- 著者
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工藤 崇
檀原 徹
岩野 英樹
山下 透
三輪 美智子
平松 力
柳沢 幸夫
- 出版者
- 一般社団法人 日本地質学会
- 雑誌
- 地質学雑誌 (ISSN:00167630)
- 巻号頁・発行日
- vol.117, no.5, pp.277-288, 2011
- 被引用文献数
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新潟堆積盆加茂地域において,中部中新統の七谷層から黒雲母に富むテフラを発見し,駒出川バイオタイト(Kbi)テフラと命名した.本テフラは灰色を呈する層厚9 cmの結晶質中粒~粗粒砂サイズの凝灰岩で,七谷層上部の明灰色泥岩中に挟在する.本テフラの構成鉱物は石英,斜長石(オリゴクレース~ラブラドライト組成),サニディン,黒雲母を主体とし,微量のざくろ石,赤色および無色のジルコンを伴う.本テフラは浮遊性有孔虫化石帯区分のN.9帯,石灰質ナンノ化石帯区分のCN4帯に含まれ,堆積年代は14.2~14.7 Maと見積もられる.本テフラのジルコンFT年代は14.6±0.3 Maであり,微化石層序と良く調和する.記載岩石学的特徴,FT年代,微化石層序の一致から,Kbiテフラ,紀伊半島の室生火砕流堆積物,房総半島木の根層中のKn-1テフラの三者は対比可能であり,熊野酸性岩の形成に関連した広域テフラの可能性が高い.