著者
岡戸 晴生 平井 志伸 田中 智子 新保 裕子 三輪 秀樹
出版者
公益財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

成熟後にRP58の発現を減弱させたところ、やはり認知機能の低下を見出し、RP58の発現を興奮性ニューロンで増加させたところ、生理的な加齢に伴う認知機能低下を抑制できることを見出した。さらに興味深いことに、ヒト型変異APPホモマウス(アルツハイマー病モデル)にRP58発現アデノ随伴ウイルスを用いてRP58を過剰発現させると、低下した認知機能が改善した。すなわち、ウイルス投与前(3ヶ月齢)では、物体位置認識および新規物体認識試験テストにより、APPホモマウスは認知機能が低下していたが、RP58発現ウイルス投与後1ヶ月後には、認知機能が正常レベルに回復していた。一方、GFP発現ウイルス投与1ヶ月後(コントロール群)では認知機能は低いままであった。組織解析において、RP58補充群では、アミロイド斑はサイズがコントロールと比較して小さい傾向が見られ、RP58を補充したことによりアミロイド蓄積が抑制された可能性を示している。以上のことから、RP58は不可逆的と考えられていた、老化やアルツハイマー病に伴う認知機能低下を可逆的に制御している可能性が示された(岡戸、新保:国際特許出願,2020)。
著者
高澤 知規 三輪 秀樹 林 邦彦 高鶴 祐介
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

老化促進マウスであるSAMP8とコントロールマウスSAMPR1を用いて術後モデル動物を作成し、抗菌薬のミノサイクリンに術後認知機能障害(POCD)の予防効果があるかを調べた。POCDは麻酔よりも手術による侵襲により引き起こされること、ミノサイクリンにPOCDの予防効果があることを発見した。SAMP8ではミノサイクリンによって術後1日目のTNF-α濃度の上昇が抑制された。ミノサイクリンは血液中のサイトカイン濃度を低下させPOCDの予防効果を発揮することが示唆された。ミノサイクリンが術後の認知機能に与える影響を調べるMINPOC-Jトライアルは、予定数のデータ取得がほぼ終了した。