著者
峯 清一郎 沼田 理 内野 福生 山浦 晶 岩佐 博人
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.132-138, 1998-06-30 (Released:2012-07-17)
参考文献数
11

てんかん原性焦点が器質性病変から独立して形成されたと思われる難治性てんかんの1手術例を報告した。症例は26歳女性、8年間におよぶ難治性てんかん発作を認めた。発作は睡眠中の突然の発声、発語停止と無意味な発声、左上肢の間代性けいれんより向反発作を経る2次性全般化発作の3種類であった。MRIで右前頭葉補足運動野前方に器質性病変を認め、頭皮脳波で発作時突発波が右頭頂誘導から発生した。慢性硬膜下電極により、てんかん原性焦点は病変に隣接しない右運動野手の領域に同定された。腫瘍は肉眼的に全摘出された。てんかん原性焦点が病変から独立していると思われたので、腫瘍摘出の後、焦点へのmultiple subpial transectionを施行した。病理診断は星状細胞腫であった。術後9カ月を経るが発作は抑制されている。器質性病変を合併する難治性てんかんの手術方法について考察した。
著者
古関 啓二郎 岩佐 博人 伊藤 寿彦 柴田 忠彦 佐藤 甫夫
出版者
一般社団法人 日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.107-117, 1994-06-30 (Released:2011-01-25)
参考文献数
27
被引用文献数
1 1

てんかん性笑い発作の発現機序を検討する目的で, 笑い発作のみを発作症状とする1例に, 双極子追跡法 (Dipole Tracing: DT) および123I-IMP SPECTを施行した。この症例の発作間欠期脳波は, 発作の初発から間もない時期では, 右前側頭部優位の棘徐波結合であったが, 後期においては多棘徐波結合が頻発するようになった。これらの突発波のDT分析を行った結果, 早期の棘波では右側頭葉内側部に等価電流双極子 (equivalent current dipole: ECD) が推定され, 後期の多棘波の先行棘波成分は早期の棘波と同様に右側頭葉内側部に, 後発棘波成分は前頭葉内側部にそれぞれECDが推定された。また, 同時期の123I-IMP SPECTでは, 右前側頭葉および前頭葉内側部に血流増加が認められた。これらの結果は, 笑い発作の発現には側頭葉内側部のみならず隣接の大脳辺縁系が関与していることを示唆している。
著者
針替 明世 藤原 健一 葛西 真理 岩佐 博人 吉村 哲明
出版者
弘前医療福祉大学紀要編集委員会
雑誌
弘前医療福祉大学紀要 (ISSN:21850550)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.27-32, 2015-03-31

死生観とは生と死についての個人の考え方であり、独自の死生観の形成は、患者の捉え方や接し方等の医療の質の向上につながる。一方、死生観は生きがい感や自殺関連行動と関連すると言われており、作業療法教育において学生の死生観を育む意義は大きいものであると推察される。そこで本研究では、作業療法学生を対象に死生観と関連要因について、生きがい感、不安感、感情調整能力として感情労働を調査した。その結果、死生観は、生きがい感、不安感、感情調整能力と相関関係が認められた。しかし、死生観は、死別経験や介護経験、長期臨床実習の経験の有無では有意差が認められないことから、死生観は死別や臨床実習といった経験からの影響を受けにくいことが考えられ、死生観教育の必要性が示唆された。