著者
藤本 千鶴 上村 昭子 東根 裕子 山本 悦子 渡辺 豊子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.209, 2010

【目的】平成21、22年度の日本調理科学会特別研究として、行事食についての全国調査を現在行っている。本報告では、大阪府在住の大学生とその親の年末年始に関わる行事食について、現状を明らかにすることを目的とした。<BR>【方法】2009年12月~2010年3月、近畿地方の大学・短大生とその親を対象に質問紙調査(留め置き法)を実施した。正月(屠蘇、雑煮、小豆飯・赤飯、お節料理9品、魚料理、肉料理)、七草(七草粥)、大晦日(年越しそば、年取りの祝い料理、尾頭付きいわし料理)の各料理に関する喫食経験、喫食状況、調理状況を調査した。対象者は学生404名、親239名である。<BR>【結果】雑煮、年越しそばは、学生・親共に98%以上が喫食経験を持ちほぼ毎年食べられていた。その他の料理については学生と親の間に差があり、学生の喫食経験が少なくなっていた。喫食状況では屠蘇、七草粥で学生と親の間に差があり、食べる学生は少なく、食べなくなった親の割合が多い状況であった。大阪で食べられている雑煮は、白みそが54%、丸もちが84%、もちを焼かないが58%であった。お節料理9品の親の喫食経験は94%と多いが、毎年食べる人は74%(学生70%)であり、昆布巻き、きんとん、なます、だて巻きを毎年食べる人は、学生・親共60%台であった。雑煮、七草粥、年越しそばは、家庭で作る割合が多く、以前と現在で変化はなかった。しかし、黒豆、田作り、きんとん、煮しめ、なますは、家庭で作るから買うへの変化が認められた。正月の魚料理にはえび、ぶり、たい、肉料理には鶏肉、牛肉が多く使用されていた。
著者
東根 裕子 上村 昭子 八木 千鶴 山本 悦子 渡辺 豊子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】食事の簡便化等に伴い、行事食の伝承が難しい時代になってきている。平成21年・22年度の日本調理科学会特別研究として実施した「行事食」の調査結果のうち、雑煮の手作り度と他の行事食との関連を明らかにすることを目的とした。【方法】平成21年12月から平成22年3月、日本調理科学会特別研究の全国統一様式の調査用紙を用いて調査を実施した。今回は、大阪府に10年以上住み、40歳以上で調理担当者である301人を分析対象とした。正月料理の雑煮は家での手作り度が高く、雑煮の手作り度と他の行事との関連を検討した。調査を行った17行事のうち、行事食を家庭で作っている割合が高い正月、節分、上巳の節句、クリスマス、冬至を検討対象とした。【結果・考察】調査対象者の年齢は40・50歳代が79.7%、60歳代以上20.3%であり、同居の家族構成は2世代が65.8%、職業は専業主婦が46.2%、次いでアルバイト・パートが34.6%であった。行事食の影響は、58.1%の人が母方から受けていると答えた。雑煮を手作りする人は、79.7%であり、正月料理の煮しめ・なます・魚料理、節分のいわし・巻きずし、上巳の節句のちらしずし・潮汁、クリスマスの鶏肉料理の手作り度が、雑煮を手作りしない人に比べて高く、有意差が認められた(p<0.05)。雑煮を手作りしない人は、他の多くの行事食においても手作り度が低かった。また、手作り度と喫食状況は必ずしも同じ傾向ではなく、節分の巻きずしやクリスマスケーキの手作り度は低い(21.3%と16.4%)が、ともに60%以上の人が毎年食べていると答えた。食の簡便化・外部化の流れを受け止めつつ、行事食伝承の方策を探っていきたい。