著者
田代 亮介 江面 正幸 柴原 一陽 倉前 卓実 井上 敬 川口 奉洋 明城 光三 上之原 広司 冨永 悌二
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.326-330, 2016 (Released:2016-09-23)
参考文献数
19
被引用文献数
1

【背景】妊婦脳梗塞例に対し,血管内治療による急性期再開通療法施行例は報告されていない.【症例】33 歳女性,妊娠37 週,特記すべき既往歴なし.突然の意識障害,左上下肢麻痺で発症.レンズ核,島,放線冠に拡散強調像高信号域を認め,magnetic resonance angiography で右M1 閉塞を認めた.他院よりtPA 投与開始の後,血管内治療目的に当院へ搬送となる.血栓回収療法により,thrombolysis in cerebral infarction 2b の再開通が得られた.治療2 日後に帝王切開にて児を出産した.2カ月後にはmodified Rankin scale 0 に回復した.【結語】本症例はdrip,ship,retrieve,childbirth が成功した初めての症例報告である.
著者
田代 亮介 江面 正幸 柴原 一陽 倉前 卓実 井上 敬 川口 奉洋 明城 光三 上之原 広司 冨永 悌二
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10394, (Released:2016-03-09)
参考文献数
19
被引用文献数
1

【背景】妊婦脳梗塞例に対し,血管内治療による急性期再開通療法施行例は報告されていない.【症例】33 歳女性,妊娠37 週,特記すべき既往歴なし.突然の意識障害,左上下肢麻痺で発症.レンズ核,島,放線冠に拡散強調像高信号域を認め,magnetic resonance angiography で右M1 閉塞を認めた.他院よりtPA 投与開始の後,血管内治療目的に当院へ搬送となる.血栓回収療法により,thrombolysis in cerebral infarction 2b の再開通が得られた.治療2 日後に帝王切開にて児を出産した.2カ月後にはmodified Rankin scale 0 に回復した.【結語】本症例はdrip,ship,retrieve,childbirth が成功した初めての症例報告である.
著者
塩塚 かおり 宇都宮 昭裕 鈴木 晋介 上之原 広司 西野 晶子 近江 三喜男 桜井 芳明
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.261-266, 2005-06-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
9

症例は41歳,男性。既往歴特記なし。自殺企図にて縫い針を後頸部に1針と前胸部に2針刺した。その後,乗用車を運転し側溝に転落した状態で発見された。他院にて気胸に対し胸腔ドレーンを挿入後,当院へ救急搬送された。来院時,強い胸部痛を訴えるも呼吸循環動態は落ち着いていた。各針の刺入点は皮膚上に観察されたが,いずれも皮下に埋没していた。神経学的所見としては,意識清明,四肢麻痺なく,明らかな感覚障害もなかった。頭部単純X線像では,後頸部皮下にその先端が大孔内まで達する約3cmの縫い針を認めた。胸部単純X線像では,左胸部に2本の縫い針を認めた。頭頸部CTでは,針の先端は延髄背側に達していた。胸部CTでは,1本の針が心臓壁に埋没しており,もう1本の針は胸壁にあるのが確認された。脳血管造影では,血管系への針による外傷はなかった。搬入当日に全身麻酔下に針の摘出術を行った。腹臥位にて針の刺入部を中心として開創した。X線透視を使用し皮下に埋没した針を捕らえた。針を全体に渡り露出した後,直視下に抜去した。針先端は延髄背側下部にまで達していた。次に,右側臥位にて心臓壁内に埋没した針と胸壁内の針を直視下に摘出した。術後,感覚異常等の神経症状はなかった。術後5日目に全身状態良好で,精神障害との診断で精神科入院となった。
著者
鈴木 晋介 井上 智夫 村上 謙介 江面 正幸 上之原 広司
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.200-207, 2016 (Released:2017-03-25)
参考文献数
32
被引用文献数
2 1

脊髄損傷の急性期の管理の要点は, ADL自立に向けて早期離床させ, 早期にリハビリテーションを開始することにある. 責任圧迫病変や高度不安定病変に対しての急性期早期観血的治療を行い早期に離床させることはその意味で理にかなっているものと思われる. 脊椎インストゥルメンテーションの使用により術後臥床期間の短縮が可能である. 本邦では近年, 高齢者脊髄外傷症例の著明な増加傾向を認める. 何らかの対策が必要である. 頚椎外傷では椎骨動脈損傷に留意し, その評価が重要である. 移植治療は今後有望な治療方法であるが, まだ決定的なところまでは行っていない. 今後待たれるところが大きい. 脊髄外傷の病態を理解しイニシアチブのとれる脳神経外科医が増えることを切望する.