著者
辻 智大 岸本 博志 藤田 浩司 中村 千怜 長田 朋大 木村 一成 古澤 明 大西 耕造 西坂 直樹 池田 倫治 太田 岳洋 福岡 仁至
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.129-160, 2023-09-30 (Released:2023-11-02)
参考文献数
49

Kuju volcano, located within Beppu-Shimabara graben central Kyushu, Southwest Japan, has been active in the recent 200,000 years. The 54 ka Handa eruption, as large as VEI 5 or 6 and the largest one of the volcano, released large-scale pyroclastic flow deposits (Handa pfd; Kj-Hd) and a wide-spread tephra (Kj-D ash and Kj-P1 pumice fall deposits) that has been reported at more than 500 km from the source. The stratigraphic relationships among the deposits from the Handa eruption are important for volcanology and disaster prevention, and have been studied in various studies, but there is no consensus on the stratigraphy. In this study, we examined the stratigraphic relationships and the eruption history based on the stratigraphic and petrographic studies around Kuju volcano, as well as on Shikoku and Honshu Islands. As the results, the stratigraphic relationships were revealed as follows. 1) The pumice fall deposit, that has been named Kj-Yu, was previously included in Kj-D ash layers, but is revealed to be a much older ejecta than Kj-D ash, along with the tephras newly named Kj-Tb1 and 2. 2) The clay-rich layer just below Kj-D was previously considered to be soil, but it contains a large number of volcanic ash particles so that it is defined as Kj-Y ash layer. 3) Three light brown fine ash layers, newly named Kj-D-U2, 4 and 6, sandwich between the blue grey sandy ash layers i.e. Kj-D-U1, 3, 5 and 7, are revealed to be the co-ignimbrite ash derived from Kj-Hd 1, 2 and 3 pfd, respectively. It suggests that the Kj-Hd1, 2 and 3 pfd are interbedded with Kj-D-U ash layers. 4) Kj-P1 overlies on Kj-D-U7 ash layer that mantled the reworked deposit of Kj-Hd3. 5) Kj-P1 is divided into lower and upper units based on the grain-size analysis, petrography, the chemical composition of glass shards and the isopach maps. Kj-S pfd was formed in the same time as the upper unit. Based on the results, the eruption history is assumed as follows. Pre-Handa eruption: the activity was low and the small-scale explosive eruptions that had released the pumice and volcanic fragments in loam (Kj-Y), followed by a relatively large explosive eruption that had formed Kj-AL. Early phase: the eruption started with phreatic eruption, sub-plinian eruption that deposited the lower unit of Kj-D ash. Subsequently, the eruption changed to vulcanian eruptions that ejected Kj-D-U. This eruption continued for a long period time. During the time, three large-scale pyroclastic flow eruptions happened and has formed Kj-Hd1, 2 and 3. Their co-ignimbrite ashes generated from the Kj-Hd pfds were deposited as Kj-D-U2, 4 and 6. Lahar were generated after Kj-Hd2 and 3 deposition. This phase was terminated by the deposition of Kj-D-U7 ash. Late phase: the plinian plumes occurred twice and deposited lower and upper lalyers of Kj-P1. The second one is the largest plinian eruption in the whole volcano history, with a large umbrella plume producing a wide-spread tephra at more than 500 km from the source and an intraplinian pyroclastic flow (Kj-S).
著者
七山 太 山口 龍彦 中西 利典 辻 智大 池田 倫治 近藤 康生 三輪 美智子 杉山 真二 木村 一成
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.126, no.9, pp.493-517, 2020-09-15 (Released:2020-12-15)
参考文献数
93
被引用文献数
3

南海トラフ巨大地震によって沈降が予測されている宿毛臨海低地において沖積コアを採取し,LGMの開析谷を埋積する沖積層の特徴と堆積シークエンスの検討をした.松田川開析谷はLGMに形成され,その後の後氷期海進により,9.8kaに標高-30mに海水が到達し,エスチュアリー環境へと変化した.その後も海水準は上昇し続けて内湾泥底環境となり,7.5kaに最高水深時となった.7.3kaに起こった南九州の鬼界カルデラ噴火により,給源に近い宿毛湾周辺においてもK-Ah火山灰が厚く降灰し,その直後に大規模なラハールが発生した.その結果,水中二次堆積物が急激に堆積した.7.0ka以降にデルタの成長が他の地域に先行して活発化したが,これは大規模なK-Ah火山灰の影響と考えられる.SKMコアから得られた過去1万年間の海面変動情報に基づくならば,宿毛湾地域は南海トラフ巨大地震によって一時的に沈降するものの,長期的に見るとそれらの沈降量は相殺されると理解される.
著者
谷口 英喜 辻 智大 中田 恵津子
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.731-737, 2012 (Released:2012-05-10)
参考文献数
17

【目的】経口補水液の前投与が、経腸栄養剤の胃排出速度に与える影響を検討した。【対象および方法】健常成人ボランティア7名を対象としてクロスオーバー研究を実施した。何も投与しない群 (N群) とミネラルウォーターを投与した群 (MW群) および経口補水液を投与した群 (ORS群) における、胃排出速度を、13C呼気ガス診断を応用した胃排出能検査標準法により評価した。Primary end pointとして個々における前処置ごとに最高血中濃度到達時間 (Tmax) の変化 (⊿ Tmax) を比較した。【結果】N群のTmaxを基準にして⊿ Tmaxを比較した結果、MW群に比べORS群において経腸栄養剤の胃排出速度を促進する効果が大きかった[⊿ Tmax(MW) vs. ⊿ Tmax (ORS) :-5±15.0 min vs. -17.1 ±9.1 min ; P=0.03]。【結論】この結果から、経腸栄養剤投与前に経口補水液を投与することで、摂取された経腸栄養剤の胃排出速度が促進されると考えられた。
著者
中村 千怜 辻 智大 四国西予ジオパーク推進協議会
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

黒瀬川構造帯は主に大陸地殻を構成する岩石(花崗岩・変成岩)や大陸周辺の浅い海で堆積した地層(凝灰岩・石灰岩など)からなる.赤道近くにあった超大陸パンゲアが分裂した破片がプレートにのって大陸に衝突したものと考えられている.愛媛県の南西,西予市三瓶町にある須崎海岸は四国西予ジオパークのジオサイトである.ここでは,黒瀬川構造帯に属する4億年前の酸性凝灰岩の地層を,国内で唯一,遊歩道沿いに300mにも渡って観察でき,縦じまの地層によるダイナミックな景観を体感することができる.加えて,凝灰角礫岩や貫入岩が凝灰岩中に見られ,様々なイベントがあったことを示唆する.本発表では,これらの地層の見どころを紹介し,どのように地層が形成されたかを解説する.【酸性凝灰岩】凝灰岩層は火山灰が固まってできた岩石であり,泥質部と砂質部の互層をなしている.級化や荷重痕といった混濁流堆積物(タービダイト)に見られる構造が見られる.槙坂・加藤(1983)で凝灰岩は北東側ほど上位層であると推定され、今回薄片においても級下を確認し,追認することができた.細粒な凝灰岩中に粗粒な火山灰由来の長石などの粒子が観察された.これらのことから,火山活動が活発な大陸もしくは成熟した島弧の近海で凝灰岩は形成されたと推定される.凝灰岩が300mも堆積したということは,長期にわたる火成活動が安定してあったことを意味する.また,保存状態の良い放散虫化石が認められる層準もあるため,放散虫化石の年代から火成活動の時期の特定が期待される.【凝灰角礫岩】浅海に生息するサンゴの化石を含む凝灰角礫岩が不整合で凝灰岩を覆う.凝灰角礫岩層は淘汰が悪く,塊状無層理で,基底部に上方粗粒化が見られる.このことから,凝灰角礫岩層は山体崩壊あるいは海底地すべりで形成された崩壊堆積物であり,それらがより深海底に流れ込んだものであると推定される.【貫入岩】遊歩道の西部にて,いくつかの貫入岩が見られた.貫入岩は凝灰岩層の層状構造を切り,塊状で板状節理が発達している.また,細粒で均質な組織を示す.貫入岩の存在は,酸性凝灰岩堆積場において火成活動があったことを意味するため,今後の詳細な検討が望まれる.このように,須崎海岸では大陸ないし島弧周辺の海域で凝灰岩が堆積した様子を見ることができる大変珍しい場所である.須崎海岸は日本列島の生い立ちを解明するために学術的に重要な地質であるとともに,一般の方にも魅力を感じていただけるジオサイトでもある.発表では,その他にも須崎海岸で見られる様々な地球科学的な見どころを紹介する.【引用文献】槇坂・加藤(1983)愛媛県三瓶町より中期古生代サンゴ化石の発見.地質学雑誌,89,723-726.