。対象は2011 年1 月〜2015 年12 月に当センターで稽留流産と診断した症例とした。診断時の患者希望により,待機的管理群(待機群),外科的治療(D & C)群に分け,各治療法の入院・追加処置を要する合併症発生率の比較,待機群で診断から14・21・28 日目までの胎囊排出率を求めた。対象となった稽留流産は326 例で,待機群は184 例,D & C 群は142 例であった。合併症発生率は,待機群で8%,D & C 群で6%に認め,有意差はなかった(P=0.51)。待機群での,14・21・28 日目までの胎囊排出率は,それぞれ68%・80%・86%であり,診断から21 日目までに大部分の症例で排出していたことがわかった。
著者
松田 貴雄
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.197-202, 2018-02-01

女性アスリートの三主徴が提言されて,女性アスリートが疲労骨折を繰り返す場合,整形外科では婦人科受診を勧めるようになってきている。疲労骨折を生じるアスリートは中学生・高校生に多く,近隣の婦人科を受診すると考えられるが,無月経の治療以外にアスリートに何をすればいいか迷う婦人科医は少なくないと思われる。疲労骨折を生じるアスリートはエネルギー不足でほぼ貧血を合併している。貧血を診療することで中高生アスリートにとってのかかりつけ婦人科となることが,女性アスリートの三主徴の予防につながると考えられる。