著者
下岡 和也 徳久 良子 吉村 貴克 星野 博之 渡部 生聖
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.3-47, 2017-02-15 (Released:2017-05-15)
参考文献数
56
被引用文献数
2 8

高齢者の認知症や孤独感の軽減に貢献できる対話ロボット開発のため,回想法に基づく傾聴を行う音声対話システムの開発を行った.本システムは,ユーザ発話の音声認識結果に基づき,相槌をうったり,ユーザ発話を繰り返したり,ユーザ発話中の述語の不足格を尋ねたりする応答を生成する.さらに,感情推定結果に基づき,ユーザ発話に対して共感する応答を生成する.本システムの特徴は,音声認識結果に誤りが含まれることを前提とし,音声認識信頼度を考慮して応答を生成する点である.110 名の一般被験者に対する評価実験の結果,「印象深い旅行」を話題とした場合で,45.5% の被験者が 2 分以上対話を継続できた.また,システムの応答を主観的に評価した結果,約 77% のユーザ発話に対して対話を破綻させることなく応答生成ができた.さらに,被験者へのアンケートの結果,特に高齢の被験者から肯定的な主観評価結果が得られた.
著者
下岡 和也 河原 達也 奥乃 博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.44, pp.81-88, 2002-05-23
参考文献数
12

講演音声のような話し言葉の書き起こしや音声認識結果には、話し言葉特有の表現が数多く含まれて二次利用しにくいため、文章として適した形態に整形する必要がある。本稿では、統計的機械翻訳の考え方に基づいて講演の書き起こしを自動的に整形された文章に変換する方法を提案する。本研究で扱う処理は、フィラーの削除、句点の挿入、助詞の挿入、書き言葉表現への変換、文体の統一である。これらの処理を統合的に行うようにビームサーチを導入した。以上の手法により、実際の講演の書き起こしを整形された文章に変換し、講演録編集者によって一次整形されたものを正解として、句点の挿入、助詞の挿入、文体の統一に関して定量的な評価を行った。Transcriptions and recognition results of lecture speech include many expressions peculiar to spoken language. Thus, it is necessary to transform them into document style for practical use of them. We apply the statistical approach used by machine translation to automatic transformation of the spoken language into document style sentences. We deal with deletion of the fillers, insertion of periods, insertion of particles, conversion to written word expression and unification of a text style. To apply these processings in an integrated manner, we introduce a beam search. The preliminary evaluation of the proposed method is presented using real lecture transcriptions and their archives.