著者
山本 智支 乾 和郎 片野 義明 三好 広尚 小林 隆 松浦 弘尚
出版者
一般社団法人 日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.147-155, 2019-03-25 (Released:2019-04-08)
参考文献数
32

急性胆嚢炎は胆嚢に生じた急性の炎症性疾患と定義され,原因の85~95%は胆嚢結石である.リンパ管のうっ滞・拡張を認める浮腫性胆嚢炎,壊死出血を認める壊疽性胆嚢炎,膿瘍化してきた化膿性胆嚢炎に分けられる.診断は,臨床兆候(Murphy's signと右上腹部の腫瘤触知・自発痛・圧痛),血液検査,画像所見により行う.白血球異常,CRPの上昇などを認め,ビリルビン,肝・胆道系酵素の上昇は軽度見られることが多い.腹部USでは,胆嚢腫大,壁肥厚,結石嵌頓,デブリ,sonographic Murphy's signのほか,胆嚢周囲浸出液貯留,胆嚢壁hypoechoic layer,不整な多層構造を呈する低エコー帯,ドプラシグナルが診断に有効である.急性胆嚢炎の診断が困難な場合や胆嚢穿孔,胆嚢周囲膿瘍などの合併症が疑われた際には,ダイナミックCTが有用である.
著者
三好 広尚 服部 外志之 高 勝義 片山 信 荒川 明 瀧 智行 乾 和郎 芳野 純治 中澤 三郎 内藤 靖夫
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.644-651, 1999-06-05 (Released:2008-02-26)
参考文献数
28
被引用文献数
2

点滴静注胆道造影法を併用したhelical CT(以下,DIC-CT)による総胆管結石診断の有用性を明らかにする目的で,切石により確診を得た総胆管結石25例を含む胆道疾患82例を対象とした.胆道疾患82例において超音波内視鏡検査(以下,EUS)およびDIC-CTによる総胆管結石の診断能の比較検討を行った.総胆管結石25例の描出率はEUS 87.5%,DIC-CT 94.7%であった.総胆管結石のDIC-CT,EUSの診断能はそれぞれsensitivity 94.7%,87.5%,specificity 100%,100%,accuracy 97.8%,96%であった.DIC-CTは総胆管結石の診断においてEUSやERCと同等の診断能を有し,しかも非侵襲的な検査法であり,胆嚢結石の術前診断として有用な検査法である.
著者
友松 雄一郎 芳野 純治 乾 和郎 若林 貴夫 奥嶋 一武 小林 隆 三好 広尚 中村 雄太 神谷 直樹 三浦 正剛
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.178-184, 2007-02-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
39
被引用文献数
4

大腸憩室出血の特徴を,特に抗血栓薬に着目して検討した.2002年7月~2005年11月までに下部消化管出血にて大腸内視鏡検査を実施した332例のうち,大腸憩室出血と診断されたのは32例(9.6%)であった.大腸憩室出血は65歳以上の高齢者が90.6%と大部分を占めた.出血部位は左側結腸78.1%,右側結腸21.9%,出血形態は凝血塊付着81.3%,湧出性出血15.6%,噴出性出血3.1%であった.憩室は多発93.8%,単発6.2%であった.輸血を必要としない軽症は81.3%,内視鏡治療の必要がなかったものが81.3%と大部分を占めた.抗血栓薬の内服率は50%(16/32)と他の下部消化管出血をきたした疾患に比べて高値であった.大腸憩室出血例の半数は抗血栓薬を内服しており,高齢者が大部分を占めることから,大腸憩室を有する高齢者への抗血栓薬投与は出血の主な誘因の一つと考えられた.